◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇ 第28回 紅白歌合戦考
こんな一年だったからこそ、最後はノンキな記事を。
昭和の中盤から生きてきた自分にとって、昭和~平成~令和となるにつれ、魅力がなくなってしまったものは数多くあるが、紅白歌合戦もそのひとつ、いや、代表だと今思った。
というのも、今しがたパソコンを開いたら、YAHOO!ニュースの記事で、かのユーミンさまが今年の紅白について「私のことだから、一筋縄な出かたはしませんよー。今から張り切っているので、どうぞ楽しみにしていてくださいね!」とおっしゃっているのに出くわしたから。「私のことだから」って、すごいな。思わず、だいたひかるよろしく「どうでもいいですよ~♪」とつぶやきたくなったが、思い直す。
いや、どうでもよくない!微力も微力、無力に近い私だが声をあげよう。
そういうの、やめてくれないか。
懐古趣味ととられようが、言わせてもらう。忖度したり、土俵を分化したりせず、全員が同じ板の上に乗ってこその紅白歌合戦じゃないのか。
初出場だろうが、30回連続出場だろうが、平等に、同じステージで、同じバンドの演奏で(昔は紅白で演奏するバンドが分かれていたっけ)、ほぼ同じ持ち時間で「生で持ち歌を歌う」という、昔のシンプルな形式の紅白は、緊張感がすごくて迫力があってサイコーだった。
一発勝負の気合、開き直り、空回り‥が、年端のいかない子ども(私です)にすら透けて見え、見ている方も真剣にならざるを得ない独特の雰囲気があったのだ。
茶番にしか見えない幕間(?)の応援合戦も(実際はいかに大変か、はさておき)、持ち歌披露の場を際立たせるための、緩急の緩の役割を担っていたように思う。
その絶妙なバランスが、NHKホール以外からの中継が増えるにつれ、崩れてしまった。
やはり印象に残っているのは、平成のはじめの、長渕剛のベルリンの壁からの中継と、どっかのビルの屋上に設えたバスタブの中から口パク出場した宮沢りえだ。この紅白二大失態(!)は同じ年だった気がする。おーまいごっど!私はテレビに向かってこう言ったものだ。
NHKホールで歌わないなら出ないでくれ。邪魔だから。
しかし私の願いは届かなかった。その後、いっときシンプル路線に戻ったと見せかけつつ、21世紀はまたぞろ、外部からの中継や別撮りが跋扈している。福山雅治なんて、NHKホールで歌ったことがあるのだろうか。パフォーマンスの完成度の高さがなにかと称賛されるperfumeも、肉声じゃないので私にはその凄さがわからない。頭固くて悪いけど。
Perfumeを見ていると、踊りながら喘ぎ、声を枯らして歌っていたピンクレディのケイちゃんや、生声なのにハーモニーに一点の曇りも感じなかったキャンディーズの凄さにあらためて思いを馳せてしまう。
さらに言い募るわけだが、中継固執組に対しては、たとえどんなにふだんは低姿勢で謙虚に見えても、私はひそかにこうジャッジしている。あくまでも偏見ですよ。
謙虚なわけない。特別扱いされないと不機嫌になる輩に決まってる。
そんなわけで、紅白をちゃんと見なくなって久しい。
個人的には、鬼気迫る石川さゆり、妙なタメが増えるのに比例してどんどん歌が下手になっているのじゃないかと邪推している松田聖子、実在しないミュージカルスター化してきたような氷川きよし、三山ひろしのけん玉問題など、観測記録をとり続けたい逸材はまだいるが(最後のはおまけ)、特別枠ばかりが増え、対戦形式が形骸化してつまらない。
そして番組自体、災害やネガティブな世相からの奮起を謳うのがお約束となり(悪いこととは必ずしも思わないけれど、紅白にそれをカブせ過ぎるのもなんだかなあ)お笑いの人が年明けひと月ぐらいはネタにできそうな類のエピソードが減った紅白は、正直魅力に欠ける。
ちなみに、私の紅白の二大エピソードは、その昔、小川知子だか、いしだあゆみのマイクがすごく低くて、その場で調節できず、屈んで歌い切ったことと、1990年代初頭、なぜかアンディ・ウイリアムスが出場した際(うっかりオファーを受けてしまったとしか思えなかった)、登場時のNHKアナウンサーの紹介「アメリカオハイオ州出身。初出場」になぜかすっごい違和感を覚えたことだ。
はたして2020年の紅白を自分は見るのだろうか。見るとしたら、どんな気持ちなのだろうか。わずか数日後の、そんな、なかば予定調和の未来もわからないのだから、今後の自分や世の中の予想ができるわけがない。
ただ、こんなになにかの収束や終息を願う年の瀬はない。世界規模だから、どんなにワールドワイドな人もほぼ逃げ場のない、この2020年の地球を、いつか「あのときは大変だったよね」と笑って語ることができる日は来るのだろうか。
来ることを願いつつ、みなさま、よいお年を。
by月亭つまみ
ふくっぺきょん
まーったく同意見です。まあ、一番テレビの魅力に取りつかれた世代だと思います。氏はやたらと人数も多いようですが。三密はどうなってるの?私が世話を焼くことでもありませんが・・・。一言付け加えれば、審査委員のあり方もなんなの?って思います。話してたら霧がありません。ここまで…。
つまみ Post author
ふくっぺきょんさん!コメントに気づかず、年越ししてしまいました。
申し訳ありませんでしたm(__)m
なんだかんだ言いつつ、今回の紅白も斜め見(?)しました。
今回は特別(と思いたいです)な状況とはいえ、やはりNHKホールのみから、老いも若きも、ベテランも初出場も同じ板の上で生歌を披露する紅白がなつかしいです。
しかし、それとは別に、二階堂ふみのあの堂に入った司会っぷり、その昔、タモリ倶楽部でまともにリアクションもできなかった人と同一人物とは思えません。
あのときはあのときで、キャラを演じていたんだろうなあ、騙されたと思ったりしました。
今年もよろしくお願いいたします。