ミカスの神様:鶏もも肉のクリーム煮
昨日、デイサービスがなかった父は日帰り温泉へ。
免許を持っていない私は、あまり歩けなくなった父をどこかへ連れて行くことなどなかなかできないのですが、
とある人が月に1度ほどの割合で温泉へ連れ出してくれます。
その人は、父が以前からお世話になっている小さな自動車工場の社長さんです。
「お父さんを連れ出してもいいかな?」と電話をくれ、杖をついてよたよたと歩き、軽い認知症のせいで時に頓珍漢なことを言う高齢者に、温泉、食事、散策と、一日中付き合ってくれるのです。
この社長さん、そしてその奥さんも、私にとってはまさに神様。
父の運転免許返納も、このご夫婦の協力なしに進めることはできませんでした。
たまたま父の車の調子が悪くなり、社長さんの工場で点検をお願いしたのですが、「今しかない!」と思った私は電話をしました。
父が初期の認知症と診断されたこと。そのくせ高齢者講習の認知機能検査ではとても高いスコアをたたき出してしまったので本人は自信満々になってしまったこと。それでももう運転は危ないのでやめさせたいということを伝えると、社長さんは一言「わかった。任せて」。そして、車を点検したところかなり酷い故障が見つかり、修理をするには中古車でも買った方がいいんじゃないの?というくらいの金額がかかりそうだと(もちろん嘘)父に話してくれました。その上で「そろそろ免許を返納したらどう?」と勧めてくれたのです。私の言うことには片耳すら傾けない父ですが、社長さんの話にはちょっと気持ちが傾いた。それを見逃さなかった社長夫妻のそこからの動きの早さといったらそれはそれは凄いものでした。
奥さんから父に「免許を返納するんだって?よし、一緒に警察署に行こう。さっさと手続きを終わらせちゃおうよ!」(この奥さん、とても威勢がいい)と電話があり、その数日後には父を連れて管轄の警察署へ行ってくれました。
車がなくなってしまえば父はもう工場の客ではありません。これでお二人との縁もなくなるのかと思っていたのですが、その後も社長さんは父を温泉に誘い出してくれ、奥さんは家庭菜園でとれた野菜を手に私の顔を見に来てくれます。そのたびに「大丈夫?大変なことはない?何かあったら何でも言ってね!」という彼女の言葉のなんと心強いことか。そな諸々を報告するたびに、妹は「神様だ」と。小僧の神様ならぬ、ミカスの神様です。
親の介護が始まって気づいたのは、私の周りには自然に手を差し伸べてくれる「神様」が思いのほかいたということです。介護が始まった当初は、初めての経験だったこともあり、自分が置かれている状況を誰にどこまで話してもいいものか全くわかりませんでした。そんなものだから、誰かが手を貸しくれるなんて考えもしませんでした。でも、「あれ? 私、1人で頑張らなくていいの?」と気づいてからは、差し伸べてくれる人の手は借り手もいいんだと思えるようになりました。福祉のプロはもちろんのこと、親戚、友達、近所の人、神様は意外な場所に潜んでいるものです。
さて、坐骨神経痛がほんの少し良くなってきて、料理らしいことができるようになってきました。とはいえ一進一退ですが。今日は、久しぶりに作ったまともな(?)料理をご紹介します。
鶏もも肉のクリーム煮
- 鶏もも肉は一口大よりやや大きめに切り、塩と白コショウを振ってしばらく置きます。
- 玉ねぎをみじん切りにします。量が多い方が食感がいいので、小さい玉ねぎの場合は2個使ってください。
- 1の鶏肉に軽く小麦粉を振ります。
- 深めのフライパンに油を加えて火にかけ、鶏肉を焼きます。うっすらと焼き色がついたら取り出しましょう。
ここで完全に火を通す必要はありません。 - 4のフライパンで玉ねぎを炒めます。炒めすぎないように。食感命!
- 鶏肉をフライパンに戻します。肉汁が出た場合はそれも一緒にフライパンへ。
- 水、チキンスープの素を加え、ふたをして弱めの中火で煮込みます。
- 鶏肉に火が通ったら、お好みで水煮の豆を加えます。
- 生クリームを加え、弱火で2~3分加熱し、塩で味を調えたら出来上がりです。
神様とまではいきませんが、「在宅デトックス」でも皆さんの介護に関する黒い気持ちを受け止めますよ。
今の介護がつらい方、過去の介護の記憶が重い方、まだ始まっていない介護が不安な方、ぜひご参加ください。
気負いのない、とても楽しい場です。初参加の方も大歓迎ですので、興味のある方はぜひご参加ください。
詳細とお申し込みはこちらから。
ミカスでした。
Jane
すごいな~、自分の商売に得になるどころか損になることを、本当にミカスさんとミカスさんのお父様を思ってしてくださる人って。なかなかいないと思いますよ。
私にはいつでもそこにいてくれる神様みたいな人はいません。親戚もなし近所づきあいもなし、友達はオンラインの向こう。
通りすがりの神様は時々いるけど。
ちょっと黒い気持ち吐き出していいですか?
車の免許と言えば、今日の私の一日は「車の免許書き換え」のための質問で半日終わりました。オンラインで様々な選択をして書き換えに訪れる時間帯を予約。その選択の仕方を電話で質問しようとしたら、自動音声の様々な選択の後20分待ち。やっと人間が出たと思ったら「よく聞こえません」と3秒でぶちっ。これを3回繰り返し、1時間半が過ぎ、私の心もぶちっ。事務所に出向いて「入店予約した人のみ入ってよし」の貼り紙無視で並び、「質問のため3回電話したら3回とも途中で切れたんです」と言ったら、謝って質問を聞いてくれた受付の人、今日の私の神様はあなた(電話を切った人と同じ人かもですが)。実際の書き換えにはまた予約した時間に来ないといけないですけどね。
この間ポッドキャストでもお話になっていましたけど、近年のなんでもオンライン化は私の年代にもすでに辛い!しかも電話しても延々と続く自動音声の関門をくぐりぬけないと人間につながらない!ついでに時々私の英語の発音が機械に認知されず。
もし私の認知機能がもっと衰えたら、「一緒に免許書き換えに行こう」って言ってくれる神様はいるのかしら。ていうか私が誰かの神様になれよ、先に?
あまから
ミカスさんの人徳ですね!素晴らしいと素直に思いました。
私もそういうお付き合いができるよう、もう少し「柔らかく」「心を開く」事ができる人間になりたいなぁ…(面倒くさがりで気難しいのです汗)
ミカス Post author
Janeさん
通りすがりでも神様に出会えるのはすばらしいことですよ。
あ、あと、神様ってこちらからアプローチしてみないと意外と出会えないような気がします。
自分が困っていることをちょっと打ち明けたりすると、思いもかけない形で手を貸してくれたりして。
海外(大きなくくりですが)っていい加減なところありますね。
そして、とてつもなく大雑把。
私も電話を開通させようと思ってNTTみたいな会社へ行ったら「保証人が必要」って言われたので、
翌日知り合いに頼んでわざわざお昼休みを抜けてもらって一緒に行ったのに、
昨日とは違う人が「保証人なんて必要ないわよ」って。
必要って言ったお姉さんが隣のカウンターにいたので「あの人が要るって言ったんだよ!」って言いたかったけど
その頃は英語が下手っぴで度胸もなくて何も言えずじまいでした。
そうか、神様を探すだけじゃなくて、自分も誰かの神様にならなきゃいけませんね。
周りにいる神様たちをお手本に、私も神様になれるよう精進します。
ミカス Post author
あまからさん
私の人徳ではないのです。私は本当にダメ人間ですから(笑)
神様たちが人徳があるのです。
誰にでも心を開く必要はないと思うのですが、
でも、確かにこちらが柔らかくなるとあちらもふっと扉を開いてくれるかもしれませんね。