Posted on 2019年2月21日 by はらぷ

はなをくんくん

　2月20日、目が覚めたら春がきていた。
やわらかな日差し、鳥のこえ、土のにおい。枝の先に吹き出る、若芽のみどり。
冬眠からめざめたクマって、こういう気持ちなのだろうか。

　昨夜降った雨のしずくをうけて、花ニラの芽はいよいよおいしそうに茂り、つぼみだったクロッカスも今朝ひらいた。土からは、爪のようなチューリップの芽、向こうにチラチラと見えるのは、草木瓜の花の朱色。

　いつ春はきたのだろう。あるとき、奔流となって大気にまき散らされる、それが、今朝だ。
ほんとうは少しずつ滲み出してきていたのに、ちいさなきざしを見逃していた。
いや、そうではないか。見えていたのに、立ち止まって確かめるのをおこたっていたのが、今年の秋からこっちのいそがしさだった。

　このところ、庭に来るねこと少し仲良くなっている。
もうせん、来ればこっそりごはんをあげたりしていたのだが、さいきんは、「あ・おー（来たよ）」と窓の向こうから知らせるようになった。ないても、石を投げられないとわかったみたいだ。
性別不明のキジトラである。色はティーちゃんよりやや薄め、顔が横に広い。ティーちゃんは、つくづくと美人。

　さっきも、めずらしく昼間にあらわれて、窓のすぐ外の室外機の上でくつろいだ。これは、はじめての現象である。窓越しに目が合うと、まだたきで挨拶をした。ねこの警戒心も溶かす、春！

　春といえば、年の瀬に、同僚が引き取って飼いはじめた保護猫が、脱走して約10日間帰ってこなかった。
まったく気配すらみせなかった最初の数日を経て、庭に姿を見せるようになり、年が明けて、最後にはおやつで釣ってやっと家に戻した、と報告された。

「よかったねー！」と喜んだのだが、それからひと月ほど経った先週のこと、その同僚が、
「うちのこ不良娘になっちゃった…。」と突然告白してきた。

　ふりょうむすめ…！とは！？これいかに！！

　ええ？Tさんち、娘いたっけ。
　もともと、通りがかりに脈絡もなく話を始める、てんさいへんじんのTさんなのだが、ふだんTさんの変化球を余さずキャッチでできるマンを自負している私も、今回は情報処理に少々時間を要したことを告白しておく。

　それはさておき、Tさんがいうことには、家出事件からこっち、ねこの食欲が増進しており、よもやと思っていたのだが、それだけでなく、それから数回脱走を企ててもおり、さらに言うとここのところなんと、目に見えて太ってき、乳が張っているらしい様子も見える。おそれていたことが現実になっている…。

不良娘、どこぞの馬の骨の子を孕んで帰ってきた…。

不良娘の名前はハルちゃん、昨年の春に生まれた。はじめての発情期である。

「えー！！びょういん連れていったの？」と聞いたら、Tさんは、
「だって、捕まらないし（ツンデレなのですぐ逃げる）、連れていっても、超音波とかされるだけでしょー。いるかいないかしかわからないし、それもそのうちわかるじゃない。」と言っていた。ごもっともです。そして、
「最初の発情期だから排卵が少なくて、2匹くらいでありますように…」と現実的な祈りを天にささげていた。

　私はこの人が、職場でいっとう好きである。
この春、ほんとうにハルちゃんが仔猫を生んだら、里親探しを手伝うつもり。

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　祖父の人形の展示をさせてもらった西荻窪のギャラリーで、3月からはじまるちいさな展示に、本の選書で参加することになった。
ひとつのテーマがあって、それぞれ、参加する人が作品をつくります。
わたしは、本を選びます。

『３月に思うこと』

会期：2019年3月7日（木）～17日（日）　※月火水はお休み
時間：12～19時

場所：もりのこと（東京都杉並区西荻北4-9-3）

　なかなか、本が絞り込めない。
あれも、これも入れたくて、ギリギリまで悩むつもり。

浜離宮の菜の花、暴力的なまでに春。

By はらぷ

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