11月23日はカレー記念日

カレー記念日

さあ、やろう 片づけはじめて すぐ息切れ

11月23日はカレー記念日

爽子

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

50代、男のメガネは

人を殺すということ。

image

 

子どもの頃、隣の家に住んでいたおじさんはかなりワイルドな人であった。というか、家族揃ってワイルドであった。

 

息子さんは僕が小学生の頃にすでに成人していて、働き始めて一週間で行方知れずになった。行方知れずになってしばらくの間は、おじさんもおばさんも泣いて暮らしていたのだが、3カ月ほどしたある日、隣の家から互いの家の薄い壁を越えて、おばさんの叫び声が聞こえてきた。

 

僕の家は、父と母と弟と四人暮らしだったのだが、その叫び声が聞こえてきた時には晩ご飯を食べていた。家族揃って、食べていたのだから、土曜日か日曜日かだったような気がする。

 

父親がつっかけを履いて、隣へと走って行った。母親が止めるのも聞かずに、僕がその後を追った。昔のことだから、玄関に鍵などかかっていない。親父はガラスの引き戸をガラガラと勝手に開けて隣の家に飛び込んだ。何度か、おばさんにおやつをもらうために上がり込んだことのある隣の家は、僕にとってはなかなか居心地のいい空間だった。

 

しかし、その日飛び込んだ隣の家は、そこらじゅうのものが倒れたり、壊れたりしていて、見るも無惨な状況になっていた。そこで見た光景に僕は唖然とした。

 

出て行ったはずの息子さんが台所の板の間に、上半身裸で四つん這いになっていたのである。その背中をおばさんが泣きながらタオルで必死にこすっている。

 

「ほら、見てやってください。見てやってください。こんなしょうもない墨いれて!」

 

僕の父も呆然と突っ立ったまま、その光景を見ていた。

 

おばさんが何度も何度もタオルでこするので、息子さんの背中は真っ赤になっているのだが、その真っ赤な皮膚にうっすらと下絵のような魚の刺青が見えた。

 

「まだ、消えるんとちゃうか?」

 

父はそう言うのだが、隣の家のおじさんは、

 

「もう、墨が入ってしもてるさかいなあ、そう簡単には消えんやろ」

 

そう言って、正座をして息子の背中を眺めている。

 

それからしばらくの間、父も僕も、隣の家のおじさんも、一言も口を聞かずに、四つん這いの息子さんと背中をこすり続けるおばさんを眺めていた。

 

どのくらい、時間が経ったのだろう。僕が「これ以上、こすり続けると、背中から血が流れるんとちゃうか」と思った頃に、父は僕に「先に、帰っとけ」と小さく怒鳴った。

 

父は長い時間帰ってこなかった。途中で母が隣へ行き、父も母も帰ってこなかったので、僕と弟は先に寝てしまった。

 

何日かして、「背中に刺青入れるて、ヤクザやんなあ」と父に言うと、父は「そうや、ヤクザや」と答えた。

 

「ヤクザはなんであかんの? 刺青入れるからあかんの}

 

僕がそう聞くと、父はしばらく考えてから答えてくれた。

 

「そうやなあ。刺青入れると強くなった気がするやろ」

「うん」

「強くなった気がすると、人にえらそうにするやろ」

「うん」

「えらそうにすると、人から恨まれる。恨まれると人を怖がるようになる」

「うん」

「そしたら、強がってるもんほど、いつか人を傷つけたり殺したりしてしまうかもしれん」

「……」

「そやから、ヤクザはこわいんちゃうかなあ」

 

うろ覚えだけれど、父はそのようなことを言った。

 

最近、人を殺してしまうような少年事件のニュースが多い。そんなニュースを聞く度に、あの時の隣の家のことを思い出す。そして、父が言った「強がってるもんほど、いつか人を傷つけたり殺したりしてしまうかもしれん」という言葉を思い出す。

 

罪を犯してしまう少年たちがとてつもなく深い寂しさのようなものを抱えているのだろうと思っているのだけれど、そんな寂しさは実はみんなが持っている。ただ、それが鎌首をもたげた時に、竹尺を持って、すねを叩きつけてくれる人がいなければ、寂しいという気持ちは次第に、寂しいという暗い形として具現化してしまうような気がする。

 

まだ、寂しいという漠然とした、カタチになる前の「気持ち」の間に、叱りつけ、抱きしめてくれる人がそばにいるかどうか。そこが分かれ目になるのだろうか。

 

だとしたら、大人も子どもも関係がない。隣人が、我が子が、暗い闇を抱えてしまわないように、という配慮よりもむしろ、人は誰もが寂しい暗い闇をどこかに抱えているのだ、という理解が必要なのではないかと思えてくる。

 

ただ生まれて死ぬだけの動物ではなく、「なぜ、生きているのだろう」と考えられる知恵を身につけた瞬間から、人は寂しさを引きずりながら生きているのだから。

 


 

植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。

 

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。

 


50代、男のメガネは 記事一覧へ


コメント、ありがとー!

  • パプリカ

    植松さま

    初コメントです。
    涙あふれて滂沱です。

    お父様の言葉と

    『そしたら、強がってるもんほど、いつか人を傷つけたり殺したりしてしまうかもしれん』

    植松さんの言葉

    『まだ、寂しいという漠然とした、カタチになる前の「気持ち」の間に、
    叱りつけ、抱きしめてくれる人がそばにいるかどうか。そこが分かれ目になるのだろうか。』

    『ただ生まれて死ぬだけの動物ではなく、「なぜ、生きているのだろう」
    と考えられる知恵を身につけた瞬間から、人は寂しさを引きずりながら生きているのだから。』

    植松さんのお父様の言葉が
    masato 少年に響いて、
    大人植松の言葉となり、
    (いつも大爆笑させてもらっている)私を
    黙らせ、時間を静止させ、涙をあふれさせる。

    聖書の『汝、殺すなかれ』
    何故?を理解したければ、

    つっかけをはいて、お隣にかけこんだ父上のように
    『汝の隣人を愛せよ』から始まるのかもしれません。

  • uematsu

    uematsu Post author

    パプリカさん、はじめまして。

    子供の頃に見聞きした風景、
    というのは後々効いてきますね。
    でも、それは取り繕うことのできない、
    本質みたいなものが滲むからこそ、
    響いてくるような気がします。

    なので、子供と接するときも、
    誤解を恐れず、多少理不尽でも、
    まっすぐに向き合おうと思います。

    周囲の人たちに対しても。

    時々、しんどいこともありますけど(笑)

  • カリーナ

    カリーナ

    わたしも「つっかけを履いて、隣へと走って行った」というところが好きです。それから、「これ以上、こすり続けると、背中から血が流れるんとちゃうか」と思った頃・・・というところも好き。ここは、ちょっと笑ってしまうんです。笑ってしまったあと親御さんが、こすってこすって消そうとしている必死さが目に浮かんで「そうだよね、そうだよね、大事な大事な息子の背中だもん。さすって落としたいよね」って思う。

    大人って若者に伝えようとするために滑稽であっていいんですね。わたし、娘に対して植松さんのお父さんのように自分の言葉で説くこと、できたかなあ。

    私の小学校のころから今までつきあっている友人のお父さんは、いわゆる極道の人で、家に遊びに行くとあちこちに入れ墨のある人が出入りしていました。眉毛とかにもあったなあ。子どものころにいろいろな人(どちらかというとはみ出している人)を見ることができて、本当によかったと思います。

  • カミュエラ

    パプリカさんと同じく、読みながら泣いてしまいました。
    年齢を重ねると、老若男女ほんとにすべての人が何がしか心に闇を抱えてることがはっきりとわかってきますよね。わかってくると、とにかく人に優しくしなくちゃいけないんだと本気で思うようになります。恥かしながら本気でそう思うようになったのは最近のことです。
    一番近くにいる夫や子どもが抱えている闇を思うと、若いころのように何かあればすぐに「離婚してやる!」ってなったり、子供の話しを半分聞いてがーーーっと怒ったり、そういうことも出来なくなります。(笑)

    カリーナさんの言葉「大人って若者に伝えようとするために滑稽であっていい」、ほんとにそう思います。
    自分も含めいつの頃からか’滑稽’を避けて生きる大人が増えてきてしまったんですね・・・・・
    大事な人たちに(余力があれが他人にも)滑稽な姿をさらして、気持ちを伝えていかなければと思います。

  • uematsu

    uematsu Post author

    カリーナさん

    なんだか、世の中の出来事は、
    他人から見ると、笑ってしまほど不器用で無様に見えますよね。
    だけど、本人は必死だというところがたまらなく愛おしい。

  • uematsu

    uematsu Post author

    カミュエラさん

    僕は最近思うのですが、学校の先生でも親でも、
    子供たちの前で壁になってあげられる人や、
    悪役になってあげられる人はすごいなあ、と思います。
    そして、自分もそうでありたいと思います。
    学校で学生を相手にしていても、学生からよく思われたい、
    学生と仲良くしたい、という先生がとても多い。
    だけど、そういう先生に限って、自分のことしか考えていなかったりします。
    ちゃんと向き合うということは、仲良くすることとは違うと思うんです。

    う〜ん、なんか難しいですけど(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

日々是LOVE古着

子どもの頃の宝探し

今週の「どうする?Over40」

食べ物という言葉。犬のおやつも、大阪の飴ちゃんも、さりげなく。

カレー記念日 今週のおかわり!

ちょうどいい あったか肌着は どこにある

なんかすごい。

カリーナさんの本

出前チチカカ湖

第163回 最近なくしたものを語ろう

50代、男のメガネは

とりあえず、言っておく。

OIRAKUのアニメ

第43回 日本沈没2020劇場編集版 オーディオ・コメンタリー付き上映

ミカスの今日の料理 昨日の料理

きちんとさん:糸こんタラコ炒め

これ、入るかしら?

vol.74 ドレスとカジュアル

いどばた。

誕生日がいっしょな有名人は誰ですか?

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.40 ムズムズーム

これ、買った!

耐久 メガネのくもり止め買った!

わたしをライブに連れてって♪

みなさん、ZOOMしてますか

じじょうくみこの崖のところで待ってます

ゆるふわゲストハウスへ、ようこそ!

絵手紙オーライ!

わたしの模写修行(棟方志功)

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

ヘッドマッサージャーで柔らかあたま

昭和乙女研究所

お菓子編 アイス

黒ヤギ通信

ゆっくりと

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

ワクワクしたら着てみよう

冬のペールトーンコーデにワクワク~♡

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

いろんな言葉

デトックスフォー、あの日を振り返る

四十路犬バカ日和

小さな日常、非日常。

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

ただいま閉活中

(終)まだの人も、そろそろの人も、もうの人も、みんなお疲れさま!

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

よもじ猫

隠密失敗

猫No.62  by つまみ

猫大表示&投稿詳細はこちら!

隠密失敗

猫No.62  by つまみ

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「どうする?年齢とおしゃれ。それからすべての生き方」

  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up