第41回 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編/劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
街角では「鬼滅の刃」コラボキャンペーン真っ盛りの今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私は、通りかかった映画館で10分後の上映回を見つけ、席も空いていたので、初日に見てきましたよ。
===
と、その前に
2度の延期を経て9月に公開された「劇場版 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」。9月に取り上げるつもりでしたが、昨夏の事件を思い出ししょんぼりしてやめました。ですが、ここにきて『鬼滅~』の陰に隠れてしまってはもったいなさ過ぎる!本作は、間違いなく2020年を代表するアニメーション映画のひとつです。
すでに数多の評論を見かけますし、多くは語りません。当記事のアイキャッチ画像(公式キービジュアルの一部をお借りしました)をご覧のとおり、つまりは、ハッピーエンドなのです。ハッピーエンドなのですが、ヴァイオレットの来し方を想い、ただただ涙が流れる。夕映えの美しさのあまり目が潤む、あの感じに近いです。今も上映中です。
===
あらためまして「鬼滅の刃」について。原作・吾峠呼世晴、アニメーション制作・ufotableのTVシリーズは、2019年に放送され多くの動画配信サイトで公開されています。おさらいの特別番組も2週連続で放送されました。原作未読の私より、ずっとよくご存知の方も多いはず。
残酷なエピソードから始まり、とにかく鬼が容赦なく人や仲間を殺めるし、鬼退治には首を切らねばならないし、ショッキングという点では極彩色絵巻「山中常盤」をしのぐほど。思わず引いてしまうのですが、主人公である竈門炭治郎(かまどたんじろう)の鬼をもいつくしむかのような底なしの優しさと、鬼になってしまった妹・禰豆子(ねずこ)をめぐる我妻善逸(あがつまぜんいつ)、嘴平伊之助(はしびらいのすけ)らのワチャワチャや鬼殺隊の個性的な柱(はしら)らが中和剤となって、最後まで見ることができました。
本作では迫力ある剣劇のアクションシーンが話題になっていましたが、私は鼓の屋敷のエピソードが好きです。3DCGを駆使して、トリッキーな屋敷で炭治郎らが苦戦する様子を見せています。ちょっと映画「インセプション」を思い出しました。
===
TVシリーズの続編となる劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』はPG12。炎柱(えんばしら)煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)がエピソードの中心です。流血場面が少しマイルドな表現になっていました。シリーズ同様、かなり残酷だけれども救いのあるお話です。後進を思いやる杏寿郎の言葉が、炭治郎らと観客の胸を満たしていきます。私が見たのは金曜昼間だったのでU12の鬼滅ファンはいませんでしたが、きっと彼らも耳を傾けることでしょう。
始まって間もなく、炭治郎越しの車窓から見える景色に、まず惹き付けられました。どの背景も画面が密で美しいです。炭治郎の心根の描写は、本人が意識せずとも果てしなく優しく美しい。話の進行が早く(列車だけに)、剣技が巻き起こす独特の流れの表現も相まって、目が離せません。そして、エモーショナルな劇伴(音楽)も涙を誘う。知らず知らず、全集中で見ていたのでした。
===
これまでアニメ上映ではあまり見かけたことのない年齢層、はっきり言えば70歳前後とお見受けする方々が客席に多数見られました。シニアが映画館でアニメーション映画を見るハードルを大きく下げた(かもしれない)、エポックメイキングな作品と、私は捉えています。この流れで、11月は「STAND BY ME ドラえもん2」などいかがでしょう。(誰に言ってるんだ)
それにしても、刀剣のアクションはスクリーンに映えますね!シニア予備軍としては、いつか、往年のドラマ『素浪人 花山大吉』のような、笑えてかっこいい剣戟アニメを見てみたいものです。
あと年内の注目は12月公開予定の「えんとつ町のプペル」。原作絵本を読んだことはないですが、STUDIO4℃制作なのでアニメーションは期待しています。
ではでは皆様、手洗い等努々怠りなきよう、お元気でお過ごしください。
kokomo
SHOJIさん、こんにちは。
「鬼滅」に行かれましたか!我が家は私が先に漫画にはまり、息子がアニメにはまり、そして先日の二週連続のダイジェスト版を見て、遅ればせながらキメツ祭りです。
それほどアニメ作品を見ているわけではないのでわからないのですが、炭次郎、今までこんなに優しくて強いキャラクターはいたのでしょうか?(強いかどうかは脇においておいて)現代の優しい男の子像を反映させているみたいでなんだかほっこりします。
そして、時代設定が大正なのですね。数年前に亡くなったばーちゃんは大正生まれでした。遺品を整理していたらばーちゃんが子供のころに撮った一族の写真がでてきました。それはまさに炭次郎の世界!もしかしてご両親や祖父母から昔の話を聞いていたシニアの方々の心にぐっときているのかもしれませんね。
私と息子は今週末に見に行く予定。感染対策をしっかりして行ってきたいと思いますが、マスコミでもこれだけ話題になっているので席があるといいなぁ。鬼滅からの勢いにまかせて「ドラえもん」もいっちゃいそうです(笑)。
SHOJI Post author
kokomoさん、コメントありがとうございます!
本当におっしゃる通り、ここまで優しさを前面に出してくる強いキャラクターはいなかったかもしれませんね。そして、漫画をすでにご覧になっているのでご存知だと思いますが、厭夢とたたかう炭治郎の精神力の凄いことと言ったら!
私は、来場者プレゼントでもらったコミックス「煉獄零巻」の画を見て、初めて原作の雰囲気を知りました。黒いベタの面積が多くて、これを見やすい明るさのカラーでアニメ化するのはたいへんだったろうなと、今さらながらufotableの皆さんのお力に感嘆しています。
大正という設定がシニアに響くのではというご指摘も、なるほど、確かに!
シニアと言えば、三味線演奏家 杵家七三(きねいえなみ)さんらが和楽で演奏したかっこいい『紅蓮華』がありました。杵家七三 紅蓮華、で出てきますので、よろしければ検索してみてください。
年末に向けてオリジナル年賀状やフレーム切手も発売されるとのこと。
kokomo家だけでなく、みんな乗ってけ!祭りだ、祭りだ!
(50周年のドラえもんもよろしく!)
kokomo
SHOJIさん、返信ありがとうございます。
全集中で映画を見に行ってきました。
アニメをそれほど見ている訳ではないのでサンプルが少なくて申し訳ないですが、何年か前に息子とドラゴンボールを見に行った時も戦闘シーンのスピード感とダイナミックさに驚いて、アニメもここまできたか、と感嘆しました。SHOJIさんが書かれていたように、『鬼滅』でも風景の美しさと剣技のダイナミックさが余すことなく表現されていてストーリーに加えて画面の美しさでも感動倍増でした。さすがSHOJIさん、漫画を見やすいカラーでのアニメ化する困難さ、考えてみたこともありませんでした。そういえば、私もアニメで鬼を見て、この鬼ってこんな色だったのねー、なんて納得したことがありました。
そして煉獄さんとの胸アツエピソード。煉獄さんみたいな柱だったら一生ついて行っちゃうかも。
杵家七三さんの「紅蓮華」拝見しました。テクニックはもとより、キメツのスピリットをあんなに音に乗せて伝えることができるなんて、すごすぎです。
子供のころ、少年ジャンプや少年チャンピオンに夢中になりました。こういう漫画からいつか卒業して、全く繋がりがなくなってしまう時がくるんだろうなぁ、と子供ごころながら思っていました。いえいえ、アナタ、50歳過ぎても「鬼滅の刃」っていう漫画に息子と一緒に夢中になっているわよ、とあの頃の私に教えてあげたい。きっとびっくりするだろうなぁ。
SHOJIさん、次回も素敵なアニメの紹介待っています。
SHOJI Post author
kokomoさん、あらためまして、ようこそ!OIRAKUのアニメの世界へ!
熱い感想をありがとうございます!
私も子どもたちと一緒に漫画・アニメを見ていたクチです。
煉獄さん、胸アツでしたね。ネタバレするといけないので多くは書けませんが、私も彼の前に正座してましたよ。心の中で。
アニメにせよ漫画にせよ(小説にせよ、手記にせよ)、完成した作品を見るのはあっという間ですが、それが新しいこれからのものとして生み出される長い期間の懊悩は、観客にはなかなか想像できないですよね。たくさん見ていても、そこは私もフンワリとした思いを寄せるだけです。
ただ、作り手は、見る人がああだこうだ言いながら楽しんで欲しいと思って作ってらっしゃると思うのです。その点、kokomoさんは最高の観客ですね!
手描きかCGかを問わず、アニメーターや美術担当の皆さんが、自分たちの技と感性を大画面に存分に繰り広げる劇場版は、本当に素晴らしいです。
映画館で見始めるとクセになりますね(笑)