灰色のもやもや:大根とちくわの煮物(お知らせ
母のグループホームから「冬の下着を補充してほしい」という連絡をもらい、妹と姪とショッピングセンターへ買い出しに行きました。
しばらく補充をしなくて済むように、シャツやズボン下、靴下などを大量にカゴに入れ、レジへ向かいます。店員さんが商品をたたんで袋詰めしてくれている間、姪と「帰ったら名前を書かなきゃね」「名前シールにしたら?アイロンで貼れるよ」などと話していたのですが、私たちの会話がふっと止まった瞬間に店員さんが話しかけてきました。「お名前を書くんですか?」
私は、この下着が母のもので、母がグループホームに入所しているということを簡単に話しました。すると店員さんが「うちもです」。そして、「ちょっと前に面会に行ったら、この部分(胸のあたり)に油性マジックで大きく名前が書かれていたんですよ」と。
彼女がそこから先を言葉にすることはありませんでしたが、ふと見ると、泣きそうな顔で笑っていました。
「ああ、それは…」と言ったきり、私も続ける言葉が見つかりませんでした。もし周りに人がいなかったなら、私は彼女の手を取って泣いていたかもしれません。
他の入所者さんの衣類と混じり合ってしまわないようにという配慮で、わかり易く名前を書かれたのだと思います。もちろんそこに悪気はない。それはちゃんとわかっているのです。それで事がスムーズに運ぶのであればそうしていただくのも結構。
ただ、脆く儚くなってしまった家族を他人の手に託してしまったという小さな棘を胸に抱えた者にとっては、肌着の胸元に大きく名前を手書きされたことが、まるでゼッケンで番号を振られたように感じられしまったのだと思います。そして、それは全て「努力を諦めた」自分のせいなのだと。
誰も悪くない。本当に誰も悪くない。
でも、彼女をこんな表情にさせてしまったものは一体何なのか。同じ状況にあるだろうと思われる見ず知らずの客に声を掛けさせてしまったのは一体何だったのか。私の心の中には今も灰色の小さなもやもやが転がっています。
ああ、できれば彼女ともう少し話がしたかったな。またあの売り場に行ったら会えるかしら。もし会えたら、カイゴデトックスのZinを手渡して、在宅デトックスに誘ってみようか。そんなことを考え続けています。
さて、その『在宅デトックス』も今年最後の回となりました。
実は、11月のデトックスは私が体調を崩してしまい、キャンセルとなってしまいました。申し込んで下さった皆さん、大変申し訳ありませんでした。もし12月のスケジュールが合うようでしたらぜひご参加下さい。
もちろん他の皆さんも、今年の介護を振り返って、色々おしゃべりをしましょう。
在宅デトックス12月回のお知らせ
日時: 12月27日(火) 21:00~ ※大体1時間半くらいです。
テーマ: 『今年の毒、今年のうちに』
詳細とお申込みはこちらをご覧ください。
今月は夜の回です。
今年一年はどんな年でしたか?どんなことがありましたか?
しんどかった事、不安な事、腹の立つ事、心にたまった苦い毒を来年に持ち越さず、今年のうちに吐き出してデトックスしましょう。
過去に介護経験のある方、現在介護真っ最中の方、介護未経験だけど興味がある方、全て大歓迎。
初参加の方もお待ちしています。
さて、今回ご紹介するのは『大根とちくわの煮物』です。大根とちくわと言えばおでんが浮かびますが(しかも結び昆布まで使ってる)、私はおでんのさっぱり味よりもこっくりとした甘辛味が好き。
ご飯のおかずになるようにしっかりと味をつけましょう。
大根とちくわの煮物
- 大根は3センチくらいの輪切りにして皮をむき、1/4に切ります。
- 鍋にたっぷりの水と大根を入れ、蓋をして茹でます。楊枝がすっと通るくらいの柔らかさになるまでしっかり茹でたら、ざるにあけて軽く水を切っておく。
- 鍋に油を引き、大根を軽く炒めます。
- 大根に照りが出たら砂糖を加えて、大根に絡めるように混ぜます。
- 鍋に、ちくわ、結び昆布、みりん、麺つゆ、醤油、水を加え、蓋をして弱火で煮ます。
- 大根に煮汁の色が染みたら火を止め、しばらくそのまま置いて味が染みるのを待ちます。
食べる前日に煮ておくと味がしっかりと染みて美味しいですよ。
12月に入って急に寒くなりましたね。コロナウイルスも心配ですが、風邪やインフルエンザにも十分気を付けてこの寒さを乗り越えましょう。
ミカスでした。
okosama
「名前書き」がキーワードでしたか。
お仕事ではにこやかにされているけれど、その分、澱を流すところがないのですね。
しんどいよね。
アメちゃん
ミカスさん。こんばんわ。
きっと「胸のところに大きく書かれた」というのが
より悲しいんですよね。
なんていうか、大人として人生を全うしてきた自分の親、
自分よりもずっと大きな存在だった親が、
子どものように、しかも雑に扱われてしまった・・というのは辛いです。
これが、シャツの裾あたりに小さく書かれてたらずいぶん違うと思います。
じつはまさに今、母のことで
私も姉も小さな棘を胸に抱えることになりました。
母には本当に申し訳ない・・って思うけれど、仕方ないっていうか
ホント、誰も悪くないんですよね。。
なな
「努力を諦めた」自分のせい…
涙が出てきます。
どんな労りの言葉をかけられても、何年経っても、ダメです。
涙が出ます。
コロナ禍で施設の面会がなかなかかなわずやっと会えても、変わりゆく母を見て
辛くなります。
「コロナのせい?いや私の…」という思いを抱えてる人少なくないはず。
デトックス、大切です。
ミカスさん、ありがとうございます。
はしーば
ミカスさん、こんにちは。
私も父、母の介護を始めて足かけ7年になりました。
この間、父は亡くなり今は母だけになりましたが、着るものを含め、施設での持ち物全てに名前を書く行為、今でもまだ慣れません。
やはりなるべく目立たないところに書いたり、シール貼ったりしています。
とても切ない気持ちになります。
この感情は何なのかと思っていましたが、「大の大人」にゼッケンを付けなければならないという罪悪感なんでしょうか。
正解はないのかも知れませんが、だから余計にモヤモヤするんですね。
ミカス Post author
okosamaさん
誰に吐き出したらいいのかわからないままにもやもやを抱えていらしたのでしょうね。
見ず知らずのおばちゃん(私)に吐き出したところで到底解消できないでしょうに。
しんどかったと思うし、今もしんどい思いをされているんだろうなと思います。
ミカス Post author
アメちゃんさん
そうだと思います。自分の親にまるで番号を振られたかのような、そんな気持ちになったのでしょう。
アメちゃんさんが仰るように、あまり目立たない部分に小さく書かれていたなら
そんな気持ちにならなかったと思います。
アメちゃんさんも妹さんも切ない棘が刺さってしまいましたか。
詳しい状況はわかりませんが、本当に誰も悪くないのだと思います。
だから「あまり苦しまないで」と言いたいし、だけど「それでも辛いよね」とも言いたいです。
ああ、堂々巡りだなあ。
ミカス Post author
ななさん
お辛いですね。
私たちは決して「努力を諦めた」わけではないのです。これまでずっと努力を続けてきたし、状況が変わったとはいえこれからも努力しなければならない状況は続くのですから。
それはわかっているのに、やっぱり介護する人は自分を責めてしまうんですよね。
もしかしたら、お母さまとなかなか会えない辛さがさらにななさんを責めるかもしれませんが、ななさんは十分に頑張ってるはず。コロナが悪い!
どうしてもしんどくなったら、在宅デトックスにご参加下さい。どんな気持ちも言葉も受け止めてくれる仲間が待ってます。
ミカス Post author
はしーばさん
お父さまを見送られたのですね。
ご愁傷様でした。そして、お父様の介護お疲れ様でした。
私も両親の衣服に名前を書くという行為は未だに好きになれません。
切ないですよね。
でも、「目立たないところに」という配慮と共にはしーばさんが書かれたお名前は決してゼッケンではありません。
お母さまの大切な持ち物が迷子になってしまわないようにはしーばさんが付けた優しい目印です。
それでも親の持ち物に子が名前を書くという行為は切ないものですが。
足かけ7年の介護、本当にお疲れ様です。どうか無理をし過ぎませんように。
ミカス Post author
アメちゃんさん
一緒に介護されているのは妹さんじゃなくてお姉さんでしたね。申し訳ありません。
お二人の気持ちが少しでも軽く、穏やかになりますように。
アメちゃん
ミカスさん。おはようございます!
いえいえ、そんなこと全然かまいません。
漢字の読み間違いをされたのかな?ってぐらいにしか思ってません(笑)
まだ最終結論が出るまで時間にゆとりがあるので
この先二転三転すれば、結果がどうなるかは分からないのですが
遅かれ早かれ、お別れは必ずやって来るもの(生きて別れるのも死別も)だと
そう思って、残された日々を大切に暮らしたいと思います。
お心遣い、本当にありがとうございます。
まあちゃん
ミカスさん。私の母も認知症でしたが、父が在宅を望むので、自宅ですごしていました。週に2日父とデイサービスに行ってましたが、それ以外はずっとベットやソファーでゴロンと横になっているだけでした。デイサービスに行っても、ただ座っているだけなので、いつも行きたがらなくて、何とか行ってもらってました。
ところが、
最後の一年は、事情で父と同じデイサービスに行けなくなり、近所のグループホームをデイサービスとして利用することになりました。それまでとは違い、グループホームは認知症の人ばかりなので、そこでの過ごし方や職員さんの働きかけ方が、母にはとても適しているのがわかりました。週に2日だけでしたが、デイから帰ってくると、表情が豊かになっている気さえしました。連絡ノートを見ると、洗濯物をたたんだり、玉ねぎを刻んだり、書道をしたりと、何も出来なくなったと思っていた母が、色々取り組んでいる写真まで添えられていました。母にとっては、家にいてボーッとしているより、グループホームにいる時間の方が、活動的で幸せだったのではないかと、思いました。
ミカスさん。グループホームを、お母さんの居場所として選んであげたことで、お母さんは良い時間を過ごせているはずですよ。と、ずっと、お伝えしたかったんです。
けど、小さな棘が刺さっているという感じ、わかりすぎるくらいわかります。
うん。
ミカス Post author
アメちゃんさん
ありがとうございます。
これから状況が変化していく可能性があるのですね。
お母さんといい時間が過ごせますように。
ミカス Post author
まあちゃんさん
お母さんがご自分に合ったデイサービスに通うことができて本当に良かったですね。
活動的になられて表情も豊かになったなんて素晴らしい。
いい時間を過ごされたのでしょうね。
そして、優しい言葉をありがとうございます。ずっと伝えたいと思っていて下さったなんて本当にうれしいし心強いです。
小さな棘はきっといつまでも抜けないと思いますが、それでも自分の選択は間違ってなかったと信じていきます。
本当にありがとうございます。
いつか「棘」について語り合いたいですね。