4月26日はカレー記念日

カレー記念日

背中痛い 言われてのみこむ 私もよ

4月26日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

50代、男のメガネは

奈良の山の中で聴くサッチモちゃん。

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

昨年から続いているNHKの朝の連続ドラマ『カムカム・エヴリバディ』はとても面白い。あのドラマの中で、ルイ・アームストロングが演奏する『On the Sunny Side of the Street』が「とっても大切な曲」として扱われている。

「陽の当たる道を歩いて行こうね」という人の望みと祈りの象徴として、この曲が物語の踊り場的な場面にさしかかるたびに聴こえてくる。主人公もルイ・アームストロングから名前をもらって「るい」と名付けられた。物語が進み、ジャズミュージシャンたちとの交流ができてから、るいは「サッチモちゃん」と呼ばれるようになっている。

サッチモはルイ・アームストロングの愛称だが、サッチモという愛称を聞くと思い出すことがある。

僕がまだ20代になったばかりの頃。映画の学校の新米先生をしながらシナリオを書いたり、カラオケビデオを撮ったりしていたけれど、それなりに毎日を楽しくいい加減に生きていたような気がする。そして、いまのようにSNSで人を塩漬けにするような情報はなくても、周囲の大人たちを追い抜いてやろうと、必死で大人びたものを探していた。

そんな大人びたものの代表が僕にとってはジャズだった。いいと言われるジャズマンのアルバムは片っ端から聞いたし、まだそこそこ数のあったジャズ喫茶にも出入りした。

奈良の橿原にあったジャズ喫茶に『山』といういい店があると、地元の女の子に教えてもらってから、その店は僕のお気に入りになった。広い店内にはピアノがあり、真空管のアンプやJBLの大きなスピーカーがあった気がする。そして、店内はいつも客が少なく、暇な時はマスターがハンダづけをしていた。あれは、アルバイトだったのか暇つぶしだったのか。

その日も客は僕ひとりで、カウンターに座ってコーヒーを飲みながらビル・エバンスなんかをかけながらマスターと話をしていた。そこへ扉が開き客が一人入ってきたのだ。

赤いワンピースを着て、赤いつばの広い帽子を被った女性だった。若くはない。かと言って年配という感じでもない。いや、あの頃の僕に女性の年頃を言い当てるだけの気量はなかった気がするので本当のところはよくわからない。ただ、もしかしたらお金持ちかも、という気がした。身につけているものが高そうだというのと、なんとなく雰囲気が浮世離れしていたからかもしれない。

その赤い女もカウンターに座った。僕と一席あけて。そして、「なにかカクテルはあるかしら」とマスターに聞き、「簡単なものなら」とマスターは答えて会話は終わった。しばらくの間、三人で黙ってビル・エバンスを聞いていたのだけれど、アルバムが終わると、赤い女がマスターに声をかけた。

「リクエストしてもいいのかしら」
「いいですよ。なにかかけましょうか?」
「サッチモ、お願いできる?」
「おっ!サッチモ!ルイ・アームストロングですね」

マスターがうれしそうに答えると、赤い女は怪訝な顔をした。

「いいえ、サッチモよ」
「あ、はい。そうですね。サッチモね。うん、ルイ・アームストロングですよね」
「あ、そうね。じゃ、サッチモのその曲かけて」
「はい、わかりました」

そう言って、マスターは『On the Sunny Side of the Street』をかけたのだった。

レコードに針を置いて、パチパチとノイズが鳴り、店内がシンとしている数秒の静けさは忘れられない。赤い女が、こんなのサッチモじゃないなんて言い始めたらどうしよう。そんなことを思いながら、僕たちは曲の始まりを待っていた。

そして、弾けるようなサッチモのラッパが聞こえ始めると、一瞬にして奈良県橿原市のジャズ喫茶『山』の中は、それこそ陽の当たる道のように明るく照らされた気分で満たされた。

赤い女もカウンターを軽く指で叩きながらサッチモを聴いている。マスターは僕に笑いかけながらコーヒーのおかわりを注いでくれる。

ドラマの中から「サッチモちゃん」という呼び声が聞こえるたびに、僕が思い出すのは、『On the Sunny Side of the Street』が流れ出す、数秒の沈黙なのである。




植松さんのウェブサイトはこちらです。
植松眞人事務所

こちらは映像作品です。


植松さんへのご依頼はこちらからどうぞ→植松眞人事務所

植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。


50代、男のメガネは 記事一覧へ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

60代、男はゆっくりご乱心

さて、どこに住もうか

ミカスの今日の料理 昨日の料理

おばさんは楽しみを作り出す: チージーエッグ

かわいいちゃん

体重

今週の「どうする?Over40」

「街を案内して、スマートにもてなす」ができないまま、大人になった私。

母を葬る

(10)親子という仕組み

山あり谷あり再婚ライフ

60代若いのか年寄りか?

カレー記念日 今週のおかわり!

ベテランになった 伊藤沙莉を 見たいのに

出前チチカカ湖

第196回こう見えて一途(いちず)です。

なんかすごい。

春の地響き

四十路犬バカ日和

ペットタクシーで病院に行ってみた!

OIRAKUのアニメ

第101回 アストロノオト/終末トレインどこへいく?

黒ヤギ通信

桜の下、草葉の陰

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.80 朝ドラと『化学の授業をはじめます。』の化学反応

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年2月4日

絵手紙オーライ!

絵の具セットの思い出

昭和乙女研究所

ファンシーケース

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

よもじ猫

陥落直前

猫No.13  by はらぷ

猫大表示&投稿詳細はこちら!

陥落直前

猫No.13  by はらぷ

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up