島にいたって、人生は過ぎゆく。
みなさま、メリークリスマスイブ! でございます。週末のイブは久しぶりのことですが、みなさま多少のロマンス感、お楽しみいただいておりますでしょうか。
ロマンス? なにそれ焼けるの?
さて、2ヶ月に渡ってお送りしてまいりました『崖待ち』セカンドシーズン。外洋の孤島・シマ島での濃厚すぎるエピソードが続きましたが、みなさま胃もたれ大丈夫でしょうか? 「こんなこと本当に起きてるの? 盛りすぎじゃない?」なんて声もちらほら聞こえてまいりますが、ねえ、本当にねえ、これが現実でなければどんなにいいでしょうかねえ…。
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ハッ
失礼しました、つい遠い目を
僻地オブ僻地の離島には、本当にいろんなひとがいます。生まれてこのかたほとんどシマ島から出たことがないディープネイティブに、近隣の島からやってきたネイバーネイティブ、内地から嫁いできたお嫁さんにお婿さん、仕事で赴任しているお勤め人、島に惚れ込み移住してきた移住者。それから都会暮らしから逃げ帰ってきた若者や、何をしているのかわからない世捨て人もいます。
そこに内地からフリーダムな旅人がよくもわるくも波風たてていくのですから、そりゃもう毎日がカオス。あまりにいろいろ起きすぎて寿命縮まりそうな毎日ですので、安心してください、
シマ島エピソード、まだまだ山ほどあります!(泣)
それについてはいずれ紹介させていただくとして、今回は1年の締めくくりとして「あのひとは今SP」をお送りいたします。
というのも先日、久しぶりに東京の職場へ寄ったのございます。みなさま覚えておいででしょうか、かつてわたしがどエライ目に遭った 珍獣パラダイス の面々を。
なつかしい!というか誰だっけ!というかたはこちらをどうぞ→珍獣パラダイスエピソード一覧
20年ぶりの会社勤めに踏み切った四十路独女時代、わたしが派遣されたのはフリーダムすぎる珍獣社員の巣窟でありました。珍獣パラダイスの面々とは何年かを共に過ごした後、シマ島への引っ越しを機に職場を去ることになりましたが、何人かのひととはその後も連絡を取りあい、このたび久しぶりに再会の運びとなったのですが。
知らないうちに珍獣パラダイス、ほぼ解散状態になってました(゚o゚;;
ちょうどわたしが辞める前に社を揺るがすクーデターが起き、派遣社員は全員「契約満了」としてクビになる、という事態になっておりました。社員も大がかりな人事異動でざわついておりましたが、それでも会社の屋台骨として揺るがぬ信頼を得ていた少数精鋭チームの珍獣パラダイス。戦略変更や規模縮小はあっても、まさかなくなるとは夢にも思っておりませんでした。
愛らしいベビーフェイスでドSな指示を出す下町のプリンス、リーダーワタさん。ミャンマーに出張するたび髪が短くなるミステリアス男子、火消しのミズシマ。ディーヴァよろしく裸足で仕事をする野生児ナツカワちゃん。見えないお友だちが見えちゃうリケジョ・ハニコ。4人をはじめ、会社がぜったい手放しそうもない精鋭社員が何人もすでに会社を後にしておりました。いやーこれにはビックリ。嵐の激しさが見てとれる。
タフネゴシエーションが大好物なイケズ京男マツタケ、影が薄すぎて時々見えなくなるエジマックスは、系列会社へ出向になったまま戻ってきておりません。若いのにオヤジ的飲みニケーションが得意なベッチ、小心者の御曹司サトゥ、アート系九州男児ガッタくんあたりは社内にいるようですが、別の部署でまったく違う仕事に悪戦苦闘中。キャラがたちすぎて浮いているとか、いないとか。
とはいえ人生悪いことばかりではないわけで、ベッチ、ガッタくんはめでたく結婚の運び! まさかあんなめんどくさい男子と結婚しようという変わり者がいたとは(失礼)。亭主関白感を醸し出していたふたりも、今ではめっきり尻に敷かれているということで平和なにより。
野生児ナツカワちゃんは、昼間からビール飲みながら仕事できるという夢のような外資系企業に転職し、おつきあいしていた彼氏と入籍。うっかりオバちゃんをハンサムにしてしまったブライちゃんは、10歳年下の彼氏とゴールインしたとか。さらにリケジョ・ハニコも超絶優しい彼氏とめぐりあい、はれて結婚。今年第一子を出産いたしました。めでたい、めでたい!
なによりうれしかったのが、颯爽と現れ風のように去っていったスーパー派遣OL、ミステリアス・エリコ様。なんと、社に復帰されておりました! 一時は働きながら自宅でお父上を介護して大変な思いをされていたようですが、そのお父上も送り出し、いまでは荒涼殺伐としたオフィスからオフィスへ、類稀なる諜報能力と他の追随を許さないハイスキルで社内をスイスイ泳いでおられる様子。
ちなみに、天性の人たらしで会う人会う人を虜にし、プリティな新人女子と電撃デキ婚した挙句に海外赴任を勝ち取ったビッグスケール・イズミン。彼はですね、会社が傾いて海外支社が閉鎖され、路頭に迷ったはずなのに、どういう手を使ったのかいまも海外でセレブ生活を送っている模様。ちくしょう、ぬかりないぞイズミン!
それから、気になっている方もおられるようですが、わたしの荒れ狂うゴフジンさんについて。
大学病院で子宮全摘出手術をすすめられた後、藁をも掴む思いで婦人科の名医ドクターKの診察を受けたところ、まさかの展開で「治療の必要なし」と検査結果が出たところまでお知らせしました。
不思議なことにそれ以来、あれだけわたしを苦しめていたゴフジンさんは、すっかりおとなしくなっているのでございます。時折小さく暴れたり、数ヶ月姿を見せなくなったりしてはいますが、以前のような暴走はピタリと止みました。とはいえ月のモノが終わったわけではないので火種はまだまだ残されており、いぜん経過観察の身であります。
つい先日、定期検診で久しぶりにドクターKのクリニックに行ってまいりました。受付開始時間の前に行ったものの、相変わらず待ちに待つこと4時間。ようやく順番が回ってくると、相変わらず挨拶ひとつすることなく、でも髪の寝グセはパワーアップして、フラリと内診台に現れました。ノーパン・M字開脚な感じでアレですけども、先生お久しぶりです。
「ついに不正出血が止まったね。あんなに大変だったのにねえ、よかったねえ。うんでも閉経はしてないね。筋腫も大きいのがあるね。太ってない? 本当に太ってない? 太っちゃダメよ。四つ足の肉と大豆、はちみつもダメ、女性らしくなっちゃダメ。夜更かしもダメだよ。12時すぎて起きているとホルモンが出ちゃうからね。ねえ、本当に太ってない?」
相変わらずノンデリカシー発言にチリッとしながら、気づけば細胞診終了。なんだかんだいってもこのひとの検査はものすごいスピードで終わってしまいます。ただし、
「わからなかったと思うけど、ちゃんと体がんと頸がんの検査したんだよ? この検査ってさ、時間かかるし痛いし結構出血するでしょ? ボクの、痛くないでしょ? 早いし出血しないでしょ? あんまり早いから患者さんに『先生ほんとに検査したんですか』って疑われちゃうんだけど、ちゃんとやってるんだよ。ねっ、ねっ、すごいでしょ? 神業って言われてるんだよ、すごいでしょ?」
自分で言わなきゃ、いいひとなのになあ。しかもドクターK、新人と思しき若い看護師さんにアピールしているのですが「先生、残念ながらオバちゃんと違って若い女子は、オジさんの褒めて褒めて光線は拾わないんですよねー」とナースに失笑されている彼にそっと耳打ちしてあげたい。
ともあれドクターKは30分ほどたっぷり診察してくれ、「子宮がんは助かっても他のがんで死なれちゃ困るから、一緒に他のがん検査もやっとこうねー」と相変わらずひと言多い感じで手配してくれました。ただいま結果待ち。なにごともありませんように。
悪霊退散
ひるがえって、じじょう家ですが、ひとり暮らしを続ける母上は視力が一気に落ちてきて、そろそろ独居が厳しくなってきたようです。先日帰郷して姉上と相談してきましたが、来年は何かしらの決断が必要になるかもしれません。
一方ズジョウ家では今年、体調悪化でザビ男のパパが内地の病院に運ばれ、以来3ヶ月ごとに転院しながら入院生活をつづけています。病院がないシマ島では治療がつづけられないのが原因なのですが、故郷から遠く離れた場所を転々としながらザビパパがひとり病室で何を思うのか、考えただけで胸がしめつけられます。離島医療の厳しい現実を目の当たりにしながら、人生のしまいかたについて思いを馳せる日々であります。
いろんなひとの、いろんな人生に、いろんな風が吹いているものですね。もちろん、ザビ男とわたしの間にも。そんなこんなを考えながら2017年の終わりを静かに待つ、じじょうくみこでございます。
というわけで『崖のところで待ってます。』セカンドシーズンはこれにて終了となります。お読みくださりありがとうございました! なにしろシマ島の話は書くのに骨が折れるので、この「崖待ち」は充電期間を取りながら1クール更新する、というシーズン制を採用したく存じます。休み休みではありますが、ゆるーくながーくつづけていきたいと思いますので、こりずにおつきあいいただけると嬉しいです(^ ^)
それではまた近いうちに、またいつもの崖のところでお会いしましょう。
メリークリスマス&よいお年を。じじょうくみこでした!
text by じじょうくみこ
illustrated by カピバラ舎
クリスマス楽しくないわークルシミマスだわーというかたは、2ndシーズンまとめてどうぞ〜
↓
2-1 ハーフセンチュリーは嵐の季節。
2-3 恋わずらいみたいになって、あのひとにメールを書いた。
2-5 島暮らしってサバイバル。だって、ハブとマングースのはざま。
クリスマスどころか年末まで忙しいわー忘年できないわーというかたは、『崖待ち』全14編まとめ読みシルブプレ〜→『崖のところで待ってます。』
いや冬休みやることないし? ヤダなんだかくさくさするわ? というかたは第1シリーズ『崖天』読み返してみます? 100本ほどございますわ?→『四十路独女じじょうくみこの崖っぷちほどいい天気』
もうもうこうなったら全編読破しないと気が済まなくなってきたわ? という完璧主義者のあなたは、第2シリーズ『オバサマー』全43本もいっちゃいます?→『じじょうくみこのオバサマー』
はしーば
崖待ち2ndシーズン、投了、おめでとうございます。
2年連続で喪中の我が家では暮れも正月も境が曖昧なまま、ひたすら掃除洗濯で終わってしまいそうなんで、合間のひと時、崖天ファーストシーズンから読み返して、ハラハラドキドキを味わい直そうかと目論みちゅうです。
カオスに負けず、よいお年をお迎え下さいませね🌅
じじょうくみこ Post author
>>はしーばさま
大変遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします〜。
穏やかな新年を迎えられたでしょうか。
今年は天気も良く、すがすがしい年明けでしたね。
そんななかシマ島は容赦なく波乱の幕開けを迎えております。
ネタが次々と生まれて追いつきません!
今年もどうぞおつきあいくださいませ。
びゃくだん
お久しぶりですー。お元気ですか?じじょくみさんの新しいシリーズ、始まらないかなー、と楽しみに待っとりますよぉ。
最近の私はじじょくみさんがリンクを張ってくださっていたフェリシモでの通販にはまっております。
真夜中のポチは危険ですねー(汗)
こないだなんて、夏向きトップスの福袋的なものを購入してしまいました。自分では絶対選ばないであろう品物たちが届いて、いざ袖を通したら意外に着映えする服だったりしまして。
新たな面白さに目覚めてしまいました~f(^ー^;
体調はゴフジン様も憩室炎のケイちゃんも何とか飼い慣らしております。
婚活は…どうしたもんですかねー(苦笑)
負け犬の遠吠えの作者さんもパートナーさんに出会われたそうで、私にもそんな出会いがあるといいなーと願っておる次第です。
ではでは、暑さに気を付けてシマ島で奮闘なさってくださいませ‼
m(._.)m