誰も信じてくれない : さつま芋と切り昆布の煮物
その日、1人で山手線に乗っていたミカス。
1人ってなかなか退屈。
ドアの脇に立って窓の外を流れる景色を見ながら
頭の中で「今日は山手線の旅です。♪トゥルットゥトゥールトゥールルトゥルー(テーマソング)」と世界の車窓からごっこをしてみてもあっという間に飽きちゃう。
車内を見回してみると、席はすべて埋まっていて、私を含め数人が立っているくらい。
私が立っている扉には、反対側にもおじさんが立っていて・・・
おじさんが立っていて・・・
ん?!
<私はドアの右側。おじさんは左側>
ミカス、人生の中でこんなにも見事な二度見をしたことがあっただろうかというほどの
二度見をしました。
まさに、The best Nidomi in my life。
塗ってる。
おじさん、ハゲた地肌を塗ってるよ。
一瞬黒々と生えそろっているように見えた頭髪は、
その黒さに反して妙にボリュームがなく、つうか、頭蓋骨のシェイプそのままじゃん!
見ていると悟られないよう、鼻歌交じりにチラ見をしてみると
完璧に禿げ上がった頭皮が油性マジック?いや、コールタールのように粘度のあるもので
塗りつぶされている。
『黒く塗れ』か?! ローリングストーンズか?!
<これね、コールタール>
しかも、よくよく見ると(この段階でもうチラ見ではない)
真っ黒な中にも毛穴のぶつぶつがわかるし。
この時点で、ミカス、パニック!
これは一体どういうこと?
素っ裸に洋服を描いて山手線に乗っているようなものなのか?!
つまりはボディペインティング?!
そうか、アートか。
アートのつもりなんだな、おやじ?
それとも何かの罰ゲーム?!
そうでもなければ納得できないよ!
ハゲた地肌を黒く塗りつぶして山手線に乗って、
周りが「あの人髪の毛ふさふさね」と思ってくれると真剣に考えているの?
こんな時、1人はつらい。ものすごくつらい。
こんなにすごい光景が、一生に一度出会えるかどうかわからないような光景が
目の前で繰り広げられているというのに、それをシェアできる相手がいない。
この際赤の他人でもいいと周りを見回してみても、車内の誰も気づいていない。
いや、気づいていないふりをしているのか。
その後、待ち合わせ場所で会った友達に、そりゃあすごい勢いで話したわ、
コールタールおじさんのこと。
リアルタイムでの共有じゃないけれど、これで私の心は救われる。
私の話を聞いた後、友達は言いました。
「まさかぁ(笑)」
それからというもの、誰に話してみても
「そんなことあるわけないよ」と即刻却下か、
「へぇ~」と驚くような言葉を口にしつつも顔は半笑い。
そりゃあそうだよな。
目の前で見た私だって信じられなかったのだから、
生であの光景を目にしていない人がすんなり信じてくれるわけがない。
でも、私、見たんだもの。
ハゲ頭を黒く塗って「私ふさふさですけど何か?」って顔で山手線に乗っている人を
この目でしっかり見たんだもの。
10年前のお話でした。
さて、今日は『さつま芋と切り昆布の煮物』です。
これ、ある人に「さつま芋と切り昆布を煮たらね・・・」と話したら、
「え? さつま芋と切り昆布なんて煮ないよ」と言われた1品です。
あなたは煮ないかもしれないけど、私は煮るんだよ!
あなたは見てないかもしれないけど、私はコールタールおじさんを見たんだよ!
『さつま芋と切り昆布の煮物』
- さつま芋は皮をむき、1センチほどの厚さに輪切りにします。
- 切り昆布は軽く水洗いをして、水を切り、5センチくらいの長さに切ります。
- 鍋に油をひいて温め、2の昆布を2~3分炒めます。
- 昆布に油が馴染んだら、酒、みりん、砂糖、しょう油、水を加え、強火で加熱します。
- 煮汁が沸騰したら弱火にし、1のさつま芋を加えます。
- 煮汁が全体に行き渡るように落し蓋をした上に蓋をして、さつま芋に火が通るまで
じっくり煮ます。 - 煮過ぎるとお芋が煮崩れるので、様子を見ながら加熱してください。お芋が柔らかくなったら火を止め、
そのまましばらくおいて味をしみ込ませましょう。
この話を読んでも、
「地肌を塗ってるなんて信じられな~い。ミカスさん、話盛ってるんじゃないの?」
という人もいるかもしれませんが、私、一切盛ってません。
っていうか、盛っているというなら、それはある意味おじさんの方!
ミカスでした。
アメちゃん
ミカスさん!
その塗ってるおじさんの話。
同一人物かどうかわからないけど、聞いたことあります!
だって、「ハゲた地肌を塗ってるよ」のくだりで
うん、知ってる!そのおじさん。ってすぐ思いましたもん。
見たわけじゃない。でも知ってます。
どこで聞いたんだろう、、。思い出せないなぁ。
でも、大阪には女子高生の格好をしたおじさんとか
白雪姫のドレスを着てパラソルを持ったおじさんとか(コスプレじゃない)
いろいろいますから、
私的には、塗ってるおじさんも楽しい遭遇ですよ^^。
はしーば
ミカスさん、こんにちは。
うちでは、父母ともさつまいも好きなので、母がよくさつまいもと切り昆布の炊いたのを作っていました。
自然と我が家の食卓にもよく登場します。
コールタールおじさんの目撃談ですが、私も遭遇したことありますよ❤️
まさしく人生初の3度見くらいをしたような記憶が。
数年前の山手線の車中だったかと。
その時私も一人でしたから、ミカスさんと全く同じようなジレンマに襲われました。
みなさん〜、ミカスさんの話し、嘘じゃありませんからね〜。
ミカス Post author
アメちゃんさん
聞いたことありますか⁈
やっぱり日本各地にいるんですね、塗る男。
セーラー服を着たおじさん、私も見たことあります。
やっぱり日本各地にいるんですね、JKおやじ。
究極の自己表現で街を歩ける人たちが羨ましかったりもします。
ミカス Post author
はしーばさん
やはり山手線で⁈
同じおじさんではないのかもしれないけど、その時のはしーばさんのジレンマは痛いほどわかります。
1人って辛いですよね。
そして、さつまいもと切り昆布。
ほんのり甘く仕上げると美味しいですよね。
我が家でも昔から食卓に上り続けている一品です。