50代、男のメガネは近視と乱視とお手元用 ~ 「いまの若い者は!」と叱咤激励するオッサンの気持ち。 ~
「いまの若い者は!」と叱咤激励するオッサンの気持ち。
「いまの若い者は!」と古代エジプトの遺跡に書いてあった、という話は有名です。まあ、有名ですが真偽のほどは定かではないという話もありますね。だけど、ホントかどうかわからない話が、これほど知られているということは、みんな聞いた瞬間に「なるほどね」「ああ、きっとそうなんだろうな」「絶対、ありそう」と思ってるからなんでしょうね。僕だってそう思いました。
で、このサイトの読者がアラフォー中心ということをうかがって、改めて考えてみたんです。いったい、いつごろから「いまの若い者は!」的な感覚を僕は持っていたのかと。確かにいまは、ただ電車に乗るだけで「なんだ、お前たちは!なぜ家まで待たずに電車の中でサンドウィッチを食っているんだ!」とか「なぜ、ホテルまで待てずに、電車の中で乳繰り合っているんだ!」とか、毎日のように思っているわけですが、これはいつ頃からなんだろう、と。
考えてみると、意外に若い頃、というかまだ中学や高校の頃にも部活の後輩とかに向かって「なんだよ、最近の一年生は部室の掃除もしないのか。俺たちの頃なんて、先輩より先にきて、掃除してたもんだよ」なんて、週に一度しか出ないバドミントン部の幽霊部員だったくせに、そんなことを思っていたもんです。でも、あれって、まだ部活のことをよく分かってないヤツに、一応知っているものが意地悪してるだけですよねえ。
そのあたり難しいですね。ちょっとした意地悪と、ホントに「君たちにちゃんとしてもらわないと困るんだ」という叱咤激励って、紙一重のような気がしてきました。
いや、ちゃんと叱咤激励だけで「いまの若い者は!」と言っている人もいるはずなんで、そういう方と僕を一緒にしちゃいけませんね。あくまで僕の場合ですね、紙一重なのは。もう僕は紙一重です。というよりも、100%意地悪だけで言ってる時もあります、はい。「ああ、こいつわかったふうな口ききやがって、気にくわねえ。オマケにちょっとばかりカッコイイなんて、許せねえ」と思ったら、50年の人生で培ってきた様々な語彙、言い回し、格言、声色、そして、豊富な経験談を駆使して、相手を若干凹まして、さらに自分が優位に立てるように必死で頑張ってしまいます。
ああ、書いてる内に自分がホントに嫌なヤツだと言うことが分かってきてしまいました。というか、自分の嫌なところを振り返ると、改めて「いまの若い者は!」的なことをいうオヤジの言うことなんて、聞かなくてもいいんじゃないの?と思えてきますね。うん、きっとそう思います。そうされると、腹が立つかもしれないけど、おれ。ま、僕のことは気にせず、どんどん言うこと聞かずに頑張れ!若人!言うこと聞いたって、目の前にいるオヤジたちのようになるだけだしね。そんなの、なりたくもねえや!って僕も思ってたしね(笑)。
どうせ、こっちも自分よりも年下の作家の小説とか映画なんて、なんとなく色眼鏡でみてるんだから。いや、ほんとに。
植松眞人(うえまつまさと)
1962年生まれ。A型さそり座。
兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。
現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。
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