◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇ 第59回 配信オリジナル作品はすべて黄金バットだ説
今までの人生、手には負えない、興味が湧かない、と早々に回避or白旗を挙げたブームや流行りは多々あった。
自分史を遡ってみても、大阪万博は記憶も場所も遠く、アメリカンクラッカーにもルービックキューブにもハマらず、ハマトラやDCブランドは掠りもしなかった。ワンレンボディコンはおよそ身の丈に合わず、おやじギャル跋扈もどこ吹く風で、ゲームもなにひとつ昵懇にならず、たまごっちは手にしたことすらない。プリクラも数えられるぐらいしか撮ってないし、人気のドーナツショップにも福袋にも並ばず、集合写真でピースをしたことは今まで一度もない。クレジットカードを作ったのも、ガラケーをスマホに替えたのも、かなり遅い方だし、およそ使いこなしているとはいえない。PayPayは持っていない。‥ふう。よくぞ並べ立てたな、自分。
ポリシーがあるわけでも、はたまた、なにかの教徒でも(もちろん教祖でも)ないのだが、気がついたらこうだった。好奇心に欠けるというより、流行りや風潮に懐疑的なのかもしれない。それでもまあ、さほど不便も退屈も感じず(知らぬが仏方式)今までの人生をやってきた(と思う)。友人も似たタイプが多く、最近lineを始めた旧友とのやりとりは新鮮で初々しくてとても楽しい。
そんなわけで、まだ意外と多くの人が流行の渦を遠巻き、あるいは渦に気づくことすらなく生活しているのかもしれないと思ったりしているのだが、実際はどうなのだろう。
そんななか、今、特に渦を感じるのはOTT(Over-the-Top media)サービスだ。アマプラ、ネトフリ、ユーネクスト、ディズニープラスなどなど、最近よく聞く配信コンテンツのことをこう言うらしい。実は今調べて知った言葉で、実際に人が使っているのは聞いたことがない。ホントにこの名称でいいのか。まあ、いいか。要するに、その程度の雑な認識でなんだかんだ言おうという、いわば以下の文章は暴挙だ。
アマプラは、宅配の送料無料目当てで加入したが、それ以外のOTTサービスは契約していない。契約してもそんなに見るとは思えないし、そそられるモノが各々に点在していて、ひとつに絞れそうもない。「自分の好みの作品を配信してくれるのはここ」と迷いなく選べればまだしも。いや、それはそれでちょっとうさんくさいかも。まんまと敵の(敵なのか?)術中というか鋳型にぴったり嵌まったみたいで落ち着かなくなりそうな気もする。
そんなわけで、OTTサービスのオリジナル作品の百花繚乱っぷりは絵に描いた餅、となりの芝生、高嶺の花、机上の空論だ(後半はなんかちがう)。正直、惹かれる作品も多い。SNS上などでは、いかに面白かったか、どんなに凄かったかが語られていたりする。となれば、疎外感を覚えて若干卑屈にもなろうというものだ。
地上波やBSでの放送や映画館での上映では感じない、「配信」独特のこの空気はなんだろう。放送と配信の間になにがあるというのだろう。新聞の番組表か。見逃し配信サービスTVerか。‥あれ?TVerもOTTサービスなのだろうか。無料アプリをダウンロードして使っているけれど、よくわからない。とにかく、基本的な認識があやふやなので、そこに構築した考察も不安定この上ないな。砂上の楼閣。
配信オリジナル作品の、どんなに見たいものがあっても契約する以外、通常視聴する方法がないという、飴を買わなきゃ盗み見も許されなかった、昔の紙芝居型視聴システムが、買わざる者の疎外感‥もっといえば劣等感を誘発する、それゆえの空気が配信にはあるのかもしれない。きっとそうだ。そういうことにしておこう。
配信オリジナル作品はすべて、かつての「黄金バット」である。飴を買わない者は見る資格なし!と言われるからよけい見たくなる。昔も今も、商売上手は人心を掌握する術に長けている。
そして、配信オリジナル作品(いつのまにかOTTサービスという言い方を完全にやめている自分。しっくりこないにも程があるので)を見られない下々は、「ホントはつまんねーらしいぞ!黄金バット!」と根拠のない野次を飛ばし、配信方面の仕事に手を染めた脚本家や監督、俳優陣に対して「そーですか。飴を買えないオレタチはNGの、ドレスコードならぬ、飴コードありの会員制サロンのお仕事を選びましたか」と的っぱずれな皮肉のひとつも言いたくなるのである。いや、言いたくならないか。勢いでうっかり書いちゃった。これも、8月も終わるというのにいつまでもバカ暑い陽気お天気のせいってことで。
by月亭つまみ
okosama
分かる〜。
金額では映画代より安いけれど、見たい作品が無い時はサービス料金が無駄遣いになりますものね。
近所に住んでいたら別々の配信サービスを契約して、家を行き来して一緒に見られるのに!
つまみ Post author
okosamaさん、そうか!近所に住んでいたらそういう手もあったのですね。
なるほど。
今の住まいでディズニープラスに契約している人を探し出して、押しかけ友達にでもなろうかな(嘘)。
Jane
ピースサイン以外(高校から20代前半くらいまでのみやった)、全部同じですとも。黄金バットは何のことだろう、ですが。
つまみ Post author
Janeさん、こんにちは。
そーですか。そーですよね。
実はわたしも実際には見たことがないのですが、昭和30~40年代まではふつうにあった飴を見物料にしていた街頭紙芝居、その代表作が「黄金バット」なので引用しました。
夫は、買わずに遠くから見て怒られたことがあったそうです。
わかりづらかったでしょうか。
申し訳ありません。
こんな文章がありました。
https://news.line.me/detail/oa-japaaan/d7dffa23dd47