ゾロメ女の逆襲

ゾロメ日記⑰ 人生はとにかく暑い!

 

◆8月某日 暑くていろんなものがとろけそうだ

トマス・H・クック『サンドリーヌ裁判』を読む。
トマス・H・クックを知ってからもう四半世紀ぐらいになる。全部の作品を読んでいるわけではないが、ずっと気になる作家であり続けている。

私がミステリーをよく読んでいた前半世紀末頃、日本で人気のあった海外ミステリ作家には、たとえばロバート・B・パーカーロバート・R・マキャモンマイクル・Z.・リューインなどがいるが(「アルファベット挟み」つながりにしてみた)、その中でもトマス・H・クックはダントツで暗かった。そして今も暗い。

今回のテーマは夫婦愛。共に大学で職を得ていた夫婦の妻の方、サンドリーヌが重い病に冒され死を選んだ・・かのように見えるのだが、夫に殺人の疑いがかかる。夫は疑惑まみれなのだ。

真相はいかに。

 

ひとくちに夫婦愛といっても、その形や気持ちは夫婦の数だけあるわけで、ある程度長く生きていると、夫婦間に限らず、愛と憎しみは対極ではなく、むしろ近所同士だと思い知ることも多い。そんなラビリンスのような人間の心の痛点を絶妙に押す小説だ。

resting-antonio-mancini
アントニオ・マンチーニの『休息』がモチーフに。

決して読みやすくはないけれど、ページを捲る手はとまらない。中島義道氏やピン芸人ヒロシ同様、トマスの世界観もネガティブ芸ってことなのだろうか。

あ、でも今回、最後の1Pでびっくりするほど溜飲が下がるのである。トマスなのに、まるでマイクル・Z.・溜飲、みたいな。

しーん。

・・これも暑さのせいってことで。

 

 

◆8月某日 脳がとろけてる?

いくら暑いから、字面が似ているからといって、Twitterに白目がちな彼女は真実を白日の下に晒すために目白自白した」などとつぶやくのはヤバ過ぎるだろうか。

 

そんなわけで、友人と目白へ。現在、目白のブックギャラリーポポタム(⇒)で『祖父の人形』という、この友人が制作した写真集発売にあわせた人形のミニ展示が開催されている。それを見に行って来た。

前回の「化け猫10日間の失踪とその奇跡的な救出劇」(⇒)に続き、ともだち(自慢)ネタがシリーズ化の様相を呈しているこの日記だが、別にネタ切れだからではないのである・・たぶん。たまたま、単純にともだち周辺で「すげえ!」と思うことが続き、黙っていられないだけなのだ・・きっと。

まあ、見ていきねえ読んでいきねえ(笑)。

 

友人のお祖父ちゃん、原田栄夫さんは今年満100歳。ちり紙や紙粘土で人形を作っている。これがとても味わい深い。が、栄夫さんの作る人形は「100歳」「味わい深い」でイメージしがちなモノとはたぶん少し違う。

栄夫さんの作品は存外にアバンギャルドだ。破天荒な芸術作品、という感じでは全然ないが、私はそこに微かな狂気という通奏低音のようなものを感じ、それが「慎み深い前衛」と映る。

そしてその作品には、なにかを成し遂げた人の俯瞰や手慰み感はないかわりに、これからなにかを成し遂げるであろう人のどこか切羽詰まったような勢いを感じる。

DSC02501
ポポタムに集合中の人形たちの一部

考えてみると、5歳だろうが50歳だろうが100歳だろうが、生きている限り人は誰でも「これからなにかしらを成し遂げるであろう存在」なのであるが、こういうことを考える自分はいったいなにをわかった気になっているのだろうとも思ってしまう。

栄夫さんも人形たちも全く超越ヅラしていないので、どんなアプローチであれ、うがった見方や過剰な意味づけはエグくなる。

DSC02502
左の羊たちも商品です。買えばよかったな。

友人が撮りためた人形の写真に、浅生ハルミンさんのじんわりくる推薦文が加わり、このたび一冊の写真集になった。ちり紙のドレスの色と質感、女性や動物たちの表情、ポーズ、そして孫によるお祖父ちゃんについての文章も含め唯一無二の世界だ。

写真集の中に登場する栄夫さんの顔もいい。学者然というか、好々爺そうでそうでもなさそうな、人に容易くジャッジさせない、するりと逃げる表情がステキだ。憎いね。

この『祖父の写真』(ちなみに900円+税)が、多くの人の目に触れればいいなあと思う。

 

友人が運営する栄夫さんの作品紹介&栄夫さん情報ツイッターはこちら⇒ 

 

by月亭つまみ

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コメント、ありがとー!

  • アメちゃん

    おはようございます!
    先日Twitterに
    「オリーブオイル もちこみ」は「オリーブオイル もこみち」に空目する
    とつぶやいてたのがありました。
    それを読んだ私も、疑うことなく「もこみち」と読んでました。暑いですね。

    やはり、なにをするにも、というか、生きるという意味でも
    年齢とか、過去の時間は関係ないんでしょうね。
    やなせたかしさんのアンパンマンも、人気がでだしたのは
    たしか50代後半だったと記憶します。
    今という一瞬一瞬に集中することが大切なのかな、、。(何を言っても野暮なかんじですが)

    そうそう。
    先日の「今日から地球人」を図書館で借りて読んでいます。
    電話で図書館に予約をいれたときに
    「『今日から地球人』という本なんですが・・・」
    と言ったら、
    職員の方、パソコンに入力しながら
    「『今日から日本人』と・・・」
    って言って、笑ってしまいました。暑いですね。

  • つまみ Post author

    アメちゃんさん、おはようございます!

    暑くならないうちにと(なってましたが)さきほどスーパーに行ってきましたが
    POPに「うるだような暑さが続いていますが・・云々」とあり、「ん?」。
    ホント、暑いですね。

    今、自分が90代、80代と暮らしていても思いますが
    余生、みたいな言葉は、若い人間の感覚かもしれませんね。
    高齢者が使ったとしても、それはあくまで洒落や自虐なのかもしれないと思ったりします。
    余りの人生(時間)なんてないし。
    ・・確かに、何を言っても野暮なかんじになっちゃいますね(^^;)

    『今日から地球人』、お読みくださってありがとうございます。
    自分が取り上げた本が読まれると本当にうれしいです。
    でも「今日から日本人」って・・。
    帰化した知人でもいるのでしょうか、その職員さん!?

  • サヴァラン

    マイクル・Z.・溜飲
    これ、好きです。

    そしてもちろん「目白の白目」も。

    そしてそして栄夫おじいちゃんの天衣無縫も。
    わたしは特に「太陽の塔」が一等好き!!!

  • つまみ Post author

    サヴァランさん、こんばんは!

    マイクル・Z・溜飲、発見の際は、脳内豆電球が点灯した感覚でしたので、好きと言っていただけてとてもうれしいです。

    目白関係は、完全に脳がとろけてましたね。
    白目がちってなんだよ!とツッコミもいただきました。
    ガラスの仮面、でしょうか(^^;)

    栄夫さんの人形、私はどれだろうなあ。
    ああ、迷って選べません。
    インパクトでは「カメに乗った男の子」でしょうか。

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