第70回 リメンバー・ミー
今日はお盆の最終日です。こちらの皆さま、あちらに戻られる皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
夏が来~れば思い出す~♪のは「すいか」
幼稚園の夏休み。友達と遊んだあと機嫌よくうちに帰ると、母と姉たちが座卓を囲んでおりました。驚いたように私を見る彼女らの前には、くし形に切られた大ぶりの「すいか」! そのタイミングの良さ(悪さ?笑)に母は笑い出し「あんたが遊びに行ってる間に3人で食べよて言うてたんや。」と白状しました。私は3人から少しづつ西瓜を分けてもらい「やったー!」とばかりにかぶりついたのでした。今では母の気持ちも分かります。日頃末っ子の勢いに押され何かと我慢しがちな姉たちと、ゆっくり西瓜を味わいたかったのだと思います。
こんな話をしても「そうそう!そんなことあった!」と頷く人たちはもう誰もいません。私の生家の家族は、きょうだいを含めみな他界しています。今頃きっとあちらでは、皆で西瓜をご賞味中。私抜きで!(笑)
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さて。
「リメンバー・ミー」(原題「Coco」)は、メキシコの祝祭「死者の日」に着想を得たディズニー映画です。2017年に全米で、2018年に日本で公開されたピクサー・アニメーション・スタジオ製作。第90回アカデミー賞長編アニメーション賞・主題歌賞受賞の名作なのでご覧になった方が多いと思います。
彩り豊かな映像で楽しませながら、亡くなったひとたちとの絆を思い起こさせます。「死者の日」は10月末~11月始めの行事とのことですが、日本ではやはりお盆あたりに見るとしっくりきます。Disney+に加入するといつでも見ることができます。
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ある日ミュージシャンになる夢を追って家を出た男は、二度と帰って来なかった。残された妻は家族を養うため靴職人となり、夢を追った夫に憤り「音楽禁止」の家訓を掲げた。彼らの娘ココ(Coco)はいまや曽孫を持つ身だ。ココの曽孫ミゲルは家訓のためにミュージシャンになる夢を潰されそうになっている。
ミゲルはどうしても音楽の道をあきらめられず、「死者の日」の準備中、ギターを探して回るうちに「死者の国」に迷い込んでしまう。「死者の国」の約束ごとで夜明けまでに生者の世界に戻らないと彼の肉体は消えてしまうという。戻るためには家族(死者)の許しが必要だ。ミゲルは幸運にも亡くなった高祖母イメルダ(上記「妻」)に出会うのだが…。(つづきは映画で!)
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ご先祖さまを大切にするあまり今を生きる者たちが不自由を感じることも無きにしもあらず。ですが、そこはディズニー/ピクサー映画、どの世代も尊重され解放される結末に胸のつかえが取れます。日本でも「(故人を)思い出してあげて」と言葉をかけられることはよくあります。それが本作に出てくる(メキシコの)死の考え方ー生前を覚えている人がいなくなると最後の死が訪れるーに近いのがとても興味深いです。日本ではあまり見られない濃い色彩がとてもエキゾチックで、死者を迎えるお祭りが楽しそうです、
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クレジットの最後にウォルト・ディズニーらの写真が並びます。その中央にこのようなひとことメッセージが添えられています。(つたない日本語訳ですが)
「時をこえて私たちをサポートし、インスピレーションを与えてくれた人々に捧げる。」
偉大な功績を残した先達だけでなく、皆、未来の人々のサポーターのはずだよなぁ…と思ったり、思わなかったり…。