第65回 バブル
パルクールという運動方法を全面に推しだしたオリジナルアニメーション映画「バブル」。4月下旬からすでにNetflixで配信されているので、とっくのとうにご覧になった方もおられると思います。コレって、小さい画面で見てしまって大丈夫?なんで配信が先?シン・ウルトラマンと同じ公開日?と諸々の疑問を抱きつつ、けっきょく初日に映画館で見ました。
(パルクールについてお知りになりたい方は記事下部のURLをご参照ください。)
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脚本担当の虚淵玄(うろぶちげん)氏は、破壊と創造(再生)の循環を「魔法少女まどか☆マギカ」や「GODZILLA」シリーズで見せてくれましたが、絶望の繰り返しのイメージが強い。
荒木哲郎監督とWIT STUDIOは「進撃の巨人」でお馴染みです。「立体起動装置」で人間が移動する様や高い緊張感のあるアクションシーンが本当に見事で、見ているものも一緒に空中を移動しているよう。しかし、いかんせん長い闘いだし、登場人物はみな悲しい表情だしで、これまた辛いことの繰り返し。
それでも一度彼らの描く暗くて深い淵を覗き込むと、淵の方からも覗き込んできて、視線を逸らせなくなるのです。
とまあ、脚本家や監督に関する情報を半端に持っているので、「立体起動装置」のアクションを技術移転した(?)軽やかなパルクールの動きや柔らかな色調のPV動画を目にしても、やるせない結末を予想して、「見たいけれど落ち込みたくないわー」「3D酔いが心配だわー」と、やや警戒していました。
けっきょく予想は外れ、やるせなさは残らなかった。そして、これはやはり映画館で見る映画でしょう。
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(設定やイントロダクションは下記オフィシャルサイトをご参照ください。)
アンデルセンの「人魚姫」をモチーフにしたと監督自らが諸メディアで話しているとおり、ボーイミーツガールとしては悲しい結末なのですが、ガールの正体が早々に明らかにされているおかげで心理的ダメージが少ないです。なにより虚淵玄氏の繰り返しの物語が、絶望ではなく希望寄り!
天から降ってきた泡のせいで居住禁止区域となった東京が舞台ですが、セリフから察するに安全な生活圏とのアクセスは途切れてなさそう。廃墟での出来事だけれど色彩が美しいし、命を落としかねない渦巻く海の上でハラハラするけれど、軽やかなパルクールは見ていて楽しい。追い詰められるようなドキドキする劇伴がない。いきなり美しい花々が出てきて(良い意味で)驚く。禍々しさ少なめの宇宙の理の表現にホッとする。主人公のひとりであるウタちゃんのどアップだけで画面が持つのが驚きです。
見ているうちに、あれ?これ未知との遭遇?と耳を澄ませたり、千と千尋の神隠しの名シーンがチラリと見えたり、泡がナウシカの王蟲の目に見えたり、映画インセプションを思い出したり。知っている範囲で関連付けて頭の中で遊んでいました。警戒心が解けて心に余裕が出てきたのでしょうか(笑)
時間をかけて練られ作られた作品を、良い意味で深く考えることなく楽しめるって素晴らしい。あっという間の100分でした!
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映画「バブル」オフィシャルサイトのURLはこちらです。↓
https://wwws.warnerbros.co.jp/bubble-moviejp/
*投稿時に間違っていた「バブル」のURLを訂正しました。
パルクールの名は私もこの映画で初めて知りました。
概要などご興味のある方は日本パルクール協会のHPでごらんください。↓
parkour.jp/about-parkour/
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