Posted on 2016年4月22日 by ミカス

将軍様の嘆き : そのまんま春巻

筍の美味しい季節がやってきましたよ、皆さん！
この時期は何度も筍を茹でまくり、鍋もシンクも米ぬかまみれです。
茹で上がった筍で色々な料理を作ってみるものの、
唯一、どうも味にブレが出てしまうのが煮物。
苦手なんです、煮物。
「私の得意料理は煮ものです。うふふん」なんて言う人に出くわした日にゃあ
憎らしいやら羨ましいやらで、身悶えしちゃいそうな私です。

私が独身主婦として台所に立つようになったのは、母に物忘れの症状が表れたから
というお話を、連載初回にさらりと書きました。
元々母は大変料理上手な人でしたが、
忘れん坊将軍と化してからは少しずつその技量が落ちていきました。
悲しいかな、自分でもその点には気づいているようで、
「あの作り方も忘れてしまった」「この料理はもう作れない」と嘆くばかり。

そんな状態ですから、毎年おせちやご馳走を作って娘(私の妹)家族を迎える習慣になっている
お正月が、母にとってはとても憂鬱なものとなってしまいました。
母「おせちなんて、ご馳走なんて作れないから、みんなに来ないように言って」
私「私がやるから大丈夫。(っていうか、今はもう、全部私がやってるじゃん)」
母「・・・(不満そう)」

で、元旦。
「わたしできない。ことわって」と繰り返すこと数十回。そんな母をなだめすかして、
なんとか妹夫婦、甥、姪夫婦を迎えました。
煮物が詰められた重箱の前で母が妹夫婦に言っています。
「今年は煮物がうまくできなくてねぇ、美味しくないのよ。
もう料理はできないわ」
その顔は、なんとも言えずしょんぼり。
煮物をつまんだ妹が「そんなことないよ。美味しいじゃん」と母を慰めてます。
おいおい、ちょっと待ってくれよ、忘れん坊将軍様よぉ。
その煮物、煮たの私だよ。あ・た・し!
陰で事情を話すと、妹夫婦は大爆笑。そして「そうか・・・」と深いため息をひとつ。
どうやら将軍様の頭の中では、自分がすべての料理を用意したことになっているらしい。
毎年お正月の準備は自分が仕切ってきたという記憶がしっかりと刻み込まれているからなのでしょうか。

そういえば、こんなことがありました。
独り暮らしをしていた伯母(母の姉)に物忘れの徴候が出始めた時、(はい、母方は”将軍家系”です)母が伯母を訪ねたことがありました。
一人で大したものも食べていないかもしれないと気遣った母は、あんかけ焼きそばを作って
伯母と一緒に食べたそうです。
母の料理を一口食べた伯母は
「遠くから来てくれたのに、こんな料理で悪いわね。
不味くもなく美味くもなく」

ダチョウ倶楽部かよっ?!(前回に続き登場)

駆け出し独身主婦にはわかりませんが、
主婦として長年台所に立ってきた人には、無意識のうちの強いプライドがあるのかもしれません。
だから、色々なことを忘れてしまってからでも、自分がその家の炊事のすべてを回してきたという自負は消えない。
うん、わからないけどね。
私も今は毎日台所に立っていますが、多分、そんなプライド生まれないような気がします。

母は、色々なところで見聞きしたレシピを試すのが好きでした。
以前紹介した「はんぺんサラダ」もそう。
で、今日ご紹介するのは、母がテレビで見たというそのまんま春巻です。
普通、春巻は炒めた具材を皮で巻いて揚げますが、
この春巻きはその名の通り、具材を「そのまま」巻いちゃいます。

『そのまま春巻』

この春巻、普通に酢醤油とからしで食べるのも十分に美味しいのですが、
花椒塩(ホワジャオエン)で食べると、これまた大人の味。
花椒塩は、空揚げや天ぷらにつけて食べても美味です。
ぜひ、ご家庭に1つ常備なさってくださいな、お嬢様方。

　さぁ、今すぐAmazonでポチっとな。

ミカスでした。

Tweet