父のこと。ただの愚痴のようなものだけど: 手羽先のコーラ煮
母のことはここに割と書いてきましたが、父について書いたことはあまりなかったような気がします。
私は肉親に対する情があまり深くない人間なのですが、そこへもってきて父に対してあまりいい感情を持ち合わせていないので、書こうという対象にならなかったのかもしれません。とはいえ、母に対してもさほど情があったわけでもないのですが。
母がグループホームに入所してやっと肩の荷が8割方下りたと思っていた矢先、父が認知症であることが分かりました。
ある日、かかりつけの医師から「お父さんは自分で薬の管理が出来ているかい?」と連絡があったのです。そう言われてみると、食卓の端に朝昼晩と順番に並べられていた薬は、いつしかその規則性がバラバラになり、妙に乱れた状態になっていました。
母も通っていた物忘れ外来で受けた検査の結果はアルツハイマー型認知症。母を担当してくれていた医師は「やっとほっとしたのに、またですか」と憐れむような顔で私を見ました。
本当にね。
8割降りた荷が倍になって戻ってきたような肩の重さでした。
父を家で介護するようになって、同じアルツハイマーでも人によって出方が違うことがあるのだと知りました。母は認知症のお手本のようにありとあらゆることを忘れては「私は聞いてない。私だけ仲間外れにして!」と怒ったものですが、父は割と覚えているのです。デイサービスから戻ると「鞄の中に、ゲームに勝ってもらった商品が入っているから」と言うので確認してみると、一等賞と書かれた袋が出てくる。なんなら私だって時には忘れちゃうぞ、というようなことを覚えているのです。
そのかわり父が失ったのは生活をするためのスキル。父の頭の中からはごく普通の生活動作がするすると抜け落ちていきました。テレビのリモコンの使い方。洗浄便座の使い方。
中でも、目に見えてできなくなったのが着替えです。衣類を着脱する行為自体はなんとかまだできるのですが、着替えをするその「流れ」が頭の中から抜け落ちてしまっているので朝晩の着替えは厄介です。
隣にぴったりとついて「まず上を着替えます。セーターを脱いで。はい、次はシャツ。(シャツをつまんで)これだよ。そう。じゃあ、これを着て」と逐一指示をしなければなりません。それでも、指示がほんの少し遅れると今脱いだものをまた着てしまったりするので、目を離すことはできません。
介護も数年目になってくると当然そのやり方にも慣れてくるので、着替え補助も以前よりは時間がかからなくなりました。この順番の方が簡単、こう言う方が伝わりやすい、そんなふうに少しずつコツをつかんで。ただ、それでもいまだに私は朝晩のその10分ほどの時間が苦痛で苦痛でなりません。
父を着替えさせる時間、私は自分が「介護する人」いや「介護しなければならない人」であることを嫌というほど実感します。それはなぜなのか、理由はわかりません。他にも介護を意識する時間はいくらでもあるのに。(排泄を失敗した時の処理なんて最悪なのに)
父を着替えさせながら、まるで出口のない透明の球体の中に父とふたりだけ閉じ込められているような感覚に襲われて、息苦しくなるのです。外のきれいな情景をしり目に、抜け出すことのできない球体の中であちらこちらに転がりながら、父を着替えさせ続ける。(時々汚物を片付けたりもしながら)
と、いかにも自分だけが可哀想であるかのように書いてしまったものの、同じように球体の中で外を羨みながら日々を過ごしている人はたくさんいるのだろうなあと思います。とはいえ、そう考えてみたところでさほど大きな救いにはならないのですが。
先日、11月に開催されたオバフォー祭りの参加者のみなさんとZoomミーティングをしました。オバフォー祭り後夜祭です。
その中でとある方が仰いました。
「祭りの後、他の参加者の方と駅までご一緒しました。別れ際にその方が『がんばろうね!』と仰ったんです。その言葉が胸に刺さりました」
頑張りたくない時もあります。もう十分頑張ってるよ、という方もいらっしゃるでしょう。
でも、皆大なり小なり大変なことを抱えているであろうと想像できる私たちの世代。そんな人から『がんばって』ではなく『がんばろうね』と言われたら、たしかにそれは深く刺さるかもしれません。
今日も球体の中で必死にこらえている人たち。
何の救いにも、解決にも、答えにもならないだろうとは思うけど、がんばろうね。
さて、今週ご紹介する一品は『手羽先のコーラ煮』です。手羽先を使ったレシピはこれまでいくつかご紹介しましたが、このコーラ煮は鶏の肉がぱさぱさにならずとても柔らかく仕上がります。使う調味料も少ないですし、手間もかからないので(ただ煮るだけ)、色々なことに疲れてしまった日におすすめです。でも、どうにもならないくらい疲れてしまった日は出来合いのお惣菜や宅配に頼っちゃってね。
無理する必要はこれっぽっちも無し!!
手羽先のコーラ煮
- 深めのフライパンに油をひいて火にかけ、皮目を下にして手羽先を入れます。
- 焼き色がつくまで手羽先の両面を焼いたら、フライパンにコーラを加えます。
コーラの量はひたひたくらい。手羽先の数やフライパンの大きさにもよりますが、500mlのペットボトル1本くらいが適量です。 - アクをすくいながら5分ほど煮込んだら、醤油と砂糖を加えてさらに煮込みます。ただ、コーラにも甘味があるので、砂糖は煮汁の味を見ながら加えて下さい。
- 手羽先に火が通ってほろほろとした感じになったら鍋から取り出します。鍋に残った煮汁をとろみがつくまで煮詰めたら手羽先を鍋に戻し、煮汁を絡めたらできあがりです。
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