気持ちが悪い、と思う時の気持ち。
最近、殺伐としたニュースの波に呑まれているような印象があって、素直な怒りでもなく、悲しみでもなく、絶望でもない、というような不安定で不確かで、でもとても強い感情が僕だけではなく世界を包んでいるような、そんな気持ちになってしまう。
僕はそう思う、ではなく、そう感じてるのは僕だけではないと思う、という確信はほとんどの場合、決して間違っているとは思えない。
自分の辛さを解決する方法として、殺人を選ぶ人がいて、それが時に正義と名付けられたりすることの理不尽さを僕は「気持ちが悪い」という言葉でしか表すことができない。
生き死にに関わらないところでは、同じ会社の同じフロアの同じ仕事をしている人たちが、声を掛け合えばすぐに終わるような話をメールにしていったんどこなのかわからない遠くのサーバーを通して、言葉のやり取りをしていたりする。
隣で話されていることが、自分に関わりのあることだと思ったら、「あ、その件ですけどね」と声をかければいいのに、ほの白いモニターに向かってビジネス用語を駆使しながら、決して揚げ足をとられないように、用意周到なテキストを打っている。そんな人の後ろ姿は、いつももの悲しく、そして気持ちが悪い。
そんな気持ちの悪さは、光り輝く未来への扉を容赦なく閉じようとする。大らかにこの国を拓いた神々のように、閉じられた岩戸を開いてくれる神も、もはやいないのかと思ってしまうのだが、きっと、そんな時に感じる「神」という存在を問うてしまうことが、生き死にに関係しないような「気持ちの悪い人たちの行為」が、本当は生き死にに通じているのだということを示しているような気がする。
次から次へと起こる、目を覆い耳を塞ぎたくような事柄を目の端、耳の端でぼんやりと把握しながら、その毒にあてられている自分を救い出すにはどうすればいいのか。きっと、目を覆い耳を塞ぐという行為は違うのだろう。違うのだろうけれど、手立てが見つからない。
ただ、その手立ての見つけ方は、SNSで思うままにつぶやきあって、次第に出来上がっていく世間の声とは違うのだろうと思う。
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
nao
人が人を殺すという野蛮な行為を
まるでバーチャルな世界で起きているように表現し
そもそもバーチャルならこんな暴力も許されるのだろうかということまで
ぐちゃぐちゃになって押し寄せてきます。
TL上にリツートされたり、シェアされたりする大量の意見の嵐も
非常に暴力的に感じてしまい、耳をふさぎたくなりますが
忘れてはいけないことだとも思うのです。
Yunomi
近頃のあれこれ。
どうにも肌触りの悪い服をいつの間にか着せられて、脱ぎたくても脱げないでいる感じです。
花蓮
初コメントです。
本当に…。手立てが見つからない、とはどれだけ多くの人々の思いでしょうか。
今私事で胃腸がひっくり返りそうな最中なんですが(笑)拍車をかけて日本の在り方が恐怖を増してくれちゃっています。
わずかながらのお手伝いなんて、署名や、問題意識の高い方の記事をシェアして拡散するくらいしか出来ません。
uematsu Post author
naoさん
最近、池澤夏樹訳の『古事記』を読了したばかりなのですが、
上巻のいかにも神話的な内容から、中巻、下巻へと進むにつれて、
血なまぐさい政治的な内容へと変化していく。
人が人としての自意識を持つと言うことは、
過渡の部分で、どうしても愚かな流れを作ってしまうのか、
という気がしてなりません。
しかし、その中で踏ん張るのは、本当に体力と気力が必要になる。
まずは、自分の周囲をしっかりと見渡して、
しっかりと生活するところから始めたいと思います。
uematsu Post author
Yunomiさん
ヒートテックを着ると、僕はとても気持ちが悪いのですが、
あれは化繊と肌が触れあう気持ち悪さなのか、
それとも妙に暖かすぎる気持ち悪さなのか。
どちらにしても、一度暖かさを味わってしまうと、
多少着心地が悪くても着てしまう、というところに、
もしかしたら、いろんな不具合の謎が潜んでいるのでは、
などと、今日もヒートテックを着ながら考えたのでした。
uematsu Post author
花蓮さん
手立てを見つけるということがどれだけ難しいか。
そのために、どれだけたくさんの学習をしなければならないのか。
小中高で、まずはそこから指導できる人がいるかどうか。
昨今の政治を見ていると、「もしかしたら、すべてが手遅れなのか」
などと考えてしまい、陰鬱となる今日この頃ですが、
それでも、ふとくだらないことで笑ってしまう日々を愛するところから、
僕たちは歩き出さなければならないのだな、と思います。
ため息をついて、でも、ついでに口笛を吹いて、
とりあえず、安いものではなく、美味しいものを食べるところから、
リスタートを切りたいと思います。
花緒
同じフロアのお話し、気持ち悪さが伝わって来ました。
遠くのサーバーを通して、ってなるほど~と思いました。
そういえば月一で使う、とある電車は沿線に大学が多くて、乗客はほぼ学生で満員です。
ほぼ全員スマホをいじってるので気持ち悪いです(-_-;)
今日はなぜか空いてて学生率もスマホ率も半分でしたが。
周りがみんな使うと使えなくなります(^^ゞ
uematsu Post author
花緒さん
正直、僕だってスマホでゲームをすることもあるし、
LINEのやり取りに夢中になることもあるんですが、
電車に乗っていて、8割9割の乗客が、スマホに見入っている姿は、
やっぱり異様な感じがします。
というわけで、最近はもっぱら紙の本に戻っております(笑)。
おつ
私も、職場の同じフロアで、自分の取り組んでいる仕事について、「ああ、その件で・・・」と口を挟んだところ
「あなたは盗み聞きしていたのですか」と言われたことがあり、とても違和感を感じ嫌な思いをしたことがあります。
そういう間の取り方をする人とは伝言ももちろん、アラスカ経由かアジア経由か知りませんけど、メールというツールを使います。デスクの距離3m程なんですけどね
uematsu Post author
おつさん
それはまた、ひどい話ですね。
腹立つなあ、そいつ!
しばくぞ!
と、サーバー経由で
直線距離3メートルのそいつを
脅してやりたい!