ひとりで家を片付ける
6月4日にこちらに戻ってきて、実家の台所でこれを書いています。
着いたその日は実家に泊まり、翌朝家に行くと、思ったとおり庭は野生の王国となっていた。
玄関の鍵をあけると、少しカビくさい。それからうっすら猫のおしっこの匂いがする。猫のスマがときたま玄関に向けてスプレーをするので、そのたび念入りに洗っていたけど、匂いが残っていたんだなあ。
ひと月、空気の動きがなかった家は、出たときと変わらぬ姿でありながら、どこか空き家めいている。
しかし、当たり前だが、家が出たときと同じカオスであることに、新鮮に驚いた。
4月の出国前に、家財や粗大ゴミの処分等の段取りはつけていってあったものの、これをあと数日で片付けるとは、誰だよ計画したやつ。わたしです。
それからの数日、働きに働いた。
2日後にはあちらに送る引越し荷物の運び出しがあるので、今回スーツケースにつめて持って帰る夏服やすぐ使うもの類、船便で送るものの仕分け、梱包。 これはある程度まで4月中にやっておいた。
そして可燃、紙・布、プラ、不燃、庭木…毎日やってくるゴミ収集カレンダーとの闘いである。各一日ずつしかないので、寝過ごす等の失敗は許されない。
家具は古道具屋さん、家電は市の家電リサイクル。粗大ゴミの回収は、数ヶ月前から少しずつ出していたが、やはりまだまだ残っていて、2日間に分けて依頼した。どうしても引き取り手がなく、かつ自力で運び出すことが不可能な家財のみ、不用品引き取り業者さんにきてもらった。
ところで、ものすごくありがたかったのが、この不用品引き取り業者さんの対応である。
うちは2階にソファを置いていたのだが、重さとデカさで自力で2階から下ろすことが不可能、かつ猫のひっかき傷でもう売り物にもならないので、不用品引き取り業者さんにお金を払って持っていってもらおうと思っていた。
すると見積もりに来てくれたお兄さんが、「うちで処分すると1万円くらいかかるから、市の粗大ゴミで出したほうがいいっすよ。」と言う。
それはわかっているんだけど、自力で玄関先まで出せないのが問題なのだ。そう言うと、
「じゃあ、サービスでついでに玄関先まで運びますよ。なんで市に電話して回収の手配だけしてもらえれば。」
といって、しかも近所の迷惑にならないよう、粗大ゴミ回収日の前日夕方に作業を設定してくれたのだった。
この人は、いったいどういう種類の神なのか。
そのほかにも、古道具屋さんは愛着のある家具を丁寧に見て買取りしてくれただけでなく、食器や雑貨、置き物類も、扱えそうなものを引き取ってくれてしかも値段をつけてくれたし、引越業者さんはほれぼれするほどの梱包技術だしで、プロの皆さんの素晴らしさといったらない。
そして、その間に友人や近くに住む元同僚などが顔を見に来てくれて、捨てがたかったいろんなものをもらっていってくれた。会えない友だちは、激励メールを送ってくれた。
そんなこんなで、最終立会い確認を翌日に控えた10日の昼には、家は空っぽになったのである。
その夜は、近所の人たちが食べ物や飲み物をもちよって、空っぽになった家でお別れ会をしてくれた。
なんか、ばちがあたるのでは…と思われる事態である。わたしにばちが当たるかわりに、みんなに宝くじがあたりますように。
11日、最終立会いがぶじに済み、最後に戸締りを確認して、家の中をしみじみと眺めた。
ここに、14年住んだんだなあ。 いろいろなことがあった。
空っぽになった家を見て、まるで最初に内見したときみたいに、この家、住めるなあ、と思ったりした。いい家だった。
施錠して、駅までの帰り道、このいつもの道も今日がさいごか、と思うとさすがにちょっと泣けた。
これで、帰る家がなくなったなあ。人も場所も、こんなに自分の居場所と思えるところがあるのに、わたしはどこに行くっていうんだろう、そんなふうに思った自分にびっくりした。
翌日、最終契約と鍵の引き渡しを終えたその足で髪を切った。
実家に帰って鍵を開けようとバッグを探して、つい見慣れた鍵を探してしまう。
しかし、やりとげたぞ!
コロナの影響や猫のこともあって、オットが来ることがかなわないのはわかっていたから、納得づくだったとはいえ、引っ越しまでに一年あったとはいえ、ひとりで家一軒を片付けたわたしえらい。
まだ来年には確定申告という仕事が残っているが、これでようやくひと段落。
明日は、両親と温泉にいく。これはこれでまたひとつの仕事である、親と遠出をするということは。
温泉のほうは、すっかり風呂嫌いとして名を馳せたわたくしですが、何度も言いますけれど温泉建築や風呂の意匠は好きなので楽しみです。それと髪を切ったので、ストレスも半減だ。髪を切ったわたしえらい!(もうなんでも褒めとこう)
byはらぷ
はしーば
はらぷさん、お疲れ様でございます。
おひとりで家一軒、しかもひと月で片づけたなんて、どれだけ偉業であったか!
引越しは肉体、精神、どちらも思っているよりずっと疲労が蓄積しています。
後からどっと疲れが来ることもあります。
どうぞ、暫くはお身体を最優先で愛とい下さい。
カリーナ
はしーばさん
コメントありがとうございます!カリーナです。
実は、はらぷさん、イギリスからこちらにログインできなくて
コメントに直接お返事ができないのです。
ご本人、はしーばさんのコメントに
お返事を書きたいーーーとおっしゃっているので
今後、記事の中などで工夫されるのではないかと思います。
もう少しお時間くださいませ。
温かいコメントありがとうございます!!
はしーば
カリーナさん、コメントを入れていただきありがとうございます
海外からだとログインできない制約があるんですね。
でも、ここにコメントしたことを、はらぷさんに伝えていただけて良かったです😘
Jane
古本屋で撮られた写真の本はもしや「ツバメ号とアマゾン号」の?もうすっかり話の内容は忘れてしまったけれど、学校の図書館にシリーズがあって、一時夢中でした。