帰って来たゾロメ女の逆襲⑱ ~NHK朝ドラ継投記念!?もうひとつのかもめ食堂、の巻~
2年前の春に、当時の職場(公立図書館)で、フードスタイリスト飯島奈美さんのトークイベントを開催しました。
何を隠そう(隠してはいませんが)、5月8日upの<いろんな言葉>で取り上げた【ふだんのごはんは、すごい威力だ。】 がそのイベントのタイトルだったのでした。
当日は大盛況で、うっかり自分たちの企画力を勘違いしそうになりましたが、成功はなにより飯島さんの人柄によるところが大でした。
イベントの最後、飯島さんサイドから「今度、期間限定でお店を貸し切って『喫茶iijima』を開きます。メニューは、シナモンロール、サンドウィッチ、チーズケーキ、その他各種飲み物などです」と告知がありました。
な、なんですとー!?
飯島奈美さんが作るシナモンロールが食べられる!?
そんなビッグチャンス、逃す手はねーよ!ねーべ!こうしちゃいられない!
・・と、ワクワクしながら喫茶iijimaに行きました。
場所は吉祥寺のこじんまりとした空間でした。
あらかじめ予約した時間(30分の入れ替え制でした)にお店に入ると、ドアに近い席に案内されました。
奥が厨房で、飯島さんが立ち働いているのが見え、もうそのビジュアルだけで感動モノでしたが、時間は明らかに押していました。
われわれの前の時間の人たちのテーブルの前にもまだ料理は出ていませんでした。
でも飯島さんにあわてた様子はなく、店内にも「いくら待ってもかまいませんよ~」という雰囲気が漂っていました。
客はみな「飯島奈美さんの料理を待っている」というシチュエーションを楽しんでいたのです。
するとそこに新たな待ち人予備軍が入店してきました。
なんと!あの片桐はいりさんでした!
大柄でスレンダーなはいりさんは、颯爽と登場すると飯島さんのところに歩み寄り、笑みを浮かべて二言三言言葉を交わした・・と思ったら、迷いなくマリメッコのエプロンを付け、なんとなんと!おもむろにテーブルを拭き出したのです。
そう!まんま『かもめ食堂』の世界です。
その場の全員が大喜びしたことは言うまでもありません。
自分たちがエキストラとして『かもめ食堂』に出演しているようなフシギな心持ちになりました。
飯島さんもニコニコして、時間が押していることなどものともせず、調理の手を止め、写真撮影を始める始末(笑)。
何枚も。
キング・オブ・マイペース!
でも、そういう「自分のペースを守って動じない安定感」こそ、飯島奈美さんの作る料理の肝なのかも、と思ったりしました。
そんな「お楽しみ劇場」が終わり、しばらくすると料理が運ばれてきました。
私は迷い過ぎて、シナモンロールとミックスサンドとアーモンドレモネードという、パン&パン的なとっちらかった注文をしてしまいましたが、どれもとても美味でした。
一緒に行った職場の同僚の2人が頼んだコーンスープやチーズケーキも味見させてもらいましたが、そちらも絶品。
それまでは目でしか知らなかった飯島ワールドを舌でも堪能できた至福の時間でした。
なんだかんだで1時間ぐらいお店に滞在し、帰りがけ、厨房の飯島さんにトークイベントのお礼を言いました。
図書館のトークイベントと喫茶ijima開催の間には東日本大震災が起きたこともあって、「あの日は、今思うと平和で夢のようでした」としみじみ申し述べたりしていたところ、私たちの目の前でミックスサンドをダイナミックに頬張っていたはいりさんが「ん?」(あなたたち、何の話をしてるの?)という顔をしました。
飯島さんがそれに気づいて、「私、この前、図書館でイベントをしちゃったんですよー」と照れくさそうに告白しました。
そして図書館の場所(区名)を言ったところ、はいりさんがうれしそうに「私も行ったことがありますよ。F映画館!」と参戦。
私はそのとき偶然、はいりさんの『もぎりよ今夜も有難う』という本を読んだばかりでした。
そこには、はいりさんがインド映画を見にF映画館に来館したことが記されていました。
なので思わず前のめりになって、「『もぎりよ今夜も有難う』でF映画館のことをお書きになってましたよね。私はわりとあの近くに住んでいるんです」と申告しました。
するとはいりさんは頷きながら「そうなんですか。あの近くですか。ところで、まだあそこではインド映画をやってるんですか?」と聞いてきました。
「いえ。あれは特別な上映だったんです。今はふつうの映画を上映しています」と答える私。
「・・そうだったんですか。あれは特別だったんですか」
はいりさんはちょっと残念そうでした。
彼女にとっては知らない方がシアワセだったよけいな情報を提供してしまったのかもしれません、私。
今年のNHKの朝ドラが「あまちゃん」→「ごちそうさん」という継投のせいか、片桐はいりさんと飯島奈美さんにいっぺんに会ったあの日のことがやけに思い出される今日この頃です。
「ごちそうさん」の画面からにじみ出てくる料理の「美味しそう!」な気配の理由には、飯島さんのあの動じないマイペースさ、安定感があると、最近は確信しています。
そして片桐はいりさんの、ミドリさんでもその後の安部ちゃんでもあるような、全然ないような、その場にするりと溶け込むフシギな浮遊感のある存在感もただものではなかったです。
ちなみに、あの日のTwitterでは「マリメッコを着た片桐はいりを見た」的な内容のものがいっぱいつぶやかれました。
いろんな場所で。
あのエプロン(ワンピース?)で都内を移動したら、それは目立ちますよねえ。
ところで、サヴァランさんは『かもめ食堂』の本編のDVDを発見できたのかしら。
by月亭つまみ
(喫茶iijima)photo・みーる
こんなブログもやってます。ユルい気分のときにご覧下さい♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
はしーば
つまみさん、こんばんは。
私も片桐はいりさんのエッセイ、大好きで全部読みました。
マリメッコのはいりさんと出くわしたら、と想像するだけで、クラクラします!
もう随分前ですが、この独特のオーラは絶対にはいりさんだ!と思って背後にそっと並んだ地下鉄のホーム。
ミーハーな自分が恥ずかしくて、とても前にまわってお顔を拝見することはできませんでしたが、あれは紛れもなく、はいりさんでした。
つまみさん、羨ましすぎてちょとジェラシーを感じてしまいました。
つまみ Post author
はしーばさん、こんばんは。
今回は、自慢、というか、ジェラシー誘発(?)ネタと自覚しつつ、記憶がこれ以上薄れないうちに、と書いちゃいました。
ある程度、長く生きていれば、たまには本当にひょっこりと「人生のご褒美」的な1日もあるのかも、とその後の心の糧にもしています。
次はいつで、なんだろう、と。
はしーばさんも一緒に期待しましょう。
サヴァラン
つまみさま
こ、これは、うらやましすぎ。
それでもって未だに
「かもめ食堂の」DVDを探してるわたしって
悔しさぶりかえし。
( あ。青木十良さんのCDは昨日発見されました!)
サヴァラン
ところで
「アーモンドレモネード」って???
悔し過ぎて
おかしなところにくいついてすみません。
つまみ Post author
サヴァランさん、おはようございます。
自慢たらたらのヤなやつモードで失礼します(笑)。
青木さんのCD、我が家ではヘビーリスニング(ってへん?)です。
いいですよね。
「かもめ食堂」も、CSで録ったものをしょっちゅう見てます。
早く出てきますように。
私のように、モノが忽然となくなるブラックホールになど行ってませんように。
アーモンドレモネードは、アーモンドシロップとレモンの入った、甘酸っぱい、でもカルピスよりフルーティな味だったような気がします(記憶を総動員)。
後味が爽やかで、ふつうの甘い飲み物よりも食事の邪魔をしない感じでした。