「ウチの失語くん」~47歳で失語症になったオットの観察日記 オープンのお知らせ。
このウェブマガジン「どうする?OVER40」では、毎週土曜日に「カレー記念日 今週のおかわり」に登場するCometさん。以前からの読者のみなさんは、このCometさんが「Over40からの専門学校 略してオバ専」(2014年2月からほぼ約2年間連載)のCometさんであることは、よくご存知だと思います。
Cometさんの「オット」は、2012年7月、脳出血で倒れ、その後遺症で失語症となりました。その1年半後に電子書籍として出版された「ウチの失語くん」は、Cometさんがフェイスブックに日々記録していた記事を抜粋し、加筆修正したもの。当時、オバフォーでも紹介しています。→ 「どうする?Over40」メンバーのCometさんの著書「ウチの失語くん」が出版されました。その記事の日付を見ると2014年3月31日となっています。
このときすでにCometさんは、編集者&フリーライターという、傍から見ると「天職じゃね?」という仕事をやめ、言語聴覚士の専門学校に入学(2014年4月7日が入学式)することを決めていました。国家試験合格までの日々は、冒頭に記した「Over40からの専門学校 略してオバ専」に詳しく書かれています。よかったら再読ください。
そして現在は、バリバリの言語聴覚士として働いています。こういう言い方をするとCometさんは必ずや嫌がりますが、なんとまあ密度の濃い6年間でしょう!こういう生き方を見せられると新しい世界に飛び込む勇気や途中であきらめない根気に目が奪われますが、それもそうだが、6年の間に、よくこれだけの決断ができたなと思います。わたしから見ると、それが、そもそもすごい。
だって決断の前には逡巡があり、熟考があり、葛藤があるんですよ。それを幾度も体験するからこそ幾度もの決断があり、行動がある。
今回もおそらく逡巡や熟考があったのでしょう。そして決断し、実現したのでしょう。何をかって?
ブログ版「ウチの失語くん」~47歳で失語症になったオットの観察日記の開設です。
電子書籍として出版された「ウチの失語くん」のその後が記されているのはもちろんですが、電子書籍ともっとも異なるのは、Cometさんが現役の言語聴覚士であること。必要としている人に必要な情報を届けたい、という医療人としての、プロフェッショナルとしての視点が加わっています。Cometさん、最大の魅力である「軽やかさ」「押しつけがましくなさ」はそのままに。
ウェブデザインは、このオバフォーを手掛けてくださっているNaomiさんです。シンプルで親しみやすく、読みやすいデザイン!キーワードから興味のある記事をすぐに読める親切設計もすばらしいです。
わたしの夫も昨年9月に脳出血で倒れました。大変に症状が重い夫を前に、「Cometさんは、なぜ、言語聴覚士になったのか」をしばしば考えます。わたしの勝手な憶測であり、おそらくは見当はずれな推測でしょうが、「愛し方を変えた」のではないかと思うようになりました。「愛情の種類を変えた」といってもいい。「オット」が元気なころ「ツマ」であるCometさんに見せた知性、ライフワークの写真とそれ以外からのぞく才能…。どれも、今も同じく「オット」は備えているのですが、「かつてと同じよう」には表出されない。それを受け入れ、理性的かつ情緒的に確かに寄り添えるように選んだ道ではないか。
…なんてことを、すっかり変わってしまった夫を前に考えています。愛情とはひと続きの不変なものでなく、ときに種類を変えなければならないのではないかと。
Cometさんの「オット」である人のサイト「失語症 言葉を失ってこそ見える光」も開設されています。刊行が待望されていた写真集「失語症」も発売されました。いずれアマゾンからも購入できるようになりますが、現在は、こちらから購入できます。ぜひ手にとってみてください。
おふたりの人生は、わたしにとっても光です。まぶしすぎないゆえにまぶしい、陰影に富んでいるがゆえに温かい。
ぜひご覧ください。そして、必要とする方がいたら教えてあげてください。
●ウチの失語くん~47歳で失語症になったオットの観察日記(米谷瑞恵)
●失語症 言葉を失ってこそ見える光(加藤俊樹)
●失語症と仕事を考える会 ステップ