サヴァランは見た。この街のひとびと #7
1月11日。成人の日
街には、振袖姿の花があちこちに咲いていた。
振袖は、やっぱり華だな、そんなことを思う。
映画「細雪」
華がほころんでいる。
華がほほえんでいる。
ご家族もさぞかしお悦びだろう。
とりどりのきものに
とりどりの帯。
振袖の柄や帯結び、
結い上げた髪にはその時々の流行があるけれど
あの白いショールの息だけは長い!と
おばさんは来し方を遠く思い出す。
映画「春の雪」の竹内結子さん
ニュースでは、「成人式の荒れ」が専らの話題。
「荒れ」もまた流行のうちとわたしは思うが、
「荒れ」を本当に問題視するのなら
いっそ報道しない。
そっとしておく。
というのも大人の作法かと思ったり思わなかったり。
今年は友人のお嬢さんの成人式も多く
何枚かのお写真を見せてもらって眼福。
上村松園「序の舞」
なかのいたづらモノが
「わたしたち」の振袖写真を持って来たので、
眼福転じて福笑い。
30年前の成人式。
近所の美容院で髪のセットをお願いした。
あの頃ちょうど、市川崑監督の「細雪」が上映されていた。
わたしはたしか「細雪のきもの」というムック本を持ち込んで
「前のふくらみは、この吉永さん。
後ろのまとめ方は、この小手川さんで」
と、細かな注文をしたはず。
若いということは怖いもの知らずだ。。。
今はみなさん、どうされているのか。
あの頃の美容院は
前夜にセット、翌朝着付けという
「振袖成人量産体制」をしいており、
結い上げた髪を崩さずに寝るという大人の階段は
「体制に従う」という意味にも通じていた。(のかもしれない)
前夜、
吉永さんと小手川さんの折衷だったはずのわたしの頭は
翌朝には、
佐久間良子さんの「幸子ねえちゃん」になっていた。
「思い描いた大人」になるのは、たやすいことではない。
そしてその「ちょうど」の感じは、かなり繊細な均衡の上にある。
思えばあの頃から、うすうす感じ始めていた。
あれから30年。
「思い描いた」は、箪笥の袋棚に大事にしまった。
残る「大人」とは、これは一体どういうことなのか。。。。。
そんなことを
13の息子の寝顔を見ながらぼんやり考える。
大人とは
「自分の個性と他人の個性を受容することが出来る生き物」だと
木村カエラは言ってたな。
これは部長の
自分とは違った人生を想像し、尊敬することだ。 」にも通じるな。
内田樹先生と鷲田清一先生の対談本
『大人のいない国』では、、、、、
ああ、ここにとてもいい抜粋が載っている。http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/28068
誰が袖
写真館の前。
お嬢さんたちの華やかな写真が
冬枯れの通りを明るくしている。
おばさんは「みなさんに幸多かれ」とつぶやいて
郵便局へ用事をすませに。
中村大三郎「ピアノ」 こんな論考がありました。よろしければどうぞ。