11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

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50代、男のメガネは

映画を語る人。

 

 

子どもの頃、淀川長治さんが日曜映画劇場で作品を解説していたころ、それを観るのが大好きだった。作品が本当につまらない内容でも、どこかに面白さを見つける。または、面白さが見つからない、ということをきちんと話してくれる。そんな映画と真摯に向き合う姿勢が伝わってきたからかもしれない。

 

今でも覚えているのは、ロイ・シャイダーが主演した『恐怖の報酬』の回だった。これはもともとフランス映画として、確かジャン・ギャバンで作られた作品のリメイクだったと思う。淀川さんは「さあ、それではご覧ください」と作品に誘い、本編の放送が終わった後再び登場してこう言ったのだ。「みなさん、いかがでしたか? なに? 昔の方が面白い? あんたそんなこと言ったらあきませんよ。さよなら、さよなら、さよなら」と。確か、この放送を見た頃にはもう高校生くらいにはなっていたはずだが、テレビ放送しておいて、オリジナルの方が面白い、と言ってしまう淀川さんに驚いた記憶がある。

 

他にも、何を放送した回なのかは忘れてしまったのだが、本当に面白くなかったのだろう。淀川さんが本編の放送が終わった後、「さあ、みんなさん、いかがでしたか。みなさんは、淀川長治がいつもこっち向いて話をすると思っていらっしゃいますね。右も向けば左も向くんですよ」と言って、右を向いて左を向いたのである。そして、「では時間です。さよなら、さよなら、さよなら」と放送は終わった。

 

ラジオではもっと辛辣に「伊丹十三を和製クリント・イーストウッドなんていう若手の監督もいますが」とおそらく当時注目され始めていた黒沢清のことを言っているのだろうが、「私は伊丹十三さんはナメクジみたいな顔にしか見えませんねえ」と言い切ったのである。そんな淀川さんでもテレビではいろんな制約があったのだろう。どうしても面白いところが見つからない、まともな役者も出ていない、という時には右を向いて左を向いても視聴者を楽しませようとするのである。

 

淀川長治さんは映画評論家という位置づけで語られることが多いけれど、映画評論家には二つのタイプがあると思う。

 

一つは淀川さんのように、目の前の映画をじっと見つめた後に、自分が「面白い」と思ったところはここと声を上げるタイプ。このタイプは、面白いと声を上げたあとに、なぜ面白いと思ったのかを考え、これまでに観た映画や芝居や絵画や音楽とつながる部分はないのかどうかを探ったりする。そして、見事につながるときには「つながる」と伝え、違和感があるときには「かもしれない」と正直に伝える。だからこそ、一緒に作品を観て、一緒に作品を自分のものにしていくことができるのだと思う。

 

もう一つのタイプは、自分の知っている映画のタイプに分類しながら観るタイプ。このタイプは映画を観ながら、「これはあのタイプの映画だ」とか「あれの亜流じゃないのか」とか、見終わったあとにすぐにでも批評し始められるように準備しているかのようだ。だから、少しでも今までに見たことのない作品が目の前に来ると、必要以上におとしめたり評価したりする。

 

こちらに知識がないと、「この作品は、21世紀に入ってハリウッドで急激に増えたアレをコレするタイプの作品ですね。例を挙げるならアレとかコレとか」なんて話されると、なんとなく騙されてしまう。

 

なぜ、こんな話をしているのかというと、この間、淀川長治さんの日曜映画劇場の解説部分だけを集めたDVDを観たのである。そこでみた淀川さんの映画解説は、解説が的確であるとか詳しいとかいう以前に(それは大前提として)優しいのである。映画にも観るものにも優しい。優しいからこそ、作品に対して辛辣になったりすることもあるのだが、辛辣になる場合には間違いなくその理由も一緒に語られている。

 

それに比べると、分類型の映画評論は優しくはない。優しくはないが、わかりやすい。いや、わかりやすく感じる。おそらく、いまの世の中で求められているのはこのわかりやすい分類型の評論なのだろう。

 

評論を読んで、聞いて、「今までに見逃してきたタイプの作品なのかもしれない」と気付かされた映画館に足を運ぶ、ということが若い人ほど少ない感覚がある。学生と接していても一度思い込むとなかなか抜け出せない者も多い。そして、そんな若い人ほど、分類型の映画評論にやられてしまう。

 

そして、それはいわゆるアメリカ型のグローバルな世の中にとても近い感覚のではないかと思うのである。淀川さんはハリウッド映画に憧れた最初の世代ではあるけれど、全世界の映画を色眼鏡ではなく見れた人だと思う。「映画で主張しようとするからゴダールは大嫌いなの」と言いつつ、「でもね、あの人は映画が大好きなのね。だから、とてもきれいな絵を撮るの。信じられないくらい素晴らしいカットを見せてくれるのね。そやから、いそいそと出かけてしまうのよ」と語れる謙虚さと素直さ。そんな淀川さんの映画解説を見ながら、こういう本当の優しさがアメリカ型のグローバリズムにやられていくのではないか、とふいに怖くなったのである。


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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。

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