第48回 あの罰ゲーム的な本の芸人は今もがんばっている。もっとおおっぴらにがんばれ~!の巻
夕食のしたくをしながらよくラジオを聞いています。
基本はNHKラジオ第一ですが、プロ野球放送の日はFMにします。
先日、NHKFMにチューニングを合わせたら、聞きなれない声の男性が、フラットな口調でネガティブなことを言ってました。
声の主はヒロシでした。
あの「ヒロシです」のヒロシです。
ラジオから流れる声のトーンはなめらかで、意外と明るかったとです。
彼がブレイクしたのは今からほぼ10年前。
イタリアの哀愁のメロディ「ガラスの部屋」に乗って語られる自虐ネタは一大ブームになり、テレビで彼を見ない日はないような時期がありました。
扶桑社から『ヒロシです。』というネタ本も出版されました。
そしてその頃、私は公立図書館で働いていました。
公立図書館におけるタレント本の地位は一般的にいってかなり低く、タレント本と聞けばハナっから購入しない図書館も少なくありません。
分類049の雑著好きの私は(詳しくはこちらを参照ください⇒★)、そんな決めつけに「けっ!」と思っていました。
タレント本⇒一過性の流行りもの⇒価値が低い⇒図書館には向かない のベクトルに疑いを抱かず、思考停止したまま読みもせずに頭ごなしに「却下!」と査定するような図書館&図書館員ってつまんねーよな、と。
そんな中、なぜか『ヒロシです。』は、勤務先の区立図書館に1冊所蔵されていたのです。
反骨精神に長けた図書館員が反対を押し切って購入したのか、当時オープンした図書館が購入リストにうっかり入れてしまったのかは定かではありませんでしたが、区内の全図書館中1冊だけとはいえ、1冊あれば区内のどの図書館からも予約して借りることができます。
図書館に本を予約する人の最大公約数的心理「買うほどじゃないけれど読みたいかも。別に急がない」をドンピシャで掬い取ったようなこの本に、区内中から予約が殺到しました。
1冊の『ヒロシです。』に、ピーク時は何百人という人々が並んだのでした。
当然、順番が来るまでは、「別に急がない」どころではなく、何年も待つことになります。
これが『ヒロシです。』じゃなかったら、然るべき筋が、何冊か同じ本を購入して予約を早くさばこうとしたかもしれません。
が、そういう措置はとられることなく、時間が経過していきました。
途中で予約の列から離脱した人は相当数いました。
ふと我に返って、「あれ?ヒロシ、要るか、私?」と思ったのでしょうか。
列に並んだときの自分はどうかしてた、ぐらいに思った人もいたかもしれません。
なんにせよ、モチベーションを保ち続けるって難しいものです。
それでも、ずっと列に並び続ける人もかなりの数、いました。
『ヒロシです。』の予約は何年もハケることはありませんでした。
公立図書館の日々の業務に、予約本の電話連絡というのがあります。
順番が来た人に「あなたの予約した本が用意できました」と伝えるのです。
自分のその日の電話連絡リストの中にこの『ヒロシです。』を発見するのは、かなり、なかなか、それはもう、スペシャルなことでした、どちらかというと残念な意味で。
ブームの翌年ぐらいならまだしも、2年も3年も、下手すりゃもっと時間が経ってからの『ヒロシです。』との対面は、ババ抜きのババを引いたみたいというか、「今日の星占い」で自分の星座が最下位であることを知ったみたいな、というか。
<本を予約した人に順番が来たことを連絡する>というまぎれもなく正当な行為であるにもかかわらず、それが『ヒロシです。』だと、なんだか若干相手に対して不当なことをしている気分になるのが不条理で不本意でした。
相手の反応も、電話の向こうで苦笑いを浮かべているらしいことがわかる・・程度ならまだしも、憮然とされたり、果ては「何年前の話!?そんな本、もう要らないに決まってるでしょ!」と逆ギレされたりもして、怒られる筋合いは全くないという思いと、でも『ヒロシです。』だもんなあという思いと、いやいや、雑著好きがそんな風に思っちゃいかんだろうという思いが交錯して、モヤモヤしました。
まあ、今振り返るとなつかしい思い出ですが。
当時、予約の電話でモヤモヤした本の、西の横綱が『ヒロシです。』だったとしたら、東のそれは『ポケモン大百科』でした。
ポケモン大百科の方が、1年(下手すれば半年)単位での予約者の成長が著しい分、モヤモヤもヒトシオでした。
♪~
小学生がその場の勢いやいっときのノリで予約したのが明らかな本を、予約したことすら覚えてない相手に、事務的な口調で「あなたが4年前に予約した『ポケモン大百科』の順番が来ました」と、連絡する身にもなってください。
相手はすっかり声変わりをした中学生か高校生で、やたらと気まずかったとです。
月日の威力をあんなにまざまざと感じたことはなかったとです。
でも・・月日の威力に玉砕された存在になっているのかと勝手に思っていたヒロシは、今も健在で、youtubeで見た最近のネタも面白かったとです。
それにしても、ヒロシの本名が健一だという事実がいまだに解せません。
つまみです・・
つまみです・・
つまみです・・
by月亭つまみ
こんなブログもやってます♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」<
nao
「タイタニックは、お母さんと観ました」
というネタが大好きでした。
youtubeも見てしまいましたが、相変わらず面白かったですw
図書館事情って、そうなんですか。あ、私の住んでる市ではお葉書で来ます。
「ポケモン大百科」は、うん、子どもの成長は早いですもんね。
でもうちの息子(20歳)にこのことを話したら
「いや、今でも読みたいかも」とボケたことを言ってました。。
つまみ Post author
naoさん、コメントありがとうございます。
タイタニックネタ、すごく絶妙なところを突いていますよね(^O^)
naoさんのところはお葉書ですか。
友人の勤める自治体の図書館は、電話は電話でも、自動音声だそうです。
あまり評判が良くないそうです、特に高齢者に。
私も自動音声は勘弁してほしいですね。
たま~に、自動音声で世論調査の電話がかかってきますが、答える気になれません。
ポケモン、大人になったらなったで、また楽しめるのかも・・とさりげなく息子さんをフォロー!?
・・フォロになってませんかね(^^;
花緒
ヒロシ、好きです~(^_^*)
今年、笑点で見かけて録画を保存しています。
相変わらず面白かったです!
個人的に、ヒロシとダンディ坂野はまだまだ見ていたいのに見なくなってしまいました。
「ヒロシです」が、図書館でそんな事になっていたとは!
そういえば私は書店で立ち読みして、数ページ読み、「知ってる知ってる~。」と言って買いませんでした。
試しにうちの市の図書館を検索してみたら、「ヒロシです2」だけ所蔵していました。
もしや…。
1は、誰かが買って、借りて読んだけど、さすがに2は誰も買わないから、仕方なく図書館に注文したのでしょうか?
謎が深まります。
借りようかな(‘_’*)
つまみ Post author
花緒さん、こんばんは。
私がyoutubeで最近見たのも笑点だったようですが、面白かったですね。
ダンディ坂野は、オンバト終了時の特番で見かけましたが、相変わらずいい人そうでした(^^;
おおっ!「ヒロシです2」は所蔵ですか。スバラシイ!
前の職場の自治体ではもう処分されたようで、「ヒロシです」で検索しても、小川宏アナウンサーの本しかヒットしませんでした。
ボロボロになったって廃棄処分になったのか、違う理由で闇に葬られたのかは不明です。
1も2も、隣の区にあるから借りようかなあ(^O^)
サヴァラン
アマゾンも存外時期外れな「おススメ」してきよります。
アンパンマンのお風呂で○○とか。
わが家最寄りの公立図書館は予約のお知らせはメールです。
一回の貸し出しが10冊までなので
自分の予約状況を俯瞰しないとときどきバタバタします。
2年待った待望本が 選りによってこのタイミングかよ~
みたいな。
ヒロシのあのラジオ
わたしは子どものプールの送迎時に聞いてました。
ちょっと寂しい田舎町の夕暮れ時。
ヘッドライトの列とヒロシのあの語りはすんごいベストマッチ。
ヒロシのおもしろさ
月亭師匠の分析が聞きたいです!!
できれば
つぶやきシローとの違いも含めて。
つまみ Post author
サヴァランさん、コメントありがとうございます!
間が悪いタイミング、ありますあります。
別々に予約した本がいっぺんに順番が来て、しかもどれもこぞって長編、とか。
ヒロシのラジオ、今日も聴きました。
尾崎紀世彦の「また逢う日まで」が、そもそもはズーニーブーの「ひとりの悲しみ」という曲だったと知りました。
卑屈なコメントって面白いですよね。
日常会話でも、ぼそっと無自覚に卑屈なことを言う人についつい笑ってしまいます。
ああいう顔の、ホストになり損ねたキャラのヒロシが、いかにもアタマの悪そうなことを言うのが面白いと思います。
すごく考え抜かれたアタマのいいネタだと思いますけど。
それと、単純に安心します。
一日引きこもって「ああ、今日は何もしなかったなあ」と思っても、「万歩計27歩のヒロシよりマシだ」と思えます(^^;
ヒロシは自分を貶めて、つぶやきシローはど真ん中のあるあるネタ、だと思うんですけど、どちらもほとんど客席も見なければカメラ目線にならない佇まいが似てますよね。
二人共、好きです。
あ、でも私の一推しピン芸人は、ユリオカ超特Qなんですけどね(^O^)