カナダへ行ってきた。しかも、妹と。#7
もう一軒、私たちを食事に招待してくれたお宅がありました。
こちらは、3世代、いや、去年末に赤ちゃんが生まれたので4世代が同じ家やスープの冷めない距離に暮らす大家族のお宅です。
恐らく、住居や食生活については、このお宅のスタイルが最もカナディアンっぽいのではないかと思います。
食事に招いてくれるすべてのお宅で共通しているのは、「〇時に」と約束しても、その時間ぴったりに食事が始まることはない、ということ。
参加者は約束の時間の前後(大抵は後)になんとなく集まって来て、招いた側はまだまだ食事の準備の真っ最中。
このお宅でも、約束の時間はまだテーブルの上には何も準備されていませんでした。そのうち、みんなが次々と集まって来て、その度ににぎやかな声が響いてはハグの連発。そうこうしているうちに、長女が大きな箱を抱えて「Dinner!」とやって来ました。
ん?ディナー?
そう、このお宅では、美味しいと有名なお店のお料理をテイクアウトしてきてくれたのです。
その料理とは…
フィッシュ&チップスとコールスローサラダ!
フィッシュ&チップスはイギリスの名物料理で、揚げた白身魚に揚げたポテトを添えるという「やっちまったなぁ」的なもの。だけど、これがまた美味しい。背徳の味。悪魔の料理。揚げ物党党員にとって、こんなに素晴らしい料理はありませんね。
カナダはイギリス連邦加盟国のひとつで、特に西部はイギリスの影響を強く受けています。なので、イギリス名物のフィッシュ&チップスがこの辺りの名物にもなっているのです。
キッチンカウンターの上にどん!どん!と並べられた料理を、十数人でビュッフェレストランのように取り分けていきます。好きな物を好きなだけ。
これにはこれで妹大はしゃぎ。
「いやぁ、海外ドラマみたいだねぇ! 欧米かっ?!はっはっはっ!」
妹よ、 何をそんなに声高らかに笑う必要がある?
欧米だ。
そう、何日も前からあなたは北米にいる。
デザートは、やはり美味しいと評判のパティスリーから買ってきたフルーツタルトと、地元の有名なチョコレート屋さんの大きな箱がコーヒーテーブルに並びました。こちらも「Help yourself・お好きにどうぞ」です。
コーヒーや紅茶のカップを手に、部屋のあちこちでお喋りが始まりました。
カナダを訪れるたびに思うのですが、カナダ人の懐の深さは半端なものじゃありません。私や私が連れて行った家族や友人を、まるで家族の一員であるかのように、ごく普通に、そして当たり前に自分たちの家に迎え入れてくれる。「友達なんだもの、当たり前でしょう」と思うかもしれませんが、これ、初対面の時も同じでした。異国からやって来た、極端に言えば”どこの馬の骨とのもわからない”私のことを、全く気負うことなく迎え入れ、ハグをし、ご飯を食べさせてくれました。逆の立場だったら、私には彼らと同じことができるだろうか?
彼らに会うと毎回そう思います。そして、同じようにできる人でありたいなぁ、と思うのです。
さぁ、ここまで引っ張ってきた私の旅も、次回が最終回です。
実際の旅はとうの昔に終わっているのですが、それでも、記事を書くことでまた旅をし直しているような感覚に浸っていた私にはちょっと寂しい。
次回の記事は涙にむせびながら書くことになるでしょう。ウソです。
ミカスでした。