つまみの「帰って来たゾロメ女の逆襲」 ②
コーヒーが好きです。
豆の出自にこだわりはありません。
煎れたてであればなんでも美味しくいただくクチです。
昔、「タバコは健康のバロメーター」とコメントして顰蹙を買った大臣がいましたが、その発言に潜んでいたスケベ心やタバコの是非は別として(昨今は「是」とはおよそ言いづらい世の中であることもさておき)、当時、このコメント自体は「どこがいけないの?」と思ったものです。
タバコにしろ、お酒にしろ、そしてコーヒーも、嗜好品というものは、それを美味しく感じるか否かが自身の健康のバロメーターになる、というのは至極、理にかなった見解だと思います。
私なんぞはコーヒーが美味しく感じられる、美味しいコーヒーが飲める、人生はそれだけで十分にシアワセだ!ぐらいに思っています。
平安寿子さんの『コーヒーもう一杯』(新潮社)と、梨木香歩さんの「雪と珊瑚と」(角川書店)を偶然続けて読みました。
どちらもカフェを経営する女性がヒロインの話です。
平さんと梨木さん、双方の小説をご存じの方には言わずもがなでしょうが、設定や扱う商品は近くても、その世界はまったく別、どちらかというと対照的です。
キレイゴトをとことん排して、現実の厳しさやままならなさ、やるせなさ全開の平ワールド。
「もうわかったよー。それ以上、私を責めないでくれー」とヒロインと同化することもしばしば。
一方、梨木ワールドは、リアリティに重きを置くというより、時には読み手を幻惑させる作者の揺るぎない価値観、みたいなものが常に文章の端々に投影されている小説、という印象です。
平さんの魅力は、そんな世界なのに読後感はいつもどこか爽やかなこと。
梨木さんは、たとえ予定調和に思える展開の小説でも、「なにか深いところにあるモノに触れた」感覚が、なんとなれば、読み終わって何週間経ってもありありと残っていたりすることがなによりの魅力かと。
う~ん!甲乙つけがたし!!
別に甲乙なんてつける必要ないよ、と言われそうですが、せっかくなので決めると(勝負好きなのか、私)今回は読後感の良さで『コーヒーもう一杯』の勝ちかな。
でも、どちらが美味しいコーヒーを飲みたい気分にさせたか、で言えば『雪と珊瑚と』ですね。
あ、やっぱり引き分けじゃん!
・・さて、コーヒーでも飲もうかな。
Byつまみ
こんなブログをしています。正体不明な女二人のブログ。
お昼休みなぞにのぞいてみてください♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
あお
コーヒー、私も大・大・大好きです。挽きたての豆の香りはたまらん!これがなくては1日始まらないし、飲んで「おいしい~」と思う瞬間、本当に幸せです。
対照的なお二人の本、おもしろそうですね。さっそく読んでみようと思います。
つまみ Post author
あお様
ですよねー。
あんなどす黒い飲み物なのに(笑)、おいしいし、おいしいと思う瞬間は本当に幸せだと思えます。
>対照的なお二人の本、おもしろそうですね。さっそく読んでみようと思います。
わー(*’▽’*)♪そう言っていただけるとうれしいです。
チェロ子
私もこのおふたりの作家さんが大好きで、よく読みます^^
珈琲は、気がつかなかったけど確かにバロメーターですね。
ストレス溜め込んでいる時とか・・・美味しく飲めなかったりします。
つまみ Post author
同好の士、うれしいです!
このおふたりもそうですが、大人で、若いモンに迎合してなくて、でも大人であることにふんぞり返ってないような小説を書く女性が好きです。
他には中島京子さんとか木内昇さんとか。
コーヒー、鬱々した気分のときは直で胃にきたりしますよね。
チェロ子さんというお名前に反応してしまいました。
もしかしてチェロをお弾きになったりするのですか?
ステキだ、チェロ。