俺たちにはエレファントカシマシがいる。
WOWOWのドキュメンタリー番組で『エレファントカシマシ、宮本浩次』を見た。僕は長らくエレファントカシマシのファンだけれど、この放送を見てとても驚いた。中学生の頃に組んだバンドがそのまま継続され、しかも、五十を過ぎても見事にパンクで、しかもメロディアスな楽曲を毎年毎年繰り出してくる。それだけでも驚きなのに、宮本浩次は「一人でいると涙が出てくる」とカメラの前で独白したのだった。
自分たちは世界屈指のライブパフォーマンスをするバンドなんだ。驚くべき才能を持っているし、これだけ歌がうまいロックバンドなんてない。なのに、ちゃんと理解されない。どこまでやればわかってもらえるのか。そう言って宮本浩次は怒りをあらわにしたのである。
僕はこれを見たときに鳥肌が立ってしまった。なんとなくだけれど、僕たちから見ればエレファントカシマシは見事に成功したバンドであり、しかも、昨年末には初めての紅白歌合戦出場というおめでたい事件もあった。だから、宮本浩次は現在のエレファントカシマシに満足しているのではないか、という漠然とした思いがあったのだった。
もちろん、もっといい曲を作りたい、もっとうまく歌いたい、という欲望も野望もあるだろうとは思っていた。だけど、「どこまでやればいいんだ」という怒りをあらわにした宮本浩次を見ていて、僕は怖くなり、せつなくなり、涙してしまったのである。
とても陳腐な言葉かもしれないけれど、ああ本物だ、と思ったのだ。本気で何かを作り上げ、本気で人に伝えようとしている作り手がいる。歌い手がいる。そんな奴と同時代を生きているんだと思うと、とてもわくわくして、とてもどきどきする。
俺たちには、エレファントカシマシがいる。俺たちには、宮本浩次がいる。
そう思えただけで僕は至福の時間を過ごすことが出来たのだった。ここへ来て、エレカシはチケットがとりにくくなっているらしい。以前はすぐにでもとれたチケットがすぐに完売してしまう。日比谷公会堂でのライブは、入れなかったファンが漏れた音を聞きに集まってくる。その数は数千人に上るらしい。
やっと、エレファントカシマシのすごさに時代が気づいた、といってもいいのかもしれない。次のライブがとても楽しみだ。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
匿名
NHKではなく、WOWOWのドキュメンタリーだと思います。
uematsu Post author
匿名希望さん
そうです!間違いました。
修正します!
ありがとうございました!