明るく元気でポジティブなことだけを
かなり前になるのだけれど、古い友人に会ったときに話したことを思い出した。「SNSには明るく元気でポジティブなことだけを書くようにしている」という内容だった。友人は「なんか、SNSで毒を吐く人の気持ちがわからないんだよね」と笑いながら言った。僕はそれを聞いて、なんだか一人でドキドキしてしまって、適当に相づちを打ちながら別の話題に移るのを注意深く待っていた。
なにしろ、僕には毒を吐くような人の気持ちが手に取るようにわかるし、なんなら毒を吐きたくなったり、うっすら毒を吐いたことくらいなら何度もあるから。で、その話はそこで終わったのだけれど、SNSで毒を吐く人の気持ちがわからない、という友人の言葉がそれ以来時折思い出されて、気になって仕方がない。
そもそも、「明るく元気でポジティブ」な話題なんて、そうそうあるのか? そして、「毒を吐く人の気持ちがわからない」なんてことが本当にあるのか? いったん、そんなことが気になりだすと、SNSの明るく元気な発言が気になるし、ネガティブな発言にも目がいってしまう。そして、その内容そのものよりも、この発言をしている人は僕の友人のように敢えてそうしているのだろうか、それとも知らず知らずそうしているのだろうか、と言うことが気になり、さらに、もしかしたらこのネガティブな発言をしているのは、僕の友人の裏アカだったらどうしよう、なんて思ってしまう。
ということで、友人との話を思い出して、「僕も明るく元気でポジティブな発言だけしてみようかな」と一瞬でも考えたことを恥じているのである。そんなこと、僕に出来るわけないじゃないか。だって、僕の身体の半分以上はネガティブで出来ているんだもん。
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植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。