声が枯れる。
今年は秋がなかった。猛暑が続いて、9月になっても10月になっても秋になる気配がなく、いよいよ地球の温暖化もここまできたのかと思っていると、11月の半ばにいきなり冬が来た。先週まで半袖のTシャツでも大丈夫だったのに、今日からいきなり厚手のコートを着るくらいの冬が来た。アパレルメーカーは一生懸命に秋物の新作をアピールしていたけれど、きっとあまり売れなかっただろう。僕もせっかく買った薄手の上着を着る機会はほとんどなかった。虫に食われないように大切に保管して、来年はちゃんと秋らしい秋がくることを祈るばかりだ。
ということで、風邪を引いた。去年の年末にコロナになって散々なまさに寝正月になってしまったのだけれど、今年も12月の声を聞いた途端に風邪だ。僕の場合、風邪は喉から。朝起きて、ちょっと喉に違和感があり、これを退治しようとうがいをするとだいたい治ることが多い。けれど、喉の違和感が午後になっても夕方になっても残っていると、だいたい鼻の奥が痛くなってくる。そこから倦怠感、くしゃみ、鼻水、そして、最後に咳が出始める。熱はあまり出ないのだけれど、喉の不調は続く。治ったのかな、と思うと、喉の奥がイガイガして小さな咳が出る。一度、小さな咳が出るとコンコンとしつこい咳が続く。これがなんとも情けなくて、心細い気持ちになる。
治ったのかと思うと、また少し悪くなるを繰り返して、いまだいたい一週間くらい経った。でも、そろそろ治りそうな気配でちょっと気持ちが楽だ。ただ、今回の風邪で気付いたのは声が枯れること。若い頃は、喉が痛くなってもあまり声が枯れることがなかった。ところが今回は数日咳が続く、わかりやすく声が枯れてしまった。家族に話しかけても、声が出なくて一人だけ電波状態の悪い回線から電話をかけているようだった。
声が枯れるというのは、とてもわかりやすく情けないことのように思えた。若い頃にも、何度か風邪で声が枯れたことはあるけれど、その時は高熱が出て喉が真っ赤に腫れて、その結果声が出なくなるという感じだったが、今回はちょっとした鼻風邪だったのに、という感じ。つまり、それだけ喉というか声帯が弱くなったのだろう。そう言えば、ちょっと大きな声で話す機会があるだけで、しばらく声が出にくくなることもある。はっきりと老化している証拠だと思う。
いやだなあ、歳をとるのは嫌じゃないけど、歳をとって声が出にくくなって、若いもんに文句の一つも言えなくなるのは嫌だ。と思っていたら、喉は鍛えられるそうだ。定期的にカラオケなんかに言って元気に歌えば声帯や喉の筋肉が鍛えられるそうだ。そして、喉の筋肉が鍛えられると誤えんなども減るらしい。そう言えば、最近、誤えんで咳き込むことも多いので、カラオケに行こう!とヨメを誘う。ヨメは大きな張りのある声で、「はいはい、昨日まで風邪で死ぬ死ぬといっていたくせに」と呆れ顔でこちらを見る。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。