ああ、日常。洗濯ものと洗濯もののあいだ
水曜日。○○コープの宅配の受け取り。担当さんは今、新規組合員の開拓に躍起。「もう精神的にやられてますよ。去年まで成績トップだった僕が今年は最下位。上司にどうしたんや?って聞かれるから、いやいつもどおりがんばってるんすけど組合員さんがなかなか応えてくれないんすよって、言ったすよ。サヴァランさん、お友だちの紹介、たのんますよ。マジで」
「あの生協に入ると新規の会員を紹介してくれってウルサイらしいから、わたしはやめとくわ」。そういう声があることを彼知るや。組合員の増員にもやがて限界があるということを 彼の上司は知ってか知らずか。
この頃、洗濯ものの乾きがよくなってきた。
木曜日。前日からのどがヒリヒリしていたのは、花粉やPMなんとかのせいではなく、れっきとした風邪であることが判明。味覚と嗅覚がなくなる。味気ないとはこのこと。
金曜日。風邪もましになったので、予約を入れていた美容院へ予定どおり行く。1週間前まではあれこれ細かい注文をする気満々だったのに、いざ鏡の前に座るとどうでもいいような気になる。シャンプー台でシャンプーしてもらって「ああ至福~~~」と思ったとたん、咳でむせる。顔にのせられたいい香りのするガーゼを吹き飛ばさないように咳をこらえようとして、美容師さんに心配される。
学校時代、卒業式とか入学式とか、急に咳き込みそうになって、式の内容もそっちのけで「いかにしたら気が紛らわせられるか」で時間をやり過ごしていたことを思い出した。この季節、音楽会などに出かけると曲と曲の間の咳ばらいがはげしいのは、みんな同じようながまんをしているからかも知れない。美容院へ行ったこと、家族は誰も気づかない。音楽会にも何年も行ってはいない。
土曜日。3月から子どもの塾の曜日が変わった。せっかく慣れたスケジュールが変わるのは親にも子にも少しやっかいだが慣れるまではがまん。夕方、一人で留守番をさせてお習字へ。帰宅後、「また先生とおしゃべりしてたんでしょう」と子どもに言われる。息をつめて黙りこくって書くより、おしゃべりしながら書いた方が調子がいいのよ。だいいちわたしは、先生のおしゃべりとお声が好きだ。
日曜日。子どもの算数をめぐって、父と子が朝から険悪。線分図を書くと書かないとか、そんなことでの押し問答が続く。険悪なままお昼ごはん。言葉や理屈では解決しない感情の綱引き、反作用という名の逆キャッチボール、父と子で大いにやるべし。
わたしは、何となく随分前にカリーナさんがTwitterでつぶやかれていた映画の「奇跡」のことが気になって、PCで少し検索。九州新幹線開通って、何年だったっけ? 「まえだまえだ」って、ああ、あの面白い兄弟ね。樹木希林さんがお祖母さんの役だったのか。。。
映画の公開当時の前田兄弟と樹木さんのインタビューが目にとまった。
インタビューの最後、まえだまえだの兄弟二人が答えた彼らにとっての「奇跡」に対する樹木さんのこたえが出色だと思った。
「じゃあ、なぜ戦争が起きてしまうのかってことを、今から大人になるまでに研究してごらん。旺志郎くんも、なぜ病気のない幸せが無意味なことなのか、これから考えてみるといいよ。2人とも頭がいいから、そのうちわかるときが来るよ」
今どきのおばあさんで、これを口にする人は少ないだろうと思った。子どもが「病気や苦しみがなくなりますように」とか「戦争がなくなりますように」と口にすると、ついそのことを大げさに褒めすぎてしまう。学校や親は、偉いね立派だねと褒め過ぎることでかえって、子どもの想像力を奪ってしまっている気がする。
月曜日。うっすらと雪が積もっていた。朝のワイドショーは、不思議な作曲家の不思議なはなしで持ちきりのようだった。
洗濯ものを干しながら、もうあまり感動物語をつくりこむのはやめて欲しいし、それを慢性的に欲してしまう癖もなんとかしたいなと思う。
洗濯ものと洗濯もののあいだの 青い空がまぶしい。
粛々と。淡々と。そんなことを思う三度目の3.11。
わに
映画の公開当時 あるバラエティ番組 で
前田兄弟が樹木希林さんと再開?シーンがあって
(映画ロケはずいぶん前に終わっていて 公開に合わせての話題作り?)
その時に 前田兄弟が お土産 (大きめの菓子箱)を 希林さんに 渡そうとしたら
「いらないわよ そんなにたくさんもらっても食べきれないもの」 と 受け取り拒否
ああ
こーいう 生き方もあるのか と
(子どもの後ろに大人の事情が見え隠れしていたとしても)
子どもが テレビカメラがまわっている場所で お土産渡したら
まずは 受け取って
後で スタッフでわけるなり 捨てるなり
いろんな 大人のずるい対応もできただろうに
『大人の対応』 を 突き抜けて 『希林対応』
かっけーっ 惚れ惚れするカッコよさ 憧れちゃうね
と テレビに向かって叫んだ
(心の中だけだったのか 口に出したのかは忘れた)
ただ
その時
希林さんが 姑じゃなくて よかった と 思ったのも事実
3月11日は 3年前まで 『父の誕生日の次の日』でしかなかった
サヴァラン Post author
わにさま
コメントありがとうございます!
希林さん、拒否しはりましたかー。かっちょえー。
でもでもやっぱり
希林さんがお姑さんだったら、わたしも困るなー。
困るには困るんだけど
ほんとは希林さんの対応もありなんだよなー、と思います。
日本はよく「贈り物文化」と言われますが
何かを贈ろうとする気持ちの中には
贈る側のエゴも隠れている気がします。
場の空気が読めるとか読めないとか
そのことばかりが関心を集める昨今ですが
なんだかもっとこう、膝を突き合わせて語り合うべきことが
日常のそこかしこに隠れている気が。
3月10日
お父さまのお誕生日、おめでとうございます。