~第55回 輝け!(るのか!?)2014年のゾロメ女的ベスト本発表、の巻~
2014年もあと2週間弱となりました。
1年の読書を総括して、昨年同様ベスト本を選ぼう!と思い、はたと気づきました。
私、今年は例年以上に本を読んでない。特に後半は全然。
ヒマだから本が読める、忙しいから読めない、という単純な図式ではないことは、今までの人生でわかってはいますし、実際、今年が格別、繁忙年だったわけでもありません。
では、なぜ読んでいないのか。
以前、ここ(⇒★)でも考察しましたが、やっぱり加齢のせいなのかなあ。もしかしたら本格的に「読書に興味がなくなってきた」ってことなのかも。
それはそれでまあ、しょうがないのですけどねえ(と言いながらも、ちょっと途方に暮れたりする)。
でも、でも、力技ででも選びますよ、ゾロメ女的ベスト本!洋服だって、たとえば、デパートとか通販とか、無尽蔵に近い選択肢から選ぶより、街の中高年向けの衣料品店やスーパーのファッションフロアの方が、案外掘り出し物を見つけられたりしますもんね。
・・あれ?この喩え、違うかも。
ま、まあいいか。
そんなわけで、今年の3冊は
『アレグリアとは仕事はできない』(津村記久子/著)
『鈴狐騒動変化城』(田中哲弥/著 伊野孝行/画)
『アイネクライネナハトムジーク』(伊坂幸太郎/著)
です。
まずは『アレグリアとは仕事はできない』。
この2~3年、私はかなり津村記久子さん贔屓の人生を歩んでいます。
今年だけでも、この本の他に『ポースケ』『エブリシング・フロウズ』『まともな家のこどもはいない』『ポストライムの舟』『ウエストウイング』『ミュージック・ブレス・ユー!!』(再読)を読みました。
1年に読んだ総冊数が少ないのに、7冊というのはかなりのツムラーですね、私。
どれも面白かったのですが、『アレグリアとは仕事はできない』を選んだいちばんの理由は、ずばりタイトルです。
「アレグリアとは仕事はできない」ってメチャクチャかっこよくないですか?口に出して言いたくなりませんか?
津村さんお得意の会社小説です。
専門職ではない、一般事務職(こんな言葉があるのかどうか不明ですが)を経験した人には特に共感できる内容・・と書きかけて、彼女の小説にそういう単純な括りは邪魔だなと思い直しました。
とにかく、津村さんぐらい、屈託や屈折の人を描かせたら絶妙なツボを押す、上手い書き手もいないと思います。
次は『鈴狐騒動変化城』です。
出版界の良妻賢母(?)、みなさまの福音館書店がお届けする児童書で、(福音館創作童話シリーズ)と銘打たれています。
旧知の仲の人が私のこのセレクトを知ったら「小学校の図書室でパートを始めたと思ったら、今までにない分野の、しかも福音館の本なんぞを挙げやがって。すっかり良識派に転向か」と言われてしまうやもしれません。(被害者意識過多か)
確かに児童書は、大人になってからの自分があまり読んでこなかったジャンルですが、児童書や福音館という言葉に騙されてはイケマセン。
枠は収まらないために、ハメは外すために、存在するのかも、と思わせてくれるような麗しい物語です。
無理難題をふっかけるお殿様に、上方の町民達と彼らに助けられた狐のおツネちゃんが立ち向かう話なのですが・・はっきり言ってアホです。
寄り道、回り道程度で驚くなかれ、時に道は雲散霧消し、代わりにとんだ四次元的空間が出没したり、冒険あり笑いあり失笑あり涙あり、とにかくなんでもありです。
話に輪をかけて・・というか、活字とタイマンを張るかのように、伊野孝行さんの挿画もブッ飛んでいます。そのコラボの妙に幻惑もされて、破天荒で自由奔放な世界を満喫しましたが、この「世界」の肝は、おツネちゃんのセリフ、「好きやなあいう気持ちは、なんかおもろいことになって楽しいなあ」に集約されるのですよね。
おツネちゃんがメチャクチャかわいい。
特にかわいいページを確認しようと思いましたが、この本にはページ数が全くふられていないことに気づきました。
そんなのありか!?
これじゃ、ページが外れたときとか、修理しづらいじゃないですか(と突如、図書館司書的ダメ出し!?)。
トリは『アイネクライネナハトムジーク』。
小説より先に、この小説の世界を曲にした斉藤和義の「ベリー ベリー ストロング~アイネクライネ~」を聴き込んでいた身としては、待ってました!の連作短編集です。『首切り男のための協奏曲』もすごく良かったので迷いましたが、曲の分、こっちに軍配。
デビュー当時、世間がまだ『オーデュボンの祈り』にあまり気づいていない頃からから好きだった(自慢)のに、一時期、伊坂作品に乗れなくなった自分がいて、それがなんだかとても残念だったのですが、去年ぐらいからまたグッと距離が縮まって(あくまで自分主体)とてもうれしいです。
伏線、時系列の妙、疾走感、ラストへの収束の見事さ・・。
伊坂ワールド全開、と書くとあまりにベタですが、ベタゆえにド真ん中に当たっています。
ああ、面白かった。
他に印象的だったのは
『櫛挽道守』 木内昇
『シャドウ・ストーカー』ジェフリー・ディーヴァー
『お父さんと伊藤さん』中澤日菜子
『サブカル・スーパースター欝伝』吉田豪
『想像ラジオ』いとうせいこう
などです。
記録をきちんととっていないので忘れてしまったものもありますが、今こうして振り返ると、冊数は少ないなりに、2014年も充実した読書生活だったように思えてきました。
地元の衣料品スーパー「いなきや」で、ナチュラル素材で低価格のカーディガンや、履き心地のいいウォーキングシューズを入手してたことを今思い出した、みたいな。
そんなわけで、今年のゾロメ女はこれにて一件落着です。
来年はどんな年になるのやら。
今年もいろいろありがとうございました。
みなさま、よいお年を!
by月亭つまみ
こんなブログもやってます♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」<
つまみ Post author
【おわびと訂正】
今回の記事で、『鈴狐騒動変化城』には「ページ数が全くふられていないことに気づきました。そんなのありか!?」と書きましたが、ページ数の表記、ありました!
ページを開いたときの内側の下に振られていました。
私の完全な見落しです。
記事内で訂正しようかと思いましたが、こちらでおわびします。
申し訳ありませんでした!!
じじょうくみこ
つまみさま、今年も知らない作家さんや未知のジャンルに出会わせてくれて
本当にありがとうございました♪
わたしも今年はかなり読書量が落ちました。。。
それにしても2014年ベスト本。
今年もまあ見事にどれも読んでませんでした(爆)
でも伊坂さんがランクインして嬉しいなあ。
わたしは最近ようやく「残り全部バケーション」を読みました。
内容よりも前につまみさんが名前編でご紹介していた
「毒島(ぶすじま)」のインパクトがすごすぎた!!
「アレグリアとは仕事ができない」と
「お父さんと伊藤さん」はタイトルが気になりすぎる。
これは来年ぜひ手にとりたいところです。
タイトルといえば、こちらも以前ご紹介していた
「妻が椎茸だったころ」も探したいと思っております。
(ちなみに今タイトルが出てこなくて
「わたしがきのこだった」で検索したら、ちゃんとトップに出てきましたw)
つまみ Post author
わあー(*’▽’*)♪じじょくみさん、コメントありがとうございます!!
うれしいです♥
本に関してコメントをもらうのってやっぱりうれしいし、ありがたいです。
自分がアツく語った本を一人でも誰かが「読んでみようかなあ」と思ってくれたり、一方で「あら、その本は私はつまんなかったけどな」と人それぞれ心にヒットする本が違うなあと感じてくれたりすることが、おおげさかもしれませんが、私の明日への活力なのだとあらためて思いました。
じじょくみさんのコメントで、来年も本のことをちまちまでも書こうと思えましたよ。
ありがとー\(^^)/
あ、そうそう。
『お父さんと伊藤さん』、いいですよー。
なんか、じじょくみさんに合う気がします。
よかったら読んでみて下さい~。