由緒ある温泉地にも見つけた「空き家問題」&メルマガ配信のお知らせ
先週、有名な温泉地へ一泊旅行に行ってきました。由緒ある温泉ですが、いたるところに空き店舗。もう営業していない女性の名前のスナック、ロックやブルースの音楽系バー、カラオケ、焼肉屋、電器店、ラーメン屋…。複数のスナックが入っていたテナントビルも色とりどりの看板だけ残してがらんどうになっています。
閉店した店のドアや窓の向こうには、放置されたままの商品や什器やダンボール箱や資材袋や宣材用のPOPなどが互いにもたれかかるようにぎっしりとめちゃめちゃに折り重なり微妙なバランスを保っていて、誰かが扉を少しでも開けたら崩れ落ちてきそうです。もちろんそんな場所ばかりではなく新しく作られた観光施設や店もあり、伝統を誇る老舗もありましたが、全体として寂れ感が漂い、それでなくてもテンションの低い「旅する熟年夫婦」をビミョーな憂いへと導いてくれました。
わたしは、いろんな思いで胸のなかがごちゃごちゃになりました。自分自身が、かつて社用族で賑わっていたであろう温泉の雰囲気をリアルに想像できる年齢であること、良しあしは別にしてその時代の猥雑な感じを懐かしく愛しく思い出すこと、でももう、それらの場所や店が人々の欲望の対象ではなくなってしまっているということ。あああ。こうやって時は過ぎていくのだな。さびしいなあ!
なんて言いながら、こじゃれた店を求め、陶器のセレクトショップ的なものはないかと探し歩き、古くて洗練された店構えのレストランはないかと物色する「2017年版量産型マダム」のわたしがいるのも事実。半世紀余の年月をかけて似非マダムへと熟成したわたしは、「昭和な温泉地」では満足しないのですよ。もっと、「あら、これいいね」って、「これ、かわいいね」って、「これ、素敵ね」って言わせてほしいという貪欲さに満ち満ちている。このなかなか買わないのに小さな感動だけは重ねたい「貪欲さ」を相手にしないといけないわけだから観光地の人はほんとに大変です。
しかし、閉店した店舗内はなぜああも無秩序になるのかなあ。きっと次の使い道が決まらず、何もかもが保留になっているんだろうなあ。何を動かすにもお金がかかる。そのお金が出ないんだな。そして、その場所で行われてきた営みに愛着をもつ人がいなくなり、保留が放置を生み、そこに経年劣化が加わって無秩序になる。日本はいま、空き家問題が深刻化しているといいますが、それは個人の家に限らず、温泉など商業地の店舗にもいえることですね。壊すのも、更地にするのも、お金がかかる。おそらく固定資産税の問題もある。そしてお金をかけないための「放置」。
そうそう。温泉旅行は近場に行くことが多いので西日本の人は西日本の温泉に、東日本の人は東日本の温泉に行き、それぞれの温泉地をあんまり知らないですよね。話してみると「それ、どこにあるの?」ってことが多いです。みなさんは、今年、どこかの温泉地でゆっくりのんびりしましたか?そこには2010年代の活気がありましたか。
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