図書館で自分の本を読む。
図書館ネタが続くのである。8月の中旬に中学校の同窓会が開かれた。去年還暦を迎えたであろうジジババが集まる集会である。もちろん行かない。中学時代にいい想い出なんて一つもないので、行くわけがない。お誘いの往復葉書には「当日、日本にいないので」と海外旅行を匂わせてお断りする。もちろん、海外に遊びに行くようなお金はないので、息をひそめて日本の片隅でジッとしている。で、ジッと息をひそめていると、当時の数学の先生から電話が鳴る。
「同窓会で会えると思ったのに」
「9月になったら会いに行きますやん」
「ほんまかあ。ほんまやなあ」
ということで電話を切る。切って思い出す。そう言えば、この先生と何年も前に本を出したなあ、と。『いまからでも楽しい数学』という本で、数学が苦手だった文系のコピーライターが35年ぶりに中学時代の数学の先生と再開して数学を遊びながら学び直す、という本だった。この本、かなりドキュメンタリーで、実際にたまたま再開して、居酒屋で数学のお遊び問題を先生が出してくるので、うんうん言いながら答えてはダメだしされるということを繰り返していたのだ。
これは面白いと言うことで、企画を出して本にしてもらった。めちゃくちゃしんどい作業だったけれど、そこそこ面白い本が出来たと喜んだ。先生も共著ということで喜んでくれた。だめだめな生徒だったけれどちょっとは恩返しができたような気がする。
というようなことを先生の電話で思い出したのである。で、思い出したついでにいつもの図書館にあるかいな、と探してみるとすぐに見つかった。ちゃんとあった。きれいに置いてあった。なんかとってもうれしかった。すぐに先生に電話して、この喜びを伝えようと思ったのだが、話が長くなると邪魔くさいので、9月に実家に帰ったときに話そうと思う。
以上、同窓会は好きじゃないという話と、先生から電話があったという話と、昔書いた本が図書館に会ったという話と、9月に先生に会おうかなという話であった。まだまだ暑い日が続くので、みなさまご自愛ください。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。