4月19日はカレー記念日

カレー記念日

昨日見た ストレッチ動画 探せない

4月19日はカレー記念日

Comet

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

ゾロメ女の逆襲

第31回 私家版『問いのない答え』~日常はミルフィーユ~の巻

私はその日、有給休暇を取りながらどこにも行かず、東京の東の外れにある自宅であの瞬間を迎えました。

そこから遡ること5年前の2006年、50代前半で亡くなった私の長兄は、私たち家族がまだかろうじて家族として機能していた頃に住んでいた土地に眠っています。
 かつての家族がもう誰ひとり住んでいない土地に。
 私は、兄の墓参りに行くつもりでその日、休暇願を出していたのでした。

前年、私は新しい図書館の開館準備の仕事に翻弄されました。
仕事は冗談のようなアクシデント続きで、合間には人生初の骨折やひどいジンマシンに見舞われるというおまけつき。
年末になんとかオープンにこぎつけ、その後は自分が企画した開館記念行事の準備にほぼかかりっきりになり、それも終わって、ようやく「これで心おきなく墓参りに行けるぞ」という心持ちになったのです。

当日は早めに起床。
新幹線に乗れば2時間弱で着くとはいえ、距離にすれば250キロ強のそれなりに遠い場所です。

ところが、家を出る予定時刻が近づいても私はぐずぐずしていました。
 準備が、気が、進まないのです。

結局、私はさしたる理由もないのに墓参りを延期しました。
 今日じゃなくても、休みの日はいつでも行けるし、と言い訳しつつ。

でも、その日を境に世の中は一変してしまいました。
その日は2011年3月11日、お墓の場所は福島でした。

つぼみ

2013年12月に刊行された長嶋有の『問いのない答え』は、震災直後、ひとりの小説家がツイッター上で呼びかけた「言葉遊び」に参加した人々を描いた小説です。

総勢数十人にも及ぶ、現実社会ではほぼ関連性のない人物が、次々と小説内を出たり入ったりする群像小説(?)で、それはまさに、時系列で自分のフォロアーのつぶやきが並ぶ、ツイッターのTL(タイムライン)のようです。

被災地からこの言葉遊びに参加している人もいますが、震災について多く語られることはありません。
いろいろなことが内包されたそれぞれの日常が、ミルフィーユ(mille-feuille)のように堆積され続けて行くだけです。
 それが徐々になにか具体的な形になって行くというような暗喩もありません。

震災の後、私も、あの日福島行きを理由なく取り止めたことについて考えたり、怯えたり案じたり、ふと職場の本を被災地に送ることを思い立って実行し、そのせいで新聞の取材を受けさせられて名前だけではなく年齢まで一般公開(?)され「罰ゲームかよっ!」と憮然としたり、心を痛めたり泣いたり笑ったり忘れたりしながら、日常というミルフィーユを重ね続け、その積算枚数(日数)は3年経った現在、まさにmille(千)を超え、今もずっと堆積され続けています。
 
震災から10日後、私はこんな日記を書きました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

我が家に、近所に住む中三と中一の姉妹が来訪した。
職場の同僚のお嬢さん。来訪の経緯はこうだ。
お姉ちゃんのMちゃん(中三)は隣県の私立の中高一貫校に通っていて、学校のオーケストラ部に入っている。
担当楽器はコントラバス。
今回の地震で生徒は全員自宅待機になり、フライングで春休みに入っている。

中高一貫校とはいえ形だけはある中等部の卒業式は中止になったそうだ。
そんななか、Mちゃんの現在の心配事は、来月下旬に控えた定期演奏会のための練習ができないこと。
バイオリンやチェロなどは皆、家に持ち帰ったそうだが、さすがにコントラバスはそうはいかない。
真面目な Mちゃんにとってはそれがプレッシャーなのだ。
「みんな家で自主練をしているのに・・どうしよう」と。
その話を聞いた我が夫が「うちに弾きに来れば。使っていないサイレントベースもあるからよかったら貸しますよ」と申し出たという次第。(注:夫は、ガテン業ときどきコンバス奏者なのです)
・・というわけで、Mちゃんが妹を連れて嬉々としてやってきたという次第。

試し弾きしたところ、夫のコントラバスはデカくて、しかもガット弦(牛の腸)なので中学女子には弾きづらいことが判明。
でも小ぶりなサイレントベースの方は、日々の練習に使えそうとのことだったのでそれを貸し出すことに。

一見おとなしそうだが、人懐こくてお話し好きな可愛い姉妹だった。
なにより、今のこの情勢で「イチバンの関心事が来月の部活の発表会」であることを全身で示している十代と話せたことが、なんだかすごく頼もしいというか気持ちが晴れ晴れとした。

地震以降、つい「我が家はみんな人生の後半だからいいけれど、子どもを持つ人は、現在の日本の状況はさぞや心配だろうなあ」と思ってしまうけれど、確かにそうなのだけれど、そんな心配の種でもある子どもの存在が、世の中の不安を忘れさせてくれるということもいっぱいあるんだよなあ。

夫がMちゃんに「来月、近くでライブをするんでよかったら来ませんか?」と誘ったところ、「その日は発表会の直前でそれどころじゃないと思うから行けないです。でもお父さんなら行かせられるかも」とソッコーで断られた。笑った。
そんな理由で「行かせられる」かもしれないお父さんって。
世の十代の娘を持つお父さんはそういう方向でも大変なのだな。 頑張れ。

今読むとこの日記は、当時の自分にとって、dix-feuille(十の葉っぱ)をmille-feuille(千の葉っぱ)に重ねて行くための心も持ちように対するひとつの答えだった気がします。

 人は、具体的な問いに対する答えを出すためだけに生きているわけではありませんが、全ての問いに対する答えは、頭や書物の中にではなく、ありきたりな日常の中にあるような気がします。
無数の「問いのない答え」もそこにあるはずで、だからこそ、私たちの日常は、一見どんなにしょぼくても価値が、可能性があるように思うのです。
ポジティブシンキングでも机上の人生賛歌でもなく、単なる事実としてそう思います。

 あのときプレ高校生だったMちゃんも、この春からは大学生。
3年というのはそういう月日なのだなあ。

まもなく、twitter文学賞が発表されます。
twitterを扱っているこの『問いのない答え』が本命かと予想していますが、『想像ラジオ』も強そうだし、個人的には『昨夜のカレー、明日のパン』『世界でいちばん美しい』の健闘も期待したい。
 その実、自分が投票したのは『ポースケ』なんですけどね。
投票締切日直前に読み終わったので、ついこれにしてしまった。
・・そんなんでいいのか私。

by月亭つまみ

こんなブログもやってます♪→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」
 


ゾロメ女の逆襲 記事一覧へ


コメント、ありがとー!

  • アバター画像

    ひろ

    お兄さん、お気の毒でした
    果たせなかったお墓参りは、お兄さんが来ないようはからってくれた様に感じます
    虫の知らせではないですが、そういう事ってあると思います

  • アバター画像

    ami

    すごい。お兄さんが来させなかったんですね。

    日常というミルフィーユ。ありきたりな日常の積み重ね。
    そのありきたりな日常を過ごせるありがたさをあのとき感じました。

    で、そういう流れからいきなりすみませんが、、
    ”チチカカ湖”にはまってます 笑 (今ごろ)

    もう、電車の中や職場でかなり危ない人です。
    わたし、可笑しくて窒息しそうになっても電車降りませんし、
    職場でも声を出して笑ってます。
    まだ読み始めたばかりですが、いろいろもろもろ可笑しい。

    それではまた、チチカカタイムに戻りますので失礼します。

  • アバター画像

    つまみ Post author

    ひろさん、コメントありがとうございます。

    やっぱりそういうことなのでしょうか。
    しばらくしてから、兄のお墓の近くに住んでいる親戚に当時のことを聞きましたが、家屋の損壊や被災者の受け入れ、なにより長い時間停電だったせいで、しばらくの間、原発の状況などよく知らずにいた、とのことでした。

    半年後、ようやく墓参りに行ったのですが、かつて自分が住んでいた家の近くに仮設住宅がびっちり建っていてちょっと呆然としました。

  • アバター画像

    つまみ Post author

    amiさん、コメントありがとうございます。
     
    ありきたりの日常も、1個1個はありきたりじゃないんだよなあと思ったりもするくせに、退屈したりする自分・・人間ってやつは!(^^;

    わーい!チチカカ湖の感想うれしいです!
    まゆぽさんも喜んでいます。
    これからもよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

山あり谷あり再婚ライフ

60代若いのか年寄りか?

カレー記念日 今週のおかわり!

ベテランになった 伊藤沙莉を 見たいのに

出前チチカカ湖

第196回こう見えて一途(いちず)です。

なんかすごい。

春の地響き

四十路犬バカ日和

ペットタクシーで病院に行ってみた!

60代、男はゆっくりご乱心

貧乏の段

OIRAKUのアニメ

第101回 アストロノオト/終末トレインどこへいく?

今週の「どうする?Over40」

お風呂の栓が、私をまた一つ成長させてくれた話。

黒ヤギ通信

桜の下、草葉の陰

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.80 朝ドラと『化学の授業をはじめます。』の化学反応

ミカスの今日の料理 昨日の料理

優しい人:ささみのオーブン焼き

かわいいちゃん

チューリップパーティー

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年2月4日

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第5回(episode15) 大阪のお嬢様‥と見せかけての人

絵手紙オーライ!

絵の具セットの思い出

母を葬る

(9)無理ゲーの行き先

昭和乙女研究所

ファンシーケース

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

よもじ猫

趣味読書

猫No.52  by まゆぽ

猫大表示&投稿詳細はこちら!

趣味読書

猫No.52  by まゆぽ

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up