ゾロメ的つれづれ・ずれずれ・ブレブレ日記⑧ 人生はいろんなパワーだ
◆5月某日 アスパラ力の日
高校時代の同級生からグリーンアスパラが届く。会津産。梱包に使われていた福島民報新聞をやけに熟読してしまった初夏の陽気の夕暮れ。
福島在住の彼女とはなかなか会う機会がないが、近況はメールで報告し合っている。要するに、これは最近の私の弱音愚痴メールの産物(?)なのであった。長い付き合いの友よ、心配させてすまん、そしてありがとう。
新鮮なアスパラ特有の豆っぽい香りと柔らかさが麗しい。旬の野菜のパワーを実感した。
パワーといえば、以前、彼女のお父さんが入院していた際、点滴の薬に「アスパラ」と書いてあって、やっぱりアスパラは栄養があるんだ、と彼女のお母さんやお祖母さんが膝を打ったそうだが、後日看護師さんに確認したところ、薬剤の略称だと判明したとのこと。
この話を聞いて最初は笑ってしまったが、もしかしたら点滴の「アスパラ」とグリーンアスパラの成分は関連があるかもしれないな。調べていないので真相はわからないが、そう思っていた方が、グリーンアスパラ摂取時における体内吸収滋養度が高くなる気がする。
夜、先週に引き続き大きな地震。船に乗っているみたいだった。自然界のパワー放出はたいがいにして欲しい。
◆5月某日 力不足の日
今年のTwitter文学賞国内部門1位の『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』(木下古栗/著)を読む。最近の主な読書タイムは病院の待合室だが、この小説はそこでの読書には不向きだ。いろいろねじれているから。時間軸、登場人物、筋道、社会通念・・とにかく世界全般が。
この小説に没頭しているとき、現実世界のある種の典型のような病院の診察室から「月亭さ~ん」と呼ばれたら、その落差に足をとられ転びそうだ。
もしくは、すんなり「はい」と言えず、ナースに向かって、「あなた、カンタンに月亭さんなどとお呼びになりますが、ここに月亭がいるという確信はどこから?受付を通ってるから間違いない?ええ、ええ。しかし、その月亭と、ここで今まさに『はい』と言わんとしている私が一致する根拠はあるのですか。えっ?通院する科が違ってませんか、ですって?私は付き添いですよ!付いて添う、名も無き黒子である私には、月亭という便宜上の名前すら必要ありません」などと言ってしまうかもしれない。
・・と、サルまね的に古栗ワールドを模倣しようとしてみたが、私のそれは、世界がねじれているというより病んでいる感じになってしまった。力(パワー)不足。
こういう小説を読むと、ふだん覗かない自分の中の井戸の底を垣間見たような不安な気持ちにもさせられ、人間、知らない方が幸せなことが多々あるな、と思ったりもするが、世界はなんでもありだ的な心持ちにもなり、固定観念依存症や閉塞感を一蹴してくれる気もする。
◆6月某日 怠惰力の日
今週は、義父のリハビリ施設見学週間。しょっぱなの施設Rのスタッフの感じがよく義父も気に入ったようなので、ケアマネに「Rに決めたい」と電話したら、「せめて2箇所は見て、比較検討して選んだ方がいい」と言われ、素直に従うことにする。
考えてみると、自分はそれが苦手だ。リハビリ施設に限らず、雑貨もお洋服も家具や家も、なんなら仕事や各種セレモニーや夫(!)さえ、比較検討して選ぶのは不得意。っていうか、その概念がほとんどないかも。比較するポイントがわからないというか、厳選してもしなくても満足度は変わらない気がするというか、要するにめんどくさいのだ。怠惰力のなせる技だ。
なので、とりあえず目にとまったものに決めてしまうことが多い。最初に見たものを親と思う赤子か、私は。
◆6月某日 火事場の馬鹿力の日
出勤したら、ひとつのテーマに沿った本の紹介(ブックトーク)を依頼された。対象は4年生。なんの準備もしていなかったので、火事場の馬鹿力を総動員して「猫が出てくるおはなし」というタイトルにし(総動員したわりに安直)、4冊の本を紹介した。
技術がないので、「さて、このあとどうなるでしょう。ふっふっふ」ともったいぶったスタンスで紹介する戦法をとったところ、どの本も争うように借りられ、特に重松清の『さすらい猫ノアの伝説』は8人の争奪くじ引き大会になり、借りられなかった子は露骨に意気消沈していた。
一連のとんだヒートアップに、担任の先生と「なにもそこまで!」と驚き合った。もちろん、反応はうれしかったが、うさんくさい集団催眠をかけたみたいな気分にもなる。
次回は狙い&煽り過ぎに気をつけよう。
by月亭つまみ
こんなブログもやってます♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
takeume
そんな競い合って本を読みたいと思う瞬間も大事かと思います。
興味ない子がちょっとでも興味を持ってくれるかもしれないんですもんね。
で、私もその催眠商法に引っかかりそうになってます(^^;)ネコズキナンデネー
つまみ Post author
takeumeさん、こんばんは!
takeumeさんのコメントを読んで、子ども達が大人になって、今回のことをうっすらでも思い出し、競い合って本を読みたいと思った「あのときの自分」にクスッとしてくれたら、これに勝る喜びはないなあと思いました。
ありがとうございます。
催眠商法・・・ウケました!