母の置き土産:搾菜おこわ
先週はお休みをさせていただきました。
母のこと、父のこと、妹のこと、色々なことがいっぺんに起きて、軽いパニック状態に陥っておりました。
やれやれ。
とにかく、考えねばならぬこと、やらねばならぬことがてんこ盛りだったのですが、そのてんこ盛りの中のひとつが自治会費の集金。そう、自治会の班長を拝命した私。(いえ、輪番制です)前期分3,000円をいただくために、17軒のお宅を回りました。
近くのお宅の方は顔も名前も家族構成もわかっているのですが、ちょっと離れたところにあるお宅については一体どんな方なのかわからないあたりが二代目かつ初心者班長。これ、ちょっとした就任挨拶みたいなものだよなと思いながら出かけました。
我が家から一番離れたところにあるお宅、なかなかの豪邸です。奥さんと思しき70歳くらいの女性が大きな庭の手入れをしていました。集金に伺うことは前もって知らせておいたので、私が声をかけると用意してくれていた3,000円入りの封筒を手渡してくれました。お礼を言ってお暇しようとすると奥さんに呼び止められました。
「お母さんはお元気ですか?」
私は、母が認知症を患い、数年前からグループホームに入所していることを告げました。それを聞いた途端、彼女は小さく声を上げて顔を曇らせました。
「私、何も知らなくて…」
いや、知らなくて当然。滅多にお会いすることもない、私なぞはお顔も知らなかった方なのですから。私には、彼女が母の現況にそんなに狼狽することが不思議ですらありました。
ところが彼女はまだ顔を曇らせて、「お母さんには良くしていただいたんです」と。
「20年位前、私が入院したことがあって。その時、お母さんはあなたのように班長さんをされていたの。で、お見舞いに来て下さったんです。私、気が滅入っていたのだけど、お母さんは私の話を聞いて下さって、励まして下さったんですよ」
私はそのことを知らなかったのですが、病に臥せっている人のお見舞いに行ってその人の話に耳を傾けるのはさほど凄い事ではないと思うのです。
でも、彼女は20年経った今でも母がお見舞いに行ったわずかの時間をはっきりと覚えていて下さっていた。それを思うと、母が一体どんなふうに彼女を励ましたのかとても気になりました。病気のせいで今はまるで子の小さなようにおぼつかなくなってしまった母が、その頃は大人としてしっかりと地域とつながっていたのだなとしみじみと思いながら。
「何か困ったことがあったら何でも言ってくださいね。班長さんのお仕事も、手が回らないことがあればお手伝いしますから」
別れ際、彼女は真剣な顔でこう言ってくれました。
頼らせて頂くことはないかもしれないけれど、とても心強い言葉だなと思いました。
これは母の置き土産。いや、まだ生きてるけど。
さて、母はとても料理が上手な人でした。
よくある家庭料理はもちろんのこと、私の子供時代にしてはちょっと珍しい料理も作ってくれました。その中でも私の印象に残っているのが中華おこわです。もっちりとした食感がたまらなく美味しかったことを記憶しています。そこで今日の一品は『搾菜おこわ』です。
正統派中華おこわとは違いますが、搾菜やごま油が中華風味を醸し出してくれて美味しいですよ。
搾菜おこわ
- おこわを炊く場合、まずもち米とうるち米の割合を決めなければなりません。
私は、もち米とうるち米を2:1で炊くことが多いです。
また、もち米とうるち米では炊く際の水分量が異なります。もち米は1合につき150cc、うるち米は1合につき200cc。なので、2種類の米をどの割合で使うかによって水分量を計算して下さい。ちなみに、水の量が多すぎてしまうとねちゃねちゃとした食感に炊き上がってしまうので、しっかり計算して下さいね。 - もち米とうるち米を合わせて研ぎ、20分ほど水に浸けておきます。
- フライパンにごま油を引いて中火にかけ、豚挽き肉を炒めます。肉の色が変わったら水、酒、砂糖、醤油を加えて煮ます。この煮汁がおこわの味の決め手になりますので、濃い目に味付けして下さい。
- 搾菜を細かく刻みます。
- 長ねぎを小口切りにします。
- 炊飯器に米とひき肉の煮汁を入れ、足りない水分を加えます。
- 炊飯器のおこわモードもしくは普通の炊飯モードで炊きます。
- 炊き上がったら、小口切りにしたねぎを加えて混ぜ合わせます。
これで出来上がり。炊き込みなどの具材が入ったご飯は保温すると傷むので、炊き上がったら保温を切っておきましょう。
家電の故障と家の中の問題はなぜか同時多発しませんか?そんな時でも慌てず騒がず、手際よく解決していく技量を身に着けたいものです。
ミカスでした。
アメちゃん
はたから見たら当たり前で些細な行為かもしれないけど
ミカスさんのお母さまのされたことが
その奥さまの心にしっかりと刻み込まれてたんですね。
なんか嬉しいですね。
私の亡くなった父も生前、近所の人との繋がりを大事にして
家電なども量販店で買わず、高くても近所の電気屋さんで買ったりしてたから
母が一人暮らしになった時、切れた電球1個取り替えるのでも
電気屋さんが来てくれてました。
母が施設に入って、これから私が実家の片付けをするんですけど
「なにか困ったことがあったら、いつでも声かけて」
と、ほとんど付き合いのない私に田舎の人達が言ってくれるのは
父と母、そして両親の面倒を見てくれてた姉のおかげだと思いますね。
ミカス Post author
アメちゃんさん
「なにか困ったことがあったら、いつでも声かけて」
心強い言葉です。
アメちゃんさんファミリーが時間をかけて築き上げたものですね。
当たり前ですが、親はきちんと地域の人とつながっていたんだなあと実感しますね。
私は置き土産を託す子供はいないけれど、それでも上手くつながりを作っていけたらと思います。