ホームページを閉じたのココロ
明けましておめでとうございます。
というわけで、30年弱経営してきた自分の小さな会社のホームページを年の瀬の12月31日に閉じた。会社は1年以上前に終えていたのでなんとなく放置していたホームページもそろそろ潮時だと思い閉めた。
閉めたというか正確にはデータを削除したのだけれど、さすがに30年もやっていると「このホームページを作ったときにはこんなメンツだったなあ」とか「こんな意見があって、こうしたんだったなあ」とか「このイラストを描いていたのはあいつだったなあ」とか、柄にもなくいろいろと思い出した。なので、データを一挙に削除せずにどこかに移しておいて、トップページだけ外すのはどうだろう、などといやらしいことを考え始めてしまったのだった、
しかし、もう何年もサイト管理アプリを使っていなかったので具体的にどうすればいいのかわからず、しばらくPCのモニタとにらめっこしていたのだった。でもなあ、もう絶対使わないし、今あれこれやっても仕方がないじゃないか、というわけで全部の項目にチェックを入れてから「削除」ボタンを押したのだった。
いやもう綺麗さっぱり。全部消したよ。消してから、「そういえばあのデザイナーとやろうと言っていた映画ダイアリーみたいなデータもあそこにあったんだろうか」とか「Tシャツ販売を画策していた時のカメラマンに撮ってもらったあの写真もあったはずだなあ」とか思い返したのだけれど、いやもう後の祭りだし、と冷ややかにでも内心はざわざわとしている僕がいるのだった。
二十代の終わりに勢いで会社を作って、バブルの余韻でなんとか軌道に乗せて、調子に乗って社長のふりして本格的な不景気の中で化けの皮が剥がれて、白旗あげて。そんな30年の間、一緒にやってくれた人や周囲から手伝ってくれた人や会社や、いろいろ思い出してしまった。
あの頃、僕のわがままに付き合ってくれた人たち、本当にありがとう。そして、調子に乗って振り回してしまった人たち、ごめんなさい。間違ったことばかりしてきたとまでは思っていないのだけれど、今以上に不器用で今以上に気持ちに余裕がなかったことは確か。器じゃないことをしてはいけないという見本のようなものだったなあ、と今になって思う。
ちょっと遅くなったけれど、いまはフリーのコピーライターとして、クリエィティブディレクターとして、映画の学校の講師として、謙虚にやってます。で、やっぱりコピー書くって楽しいなあ、映画って面白いなあ、と噛み締める日々を送っております。ほんと、純粋にそう思えるまで時間かかったなあ、と思うけど、まあ、それも僕だから仕方ない。でも、気付いたからにはこれからも謙虚に目の前にある仕事に一生懸命に取り組もうと思う。
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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Jane
1年以上置いておいてから捨てた、というところが、次元は全く違いますが、私の断捨離のココロに通じました。コロナ自粛が始まった春の断捨離では捨てられずとっておいた洋服、年末には深く考えずに捨てられました。たかが洋服ですが、年ごとに現実と乖離していく若き日への執着や、あの頃の体型に戻ったらという幻想を捨てました。捨て時閉め時という、自然の流れがあるのかなと思います。
uematsu Post author
Janeさん
ほんと、タイミングってありますよね。
で、そのことを思う時期によって答えが違っている。
なので捨てたり、閉じたりできたというのは、
その時期が来たってことなのかもしれませんね。