わたしをライブに連れてって♪
その坂の向こうにギターの音がするから
・・・♪いざライブ会場へ♪・・・
オーナーと特に仲がいいわけではないので、当日、仲間内のような場所が用意されていることは期待できません。いったいどういう構成なのか、どこへ座ったらいいのか?どうふるまえばいいのか?時間をもてあまし、まごつく暇は少しでも少ない方がいいに決まってる。
いざ、お店の前につくと、すでにたくさんの人が入っていました。差し迫る用事もないのに、「誘われたけど、忙しくて時間ぎりぎりになっちゃった」という架空自分設定を作り、開始時間直前に行くことにしました。しめしめ、予定どおりです。そーっと後方に座りました。
計画通り時間ギリギリだったのに、カフェライブというものは、すぐに始まるわけではないらしく、軽食とドリンクが配られ、ライブ開始まで時間がありました。
「想定外だ・・・」
焦る気持ちを隠すように冷静に、かつ、手持ち無沙汰にならないよう、開始直前まで食べ物がなくならないように時間と料理の配分に注意しながら食べつつ、まわりを見渡すと、あれ?みんな見ているのはステージのほう。後ろにいる私が、席に着いたことすら気にも留めていません。誰かときている人は、誰かと話しています。もちろん、わたしのことなんて、見向きもしません。気にしていた「浮く・浮かない問題」も、照明を落としているので、ぼんやりとしか見えないため、年齢も顔もよくわかりません。
おひとり様らしき人たちを観察していると、ビールを飲んだり、スマホをいじってました。特に浮いてる様子もありません。つまり、まわりをじろじろ見ているのは、オロオロしている私だけで(笑)初めから終わりまで、だれも私なんか注目していないんです。
やっと、そのことに気づきました!
なんて自意識過剰だったのでしょうか・・・
かつてと違い、華やかな場に行ったとしても、もはや「声をかけられる対象」でも「注目される対象」でもないのです。昔は、どこかへ出かけるとき「ナンパ待ち」をしているわけではなくとも、「あの子たち、おしゃれだったね、かわいいね」とできたら、その中で「イケてる存在」でありたい、どこかで常に「誰かの目」を意識してました。もっといえば、今や美人だろうとかわいかろうと声をかけられるどころか自分が話題になることはほぼ皆無です。そう考えたら、一気に肩の荷が下りました。
「自分だけのこの贅沢な空間を楽しもう」
そんなことを思いはじめるとオーナーのきざなあいさつが始まりました。「時間、空間、音楽、最高のシチュエーションを用意しました。このときを味わってください。」久しぶりに生で聞く音楽は、最高でした。アコースティックなライブだったので、ギターの音色、言葉の一つ一つが心に響きました。カフェのインテリアも、照明も完璧でした。
いままでは、その時間を十二分に楽しむというよりもそこにいる私が好きでした。だから、おばちゃんになり、俯瞰した時見える自分がイケてないことが怖かったんです。
結果、このお店もこのライブを最後に閉めてしましました。もし、このときに行かなかったら、また、後悔していたんだと。このことがきっかけで決意したのです。
「もう、なにも怖くない。後悔はしたくない。東京へライブに行こう。」
このときのアーティストはこちらです。