キッタリハッタリ・上 : キャベツと干しえびのXO醬炒め
今、この記事を書いている私の両まぶたには縫い目がある。家庭科の運針のようにくっきりとした縫い目が。
前回の記事に書いたように、6月13日、眼瞼下垂の手術を受けてきた。ここ数年気になっていたぼんやりまぶたをなんとかしようと、手術を受ける決意をしたわけだけど、直前まで私の心は揺れていた。何と言っても、怖い。
先生曰く”歯医者でするような”麻酔で顔面に切れ目を入れるのだ。これが怖くなくて何というのか。いっそのこと全身麻酔でお腹を切られる方が楽なのではないかとすら思ってしまった。
手術後に自分で運転をして帰るのは禁止。タクシーなどを使うにしても、できれば家族と一緒に帰る方がいいと言うので、妹に来てもらうことにした。
形成外科、美容外科、乳腺外来の合同待合になっているスペースに座っていると、私たちの顔をまじまじと見る人がいる。中学、高校と、ほんのちょっとヤンキーの匂いを漂わせていた妹は、こういう時にひるむようなタマではない。相手をまっすぐに見据えると素っ頓狂な声を上げた。「Kちゃん!」
妹の中学時代の同級生だった。
「やっぱり、ミカス妹ちゃん!何年振り?あれ、今日はどうしたの」
妹が私の顔を一瞥したのを見てKちゃんは「あっ、お姉ちゃんの付き添い?」。すかさず妹が「うん、整形」。それを受けて私が「ちょっと二重にね」とにっこり。Kちゃんがなんとも気まずい顔で笑ったものだから、もちろん2人で「違う、違う。眼瞼下垂」と訂正。「なぁんだ」とほっとした顔で笑ったKちゃんは、「じゃあね」と小さく手を振って、乳腺外来の診察室の前のベンチに座った。
移動するKちゃんを何とはなしに目で追っていると、その奥からまっすぐ私に向かって歩いてくる若い看護師さんの姿が見えた。
「ミカスさんですね」
簡単な問診をして、熱を測って、「ではこちらへどうぞ」。「じゃあね」と妹に手を振って、看護師さんの後に続く。これが今生の別れになることはないだろうけど、あんた、姉ちゃんのこの顔を見るのはおそらく最後だよ。
外来手術室の扉を開けると、まっすぐに廊下が伸びていて、右側には手術室、左側には更衣室と書かれたドアが並んでいた。若くて可愛い看護師さんは一番手前の更衣室のドアを開けて「ロッカーに荷物を入れてください。鍵はこちらで預かります」。どうやら手術はこの服装のまま受けるらしい。
荷物をロッカーにしまい、手術室に入ると、手術着を着た先生がいた。そして、見学をする学生さんが3人。ここは大学病院なので、診察や治療を学生さんが見学することもある。学びの場だから仕方ない。
寝返りを打ったら転げ落ちてしまいそうなくらい細長い手術台に横になる。着ていたTシャツの襟を不織布で覆いながら看護師さんが言った。
「汚れてしまうといけないので」
汚れるって…襟元が汚れてしまうほど出血するのか?まぶたから襟元への距離を考えるとぞっとした。
全ての準備が整って、先生が言った。
「ではまず、デザインを」
で、デザイン?!
(『キッタリハッタリ・下』へ続く)
手術直前の週末、しばらくはあまり外出できないかもしれないと、横浜中華街へ足を延ばしました。
そこで買ってきたのが、干しエビとXO醬。実は私、 XO醬 を使うのはこれが初めてです。そこで、まずはとてもシンプルな料理に使ってみました。『キャベツと干しエビの XO醬 炒め』です。
『キャベツと干しエビの XO醬 炒め』
- ボウルに酒と水を入れ、それに干しエビを浸けておきます。
私が中華街で買ってきた干しエビは、干しエビと言っても割と柔らかい
タイプのものでした。エビの戻し時間は、乾燥具合で調整してください。 - キャベツは大きめに切り分けておきます。
- 1に、 XO醬 、オイスターソース、塩を加えて混ぜ合わせます。
- 中華鍋で油を熱し、キャベツを炒めます。油が全体に回ったら、3の合わせ調味料を加えてさらに炒めます。
- あまり火が通り過ぎず、キャベツにしゃきっとした感じが残るくらいがベストです。もし味が薄いようなら塩で調整してくださいね。
次回、いよいよ私のまぶたにメスが入ります。
とはいえ何事も一筋縄ではいかないのが私のさだめ。微に入り細を穿つ解説、半分終わってからの術式変更、そして繰り返される四次元発言。果たしてミカスのまぶたは無事に呪術を乗り越えられるのか?!
ミカスでした。
はしーば
続きが気になり過ぎます。
私も左瞼が相当ヤバいことになってきているので、できればお師匠さんの体験を参考にさせていただきたく思っております。
ミカス Post author
はしーばさん
瞼の母ならぬ、瞼の弟子ですな。
よっしゃ、まかせなさい!
次回はいよいよ、切ったり貼ったり、いや縫ったりです。