手を抜かず、やる気をなくさず…犬の平穏に救われる日々。
朝、目が覚めたら、音を立てないように細心の注意を払って枕元のスマホで時間を確認します。人間には、おそらくまったく聞き取れないほどには無音のはず。
なぜ、ここまで無音に注意を払うかというと、寝室を北側に移して以来、南側リビングのソファで悠々と一人寝るようになったスー(雑種犬、2歳、オス、18キロ)が、すわ散歩かと駆けつけるやベッドに乗り、あちこち踏みつけながら、傍若無人に起こしにかかるからです。
「わかった、わかった、起きるから。どいて。ちょ、ちょっとどいて。スリッパ、はかせて。待って、待って。メガネとらせて。邪魔、ほら、邪魔。痛い!痛い!」
最後は、腕を甘噛みされているのです。毎度毎度、同じようなことを同じように口走りながら、ひとりと一匹がもつれあうように、転がり落ちるようにベッドから出て、リビングへ移動します。
冬の間は、ここでストーブをつける。
何事もなかったかのように悠然と横たわる。わたしの準備が終わるのを寝そべったまま待ちます。その間、こっちは、水の入れ替え、散歩後に足や体をふく蒸しタオルの用意、おやつやビニール袋の用意、さらに自分が着替えたり、顔を洗ったりしてバタバタと準備するのです。殿様か。
うちは、エレベーターのないマンションなので、スーは階段から降りるたびに振り返りおやつ(ドッグフード一粒)をもらうのを待ちます。いつごろからか、この習慣がついて階段の踊り場でパクリ、次の踊り場でパクリ。
外に出ると、午前6時でも、もう明るくなりました。「もう明るいねえ」と言うとスーは、ちょっとこちらを見て、それから進行方向に首を向け、風の匂いを嗅ぐようにしながら、どちらに行くか思案します。「どうする?どこ行く?」わたしが言い終わるか、終わらないかのタイミングでグイーン!と駆け出すように歩き出します。さあ、行くか。
こうやってわたしの一日は始まるのです。いつもと違うのは、平日も人通りが少ないこと。夫の病院が閉鎖になってわたしの歩数が減っているので多少歩いても疲れないこと。留守番が減ってスーが毎日すこぶる幸せそうなことです。
もうそろそろ終息するのかと思いきや、ここで気を緩めたら爆発的に患者数が増えるぎりぎりのところにあるとのこと。昨日、シンガポールが外国人の入国を全面的に禁止することになりビザを申請したばかりの娘は、無事、入社できるか青ざめています。夫の病院が閉鎖になってもうひと月。もういい加減、爪から耳から足先から、その身体の状態を確認したいぞと思います。はあ。
今朝は、ベッドからスマホに手を伸ばそうとしたら、胸のあたりにスーが寝ていました。「ああ、ここにいたん?」と言ってゆっくり撫でて「散歩、行くかあ」と口にしたら…以下、同様。
手を抜くでなく、やる気をなくすでなく、いつも同じように同じことを情熱をもって繰り返すスーの存在をありがたく思いながら、オリンピックの延期など、年明けには思いもしなかった現実を見つめています。
今日は、プリ子さんの記事が公開されています。聞き捨てならぬタイトルですよ→「シモキタで濃厚接触」。ぜひ、お読みください。 オバフォーも、いつもと同じように更新します。 時間のあるときに遊びに来てください。待ってます。