エアチェックが懐かしい
ボブ・ディランの唄声が頭の中でぐるぐるまわっている。
ノーベル文学賞発表の夜、自宅でテレビやインターネットをチェックしながら、まだかまだかとその瞬間を待っていた。明日の番組ではきっと話題の中心になる。だから今夜中にしっかり内容を押さえておかねば。
村上春樹さんは学生時代からずっと読んでいるし、エッセイやインタビュー集もほぼ目を通しているので(つまりファンなので)大丈夫。とはいえ遠い国の作家や知らない詩人が受賞するのも悪くない。ノーベル賞をきっかけに、自分の読書の幅が広がれば素敵だ・・・などと考えながら、ワインを飲んで、ニュースサイトをクリック、クリック。
そして、夜の8時頃、ツイッターで、ノーベル文学賞がボブ・ディランに決定したことを知る!
「え?どのボブ・ディラン?あのボブ・ディラン?それとも、私の知らないボブ・ディラン??…」
翌朝の番組では、リスナーさんからボブ・ディランに対する賛辞がたくさん寄せられた。同時に、「ビックリしました!」「意外でした!」「ボブ・ディランっていう作家がいるのかと思いました…」という素直な反応もたくさん頂いた。
リクエストはボブ・ディランの楽曲に集中。「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリング・ストーン」「天国への扉」「時代は変わる」などなど。この日、全国のラジオ局で、どれくらい彼の曲が流れたのだろう。改めて歌詞をじっくり味わってみたいと思った。
ノーベル文学賞の発表を受けて、テレビのニュース番組のコメンテーターが、
「私は青春時代、ボブ・ディランから多大な影響を受けました。ラジオで曲をエアチェックして、カセットテープが擦り切れるまで聴いていました」と話していた。
“エアチェック”という言葉に胸がキュンとなった。昔は私もエアチェック魔だった。DJの曲紹介が音楽にかぶらないことを祈りながら、紹介が終わったと同時に、ガッシャンとラジカセの録音ボタンを押す。少し重たいボタンを押すあの感覚が、指によみがえってきた。
「風に吹かれて」のヒットから半世紀あまり。音楽は今でもラジオにとって大切な要素であることに変わりはないが、ラジオの聴き方、ラジオの楽しみ方については、ここ最近、大きな変化が起きている。
ラジオがなくても、スマホやパソコンで放送が聴けるラジコと、有料会員になれば県外放送も聴取できるラジコプレミアムは、利用されている方も多いだろう。ノイズもなくクリアな音で放送を楽しめるのでおすすめだ。
そして、そのラジコで過去一週間分まで遡って聴くことができる「タイムフリー機能」なるものが今月スタートした。つまり、放送を聞き逃しても、一週間以内であれば、いつでも聴くことができるという便利な機能だ。
さらに、面白い放送箇所は、SNSで仲間に知らせることができるという「シェアラジオ」なるものも始まった。そう、ラジオは自室でこっそり楽しむものから、皆でシェアするものに、移行しつつあるのだ。
ラジオは音のメディア、パーソナリティが発した生まれたての言葉は、電波に乗って聴き手に届けられ、消えていく。どんなにいい話も後には残らない。つい最近まで、ラジオ放送はそういうものだった。後々まで形の残る活字メディアをうらやましく思うこともあったが、刹那的で空気のような軽やかさを持つラジオの特性が大好きでもあった。
ラジオの聴取文化が変わっていく。より多くの人がラジオに親しんでくれますように。つくり手として日々精進したい。
いまねえ
こんにちは。
中学時代、同級生たちが競うように深夜ラジオの話題を口にし、
夜遅くまでラジオを聴く環境になかった私はその話題に
ついていけませんでしたが、徐々にラジオから流れてくる
洋楽に夢中になり、ラジオが貴重な情報源の時代でした。
エアチェック!今その言葉を口にしたら
エアギター?と返されて、カレー曜日の句にできそうな
懐かしの言葉と思われますが、あのドキドキしながらボタンに
指をのせていた場面が懐かしく胸に迫ってきます。
今はすっかりラジオから遠のいた生活になってしまいました。
ラジコなどと初めて聞く言葉です。
興味津々。。。
つまみ
がっちゃんさん、こんばんは。
毎回、楽しみで、今度はどんな話題だろうとわくわくして読んでいます。
はい、生粋のラジオ好きです。
エアチェック!なつかしい響きです。
この響きでまず浮かぶのは、「FMレコパル」「FMファン」などのFM雑誌です。
LPレコードなどカンタンに買えない時代、LPレコードまるっと1枚の特集はありがたく、この手の雑誌で、目を皿のようにしてチェックしていました。
そういえば、新聞のラジオ欄も、今より大きなスペースをとっていたような気がします。
そして、エアチェックの成果は、カセットで繰り返し再生していました。
1980年代、高橋基子さんというパーソナリティの番組にRCサクセションが登場したときに録音したものなど、まさにテープがすり切れるまで聞きました。
番組中に、基子さんが「たぶん」と言おうとして「たぶくん」と言ってしまったのを夫と一緒に何度も聞いたせいか、いまだにわが家では、たぶんをたぶくんと言う名残りがあります。
バカ夫婦。
ラジコや、大きな賞の発表の翌日の話題など、ラジオの現場ならではの話題も大好物です。
これからも楽しみにしています。
アメちゃん
こんにちわ。
私も中学生ぐらいのときにラジカセを買ってもらって
ラジオで好きな曲がながれると、カセットに録音していました。
パーソナリティの紹介が終わるのと、
イントロまでの一瞬の間を読んでボタンを押すのですが
いつもちょっと間に合わなかったり、ボタンを押す音?が入ったりで
難しかったですね。
でも、いい思い出です。
それにしても、ラジコのタイムフリーはいいですね!
なにか予定を入れようとしても
「あかん!、今晩は『名曲ラジオ』がある日だった・・」という感じで
なかなか外出できなかったんですけど
これで心おきなく外出できるようになりましたね。
でも、やっぱり好きな番組はオンタイムに聴きたくて
結局、ラジオを優先に予定を組んで
むしろ、タイムフリーでその番組を何度も聴いて楽しんでいます。
がっちゃん Post author
いまねえさん、コメントありがとうございます。
私もラジオから流れてくる洋楽に夢中になりましたよ♪
UKポップスやアメリカンロックなど。
部屋に受信機がなければ、出会うことのなかった世界です。
深夜ラジオは「大人の世界」をのぞき見するみたいな感覚で、
きいていました。懐かしいです。
ところで、若者に
「エアチェックってなんでしょう~??」
って問いかけたら、おもしろい答えが続々と出そうですね。
今風にいうと、‘アナログ的音楽ダウンロード’とかになるんですかね。
そう考えると、エアチェックって趣のある言葉ですよね。
がっちゃん Post author
つまみさん
「FMファン」「FMレコパル」ってきくと、これまた胸がキュンとなります。
「ビバロック」「ミュージックライフ」「ロッキングオン」など
音楽雑誌花盛りでしたね。
LP特集もありましたね~。
来日アーティストの記事を読むのも楽しみでした。
ところで、‘たぶん’を‘たぶくん’と言い続けるご夫婦、素敵ですね!
パーソナリティの言い間違いって、めちゃおいしいですよね。
つまみさん、いつもこの記事を応援してくださり、感謝しています。
大変心強いです。
これからもよろしくお願いします。
がっちゃん Post author
アメちゃんさん
そうそう!ボタンを押す音、入ってましたね
きれいに録るにはテクニックが必要でした。
ときどき曲の途中で片面が終わったりするんですよね。
そういう時は、ガチョーン!!って感じ・・・
録音したカセットテープのラベルはこだわって作ってましたね。
とにかく、楽しかったです♪
タイムフリー機能で、深夜番組も夜更かしせずに聴けるようになりました。
便利ではありますが、ワクワク感は若干薄まりますね。
ラジオ中心の生活をされているアメちゃんさん、
普段感じてらっしゃることなど、また教えて下さいね。
まぁ
がっちゃんさん、初めまして。
毎回すごく楽しみにしてます。
エアチェック、懐かしいですねー。
私も洋楽大好きなラジオっ子だったので学生時代はエアチェック魔でした。
よく聞いていた番組がすごく良心的で曲紹介の後、1秒ぐらい間をあけてくださってたんです。
曲が終わった後もすぐ話したりCMを流さずやっぱり1秒ぐらい空けてくださって…
エアチェックするリスナーの為の心遣いが嬉しかったなぁ。
今みたいに手軽にレンタルできなかったのでレコードも友達と貸し借りしてました。
借りた大きなLPは角を折ったり汚したりしないよう気を付けて持ち運んだのも懐かしい思い出です。
その借りたレコードもカセットデッキで雑音が入らないように必死で録音して…
全部手動で何回もやり直したりして。
今考えるとのんびりしてるというか、おおらかな時代でしたね。
がっちゃん Post author
まぁさん
初めまして。
いつも読んでくださっているようで、嬉しいです。
エアチェックのために曲の前後を一秒空ける番組って、すごくいいですね!
聴き手と送り手が一緒に番組を作っているような感覚が、素敵です。
レコードからカセットに録音するのも、丁寧さが必要でしたねぇ。
ノイズが入ったり、針が飛んだり。
でも借りたてのレコードに針を落とす瞬間のワクワク感は、たまりませんでした。
あと、「A面が好き」とか、「B面ばかり聴いてしまう」とか、
そういうのって、ありませんでしたか?
レコードならではの聴き方ですよね。
ジャケットも、いろんなデザインがあって、おもしろかったです。
CDジャケットは小さいけど、LPは大きかったので、部屋に飾っても様になっていました。
今思えば、レコードやカセットは、残り時間が目で見えるのも、便利でした。
アナログ、万歳♪