50代、男のメガネは近視と乱視とお手元用 ~オレンジ好きと呼ばないで。
オレンジ好きと呼ばないで。
オレンジ色のシャツとか、オレンジ色のバッグとか、オレンジ色の時計とか、大好きなんです。大好きなんですが、さすがに何でもかんでもオレンジ色のものを買っていると、暑苦しいので、そこはセーブするようにしていますが、要所要所にオレンジ色のものが顔を出します。
いま、専門学校で少しだけ授業を持っているのですが、あるとき、女子学生から「先生はオレンジが好きなんですねえ」と言われました。その通りです。図星です。その日は特に、バッグと時計がオレンジ色でした。「オレンジ好き」と定義されても仕方がないほどに、僕はオレンジづいていました。
しかし、「オレンジが好きなんですねえ」と笑いかけてきた女子学生への僕の答えは「いいや、特にオレンジが好きということはないねん」でした。
なぜ?なぜ、ここまでオレンジを身につけていて、オレンジ好きであることを隠そうとするのか。と自分でもそう思いました。別にその女子学生が嫌いで、自分のことを知らせるのが嫌だったということはありません。なんかもう反射的に「好きじゃない」と答えていたのです。
ホント、なぜなんでしょう。ただ、僕があまのじゃくなのかもしれません。そう言えば、自分の好みの喫茶店ができて、そこに通い始めるとしますよね。ブレンドコーヒーを頼んで、ミルクも砂糖も入れないで飲む。で、それがしばらく続くと、マスターが最初からミルクも砂糖も付けずにコーヒーカップだけをテーブルに置いていく。もう、この状態が苦手なんです。
実際にあったのですが、3回目、4回目くらいでマスターが「ブラックでよろしかったですよね」とコーヒーカップだけを置いていこうとしたとき、僕は「いえ、ミルクください」と言ってしまったのです。いやもう、常連客扱いしてくれたことも嬉しいし、僕の飲み方を覚えていてくれたことも嬉しいんですが、なんだかそれじゃだめだ!という思いがわきあがってきて「ミルクください」と言ってしまったのです。
ただ、あまのじゃくというだけではないのかもしれない、と自分で思うこともあるんです。なんだか、ブラックコーヒーの人と思われると、次、カフェオレが頼めないじゃないですか。同じように、オレンジ好きな人と思われたら、次、ブルーのジャケットが羽織れないじゃないですか。そういうのを無意識のうちに感じているような気がします。
僕をフラットにみてください。型にはめないでください。自由に放っておいてください。そんな思いが好みを前面に出させないのではないか。最近、そんな気がしてきました。
でも、この思考回路は子どもの頃からずっと同じでしたね。50歳を過ぎた今も同じということは、このまま死ぬまで同じなのかもしれません。
植松眞人(うえまつまさと)
1962年生まれ。A型さそり座。
兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。
現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
サヴァラン
植松さま はじめまして。
「僕を自由に放っておいてください」
ああ、同じです。
コーヒーをカップだけで置いていかれると
マスターの声なき声が聞こえてしまいます。
「あなたのことはわかっているよ。
あなたをちゃんと特別に扱ってるよ。」
お願い、それ、勘弁して。
わたしだって自分のこと、わかっちゃいない。
だからどうぞ
わたしのことを分けないで、そっとしとって。
uematsu Post author
サヴァランさん
本当に身勝手なことはわかっているんです。
だって、場合によっては、
特別扱いして!と思っていることもあったりして。
いやもう、揺れる男ゴコロです(汗)
小花
時計時掛けのオレンジだから。すみませんm(_ _)m
こんにちは。いつも拝読させていただいています。型にはめないで、と仰られる植松さんにいつか、仕事しやすい40代女性や仕事でのコミュニケーションで40代女性へ期待するもの等書いていただきたいです。正論じゃ煙たがれるし、頑張れば熱すぎるんだろうし、かといって責任は持たされるし。まだまだ難しいです。気が向かれましたらぜひ!よろしくお願いします。
uematsu Post author
小花さん
40代女性に期待すること……。
うーん、なんでしょう。
正直、あんまり40代の女性という限定した層に期待することって、あんまり考えたことないんです、たぶん。
どっちかというと、もっとミニマムに「僕と一緒に、こんな仕事をするなら、こんな人がいい」というのはあるのですが、それって、男性とか女性とか、年代とかあんまり考えたことがないんですよね。
うーん、40代女性に期待すること。なんだろう。優しくて、強くて、楽しくて、と考えていくと、それこそ、誰にでも期待することですものね。
ちょっと考えてみます。
なんにも思い浮かばないかもしれないけど。