Posted on by SHOJI
第68回 アヴリルと奇妙な世界
今週末いよいよフランスのアニメーション映画「神々の山嶺(かみがみのいただき)」が劇場公開される。原作は夢枕獏×谷口ジロー。生前から企画があったが、谷口ジローは完成を待たずに2017年逝ってしまった。読んでから観るか、見てから読むかなやむところだが、まず、瞳が現実サイズで描かれている海外アニメーションに目を慣らしておこう。
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「アヴリルと奇妙な世界」は、フランス・べルギー・カナダ合作のSFアニメーション映画だ。2015年アヌシー国際アニメーション映画祭グランプリ受賞。日本では2019年に公開されている。工業や移動手段において使われている動力機関が高機能な蒸気機関-という世界設定のSFジャンルをスチームパンクと(ざっくり)いうが、本作はそのカテゴリーに入る。
全体が煤けたセピア色で昔の話であることや大気汚染を表しているのだが、建物や飛行船など、背景・美術がヴィクトリア朝風デザインで統一されており、美しい。奇想天外なストーリーだが、ある事故でナポレオン三世が亡くなり1870年の普仏戦争は起こらなかった-という設定説明が最初にあり、そのあとは最後まで伏線も伏線回収も分かりやすく、美しい挿絵入りの児童書を読んだような満足感がある。
アマゾンプライムで見ることができます。