サヴァランは見た。この街のひとびと #4
先日、むすこの学校の「聖書を読む会」に行った。
「聖書を読む会」は、
毎月月末の金曜の夕方、校長先生主催で開かれる小さな保護者向けの会。
「わたしはいろいろなところで聖書のおはなしをさせていただきますが
ここでは、主にはじめて聖書に触れられる方を対象に
聖書について、自由に、楽しく、みなさんとお話ができればと思っています」。
4月、年度最初の会のとき、校長先生がおっしゃった。
わたしは毎回出席しているわけではないけれど、
いつも出席者は15名ほど。校長先生以外に、先生方や事務の方も参加される。
保護者の大半はお母様だが
中には毎回ご夫婦でいらっしゃる方もある。
わたしがこの会へ行く目的は
純粋に「聖書という書物を読んでみたい」という気持ちと
「ひとはなぜ宗教を必要とするのか」を知りたい気持ちと
「俗にまみれた邪な自分をたまには悔い改めたい」という気持ちと。
いやしかし。
毎回の会は、参加の保護者の方からも
もちろん校長先生からも
そしてほかの先生方からも
かなり自由に、さまざまなおはなしが伺えて、わたしは率直に楽しいと思っている。
先日の会で。
「生まれつき目の見えないひととの出会い」というおはなしがあった。
新約聖書のヨハネによる福音書9章を輪読したのち、
校長先生や、他の方々のおはなしを聞いていた。
おはなしの途中で「カルト」という単語が登場し、
校長先生が
なぜ日本人がカルトに陥りやすいかというと
日本人は長いこと、宗教や政治をタブーにしてきたからです
とおっしゃった。
そしてこう続けられた。
「うちのようなミッション系男子校の卒業生は
進学などで親元を離れ、別の環境に身を置くと
社会的な免疫がない分カルトなどに陥りやすい、
きれいな女性2,3人にでも囲まれたらイチコロです。
冗談はさておき。
今の生徒は、オウムの事件も知らないたいへん若い生徒たちです。
ちなみにカルトに関する注意喚起は高2の宗教の授業でも行っています」。
参加の先生のお一人に
若くてきれいな女性の美術の先生がいらっしゃり
学生時代に滋賀県の「止揚学園」のお手伝いに行かれていたことを話して下さって
はなしはいったん、「見えること、見えないこと」へと振子が戻った。
「止揚」か、アウフヘーベンだな。
でも、「以上終わり。」だな。
わたしが知っている「止揚」という言葉の意味は。。。
しかし。
うちに帰って、「止揚」を調べ直して
この言葉がかなり胸に響いた。
「止めて、揚げる」。。。
ある考えをいったんそこで止めて、そして別の次元へと引き揚げる。
なるほど。。。。。
これって哲学用語だったりするけれど
宗教の必要性って、
もしかしたらこの「止揚」にあるのかも知れないな。。。。。
さて。
この会には毎回、むすこのクラスの数学のF先生が出席される。
お年はたぶん30代今前半。今のところ担任はもっていらっしゃらず、
聞けば少し体調にもんだいがあって
お薬の関係で、午後になると呂律がまわりにくかったり
黒板の文字がかなり読みにくくなったりするらしい。
時折、お休みされることもあるとむすこから聞いていた。
でも
わたしは、この先生の「読む会」での発言を
毎回ひそかに心待ちにしているのだ。
以前は
「キリスト教は現世利益の宗教ではありません」
とおっしゃる校長先生に対し
「わたしは学生時代に入信した信者ですが、
わたしはキリスト教は現世利益の宗教と思っています。
なぜなら、聖書の中には目の見えないひとが見えるようになった。
重い病のひとがキリストによって救われた、というはなしがたくさん出てくるからです」
と持論を呈せられた。
このF先生は、とてもきまじめな感じの先生なのだけれど
どこか飄々としたおかしみのある先生で
このときも、校長先生はじめ、参加のみなさんで
なんとなく和んだ雰囲気で、先生の「現世利益」のはなしを聞いた。
先日の「見えないひと」の会では
この数学の先生が「カルト」といえば、、、と
はなしを切り出された。
「カルトといえば、
わたしはこの学校のお母様方とおはなしをしていると
たいへん失礼ながら
ある種のカルトがここにあるのではないかと思うことがあります。
と申しますのは、
お母様方のほとんどは
息子さんに少しでもいい大学に入ってもらいたい、
少しでもいい安定した将来を手に入れてもらいたい、
そのためには今、親としてできることは何でもする、
どんなことでも息子のためになるならする、
労は惜しまない、お金もどんどん出す、、、
これはもう、
わたしの目にはある種のカルトと映ってしまいます」
いささか不穏な切り出しに
固唾を飲んで聞いていた皆さん一同が笑いくずれた。
校長先生も
「はあ。。。お母様方に限りません。
なるほどわたしたちの学校は、
確かにそういう思い込みにすっかり囚われていますね。
これは、思わぬ足元に気づかぬ危険が潜んでいましたね」
と笑っていらっしゃった。
先日のこの会の前後もご体調が不安定でお休みがちだったF先生が
今はまた、数回のお休みが続いて、むすこのクラスの幾何は
「おしりのでっかいおばちゃんの先生」が代わりに授業をしてくださっているらしい。
「正直、F先生のはなしはすんごいわかりにくかったから
ぼくは悪いけど今のおばちゃん先生で助かってるよ。
でもF先生は、な~んか面白いところがあるからきらいじゃないんだけどね~」
おい。むすこ。
あんたの「わかりにくい」は、先生のせいじゃない!
しかし。
F先生が「おもしろい」というのはおかーさんも同感だし、
おかーさんはむしろF先生が好きだ。
そして。
F先生がこうやってたびたび学校をお休みされても
そのことを他の先生方がとても鷹揚にとらえてフォローしていらっしゃる
きみのこの学校の雰囲気が
おかーさんは今、この上もなく好きだ。。。。。
【サヴァランのやさぐれ中すday 】更新予定~
第1火曜 …「もってけBENTOU」
第2火曜 …「おばばの靴」
第3火曜 …「サヴァランは見た!」
第4火曜 …「やっぱりおやつ♡」
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匿名
サヴァランさん、こんばんは
物持ち良いですね〜。と感心していたら、うちにも昔の缶ペンケース有りました(笑)。中身は画材のパステルですが。
シャープペンシルだかペンだかの形が揃っていますね。こだわりが垣間見えて、サヴァランさんらしいですね。(お会いしたことが無いのでイメージで言っています。)
鉛筆は香り付きですか?
すみません。写真に目がいってしまいました。
okosama
すみません。先の名無しでコメントは私です
サヴァラン Post author
okosamaさま
コメントありがとうございます!
画材のパステルって
見ているだけで幸せになれますよね!
香り付きの鉛筆!
わ~なつかしい。
そういう文房具
女の子のたからものでしたよね~。
わたしの筆箱
ほんとーによくもまーこんな古いもの持ってたもんです。
何回も引っ越ししたのに。半年前も引っ越したのに(笑)
同じものを二つ単位で揃えるクセ、
中高時代からだったのだと筆箱を開けて発見しました。
そしてもうひとつ気が付きました。
わたしの一番古い持ちモノは
いろんなところに顔を出す「自分のクセ」。
治らないな~
治らない(;´∀`)
サヴァラン Post author
okosamaさま
別件ですが
わたしもブリヂストン美術館とあの併設のカフェが好物です。
若い頃は、名古屋から新幹線で東京へ行き、
八重洲口からてけてけ歩いてブリヂストン美術館で
目とお腹を満足させて、東京散歩へよく行きました(遠い目)
今、ブリヂストン美術館はビルの建て替え工事のために休館しているようですね。
あの立地で、あの充実した所蔵で、おまけにあの美味しいサンドイッチ♪♪
ぜひまた再オープンをと思っております。
あ。美術館カフェでわたしが好きなのは
これはもう会う人合う人おすすめしてしまうのですが
品川の原美術館とそのカフェ・ダール。
東京へお出掛けの際は、お時間が許せばぜひに♪