裏庭の下手人
以前、ov40のポッドキャスト「That’s Dance!」におじゃましたとき、裏庭に出入りする猫たちのことを話した。その際は、公衆送信(?)を使って「うんこ」を連発したことをお詫びしたい。
5月の「なんかすごい。」にも書いたとおり、こちらで借りた家には小さな裏庭(バックヤード)があり、近所の複数の猫が出入りしている。イギリスでは(少なくともYorkでは)、どうも猫は外に出放題の習慣らしい。
借りている家はテラスハウスで、いわば道の片方全体が一つの長い建物なのだが、当然その裏庭も、塀でもって繋がっている。塀の高さはだいたいわたしの背の高さくらい、なので、猫はその上を伝ってどこの庭にも入り放題というわけなのである。ちなみに、我が家の塀は、裏の家の庭に向けて平らに長く延びており(その下はおそらく物置と思われる)、猫の格好の日向ぼっこ場所となっている。
引っ越してきた翌朝から、猫はさっそくやってきた。というより、わたしたちがやってきたというほうが正しい。
1匹目、アメリカンショートヘア風の短毛猫、名前はサム。赤い首輪とタグをつけているがどこからやってくるのかはわからない。会った初日から、足元でお腹を見せて転がるなど、くつろぎ方が堂に入っている。「わたしの庭にようこそ」くらいの余裕である。
くつろぐサム(初対面)
2、3匹目、隣のペニーの家の猫。どちらも長毛の三毛で、見分けがつかないほど似ている。というか、ペニーが2匹飼っていると言うから2匹いると信じているが、2匹一緒にいるところを見たことはない。警戒心が強い。
うちの屋根で寝るペニーA or B。隣の緑あふれる庭がペニーの家
4匹目、2軒隣の家の猫。やはり長毛モッサモサのサビ柄。庭に出た際、2軒隣の家の窓からこちらを睨んでいるところを目撃し、本宅を確認。凝視が得意で、塀の上からよくじっと家の中を見てくる。近づきすぎると破裂音を出して威嚇。
凝視が得意
5匹目、黒白の大型、オス。庭にも来るが、2階の屋根で寝るのが好き。付かず離れずだが鷹揚な性格。
気がいいやつ
以上が、今までに裏庭で確認されている5個体である(ペニーAとペニーBの見分けはつかないが)。そして、このいずれかが、我が家のプランターにうんこをしている下手人だ。
もうせん裏庭には、家主が残していったプランターが2つあった。どちらも土が入っているけれど、植物は植っていない、板で作ってペンキを塗った、素朴なものだ。
引越ししてきてすぐに、プランターの中にうんこが見え隠れしているのに気がついてはいた。土をシャベルで掘ってみると、遺物のごとくコロコロとうんこが発掘される。いっぱいあるな!袋に入れてしばって捨てた。
しかしこれらのうんこはカラカラに乾いているように見えた。これは、過去の所業なのか?それとも現在もここで排泄は行われているのだろうか。とりあえずしばらく様子を見てみよう…。
数日後、新鮮なうんこがプランターで確認され、あえなく望みはついえた。
排泄は進行中だ!数日放置してみたところ、春の陽気でうんこはほどなくカラカラになり、過去の遺物に見えたカラカラうんこも、実際はそう古いものではなかったことが判明した。
これは困ったことになった。猫の訪問はまことに喜ばしいが、うんこのために来ているとなると思いは複雑である。近所中の猫のうんこの片付け係っていうのもなあ。
そしてなにより気になるのは、誰がうんこをしているのか、ということである。
翌日から、がぜん庭を見張ることにした。さいわいこちらに来たばかりで仕事もないし、手持ち無沙汰なのでわりと台所にいることが多い。流しの向こうはすぐ裏庭である。
まずもっともあやしいのは①サムである。庭に来る頻度がとにかく高い。そして、わたしが庭で洗濯など干していると、ぶらぶらしながら隙をうかがっているようなそぶりがある。何度か、プランターにしゃがもうとしたところを目撃。サム、お前はクロだ。
サムは限りなく黒
そして、②ペニーAと③ペニーB、どっちがどっちだかわからないけれど、わたしが台所にいると、塀の上からじっと様子をうかがっている。何度か庭に降りようとして、わたしと目が合うとやめる。あップランターにしゃがんだ!しかしすぐに逃げた、AかBかわからないけどクロ!
④長毛サビは、夕方によく塀を歩いてやってくる。わたしが庭にいても逃げないが、常に高いところから、まばたき一つせず凝視してくる様子をみるかぎり、親愛の兆しは遠い。最近は家の中のスマ(うちの猫)が気になるらしく、窓近くの塀まできて家の中を凝視している。勢力図においてはもっとも高位にあり、長毛サビ>サム>ペニーAおよびペニーBの順である。庭のプランターまで降りてくる気配は今のところなし。
⑤黒白オスも、屋根か塀(物置)の上でしか見かけないのでおそらくシロ。彼は勢力争いとは無縁のふるまいである。
勢力図の一例。サム>ペニーA or B
しかし今までのところ、どの猫も「排泄の瞬間」までは突き止められていない。というのは、うんこの出現はたいてい朝だからである。朝目覚めると、小人の靴屋さんのようにプランターにうんこが……夜は家に帰れよ。
観察しているうちに、だんだん「うんこをしてほしい」とすら思い始めてしまい、これでは本末転倒だ。そもそも、誰が下手人かを知ってどうなるわけでもなかった。でも知りたい、その渇望が、人の人たる所以ではないだろうか。
それはさておき、現実的な対応策として、第1のプランターの土を全部取り換え、ライナーも新しくして、植物を植えた。なるべく茂みっぽく、かつ匂いがあるといいかと思い、タイム、チャイブ、カリープランツなどのハーブ類を寄せ植えしてみた。なかなかよい。まだ土の見えるところには、こわれた植木鉢のかけらや木の棒などを差して隙間を埋めるという念の入れようである。
それが5月の終わりくらい。その後、数日家を空けたり、日本に帰国したりと庭を見張れない時期もあったが、それ以来第1プランターにうんこは確認されていない。
しかし、第2プランターのほうはいまだほったらかしなので、裏庭における排泄は進行中である。だいたい、数日に1回というところ。
この第2プランターにも植物を植えたばあい、どうなるのだろう。
猫(たち)はあきらめるのか、それとも第1および第2の、少しでもできそうなところにねじこもうとするだろうか。またはプランター以外の場所に…。
これまでの観察から言えることは、第1プランターへの排泄が放棄されて以降、第2プランターへの排泄量(うんこ)および回数の増大は確認されていない。これは、第1プランターの下手人が、排泄場所をうちの裏庭以外に移したということを意味するのだろうか。
謎はつきない。新展開があったあかつきには、また報告します。
(第2プランターを早くなんとかしろよと言わないでください)
お知らせとお願い
引越しをして以降、いただいたコメントにお返事ができておらずごめんなさい!
海外からだとサイトにログインができず、書き込みや編集ができないようなのです。
今後は、いただいたコメントへのお返事は、次の記事のときに掲載するようにさせていただきたいと思います。
お待たせしてしまい申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願いします!
そしてもしよろしければ、Twitterのアカウントのほうにも、お気軽にコメントいただけたら嬉しいです。
どうする?Over40公式アカウント @dosuru_40
はらぷの個人アカウント @titypusprout
■はしーばさま
優しい労りのメッセージありがとうございます。偉業!嬉しい言葉!
引越しは、渦中ではアドレナリンが出て疲れ知らずでしたが、やはりあとでドッときました。そして、おっしゃる通り、思いのほか心が乱れる仕事でもありました。人生でこんなに物を捨てたことはないので、その点ではなかなかのカタストロフがありました(笑)
こちらに戻ってきて猫をなで、たくさん怠けてまだ怠け中です(いつまで…)
3月の記事にもコメントを寄せていただいていたのに、それにもお返事できず申し訳なかったです!いやー、ここぞとばかりに迂闊の金字塔を建立してしまいました…。
■Janeさま
こんにちは!3月の記事にもお返事できずすみませんでした。「金の話」、たしかに!「きんのはなし」だったら昔話みたいで素敵だったのに…下世話なほうだった(笑)
古本屋で撮った写真、そうですそうです!アーサー・ランサム全集で、一番上に乗っているのは『ツバメ号とアマゾン号』です。日本版も、箱のデザイン(または岩波少年文庫の表紙)はオリジナルと同じですね。湖水地方のウィンダミア湖が舞台で、隣のコニストン湖には、ヤマネコ島もあるそうです。
Twitterに載せた写真はこれです!
そしてそして、もうひとつお願いです。
イギリスでの生活や、日本との違いなどなど、もし「こういうことが知りたい!」ということがあれば、ぜひ教えていただけたら嬉しいです!
といってもまだ滞在数ヶ月、新入りの目を通して見たイギリス、ということになろうかと思いますが、記事やお返事の中で、お伝えしていけたらいいなと思っています。
どしどしお待ちしております!
Byはらぷ
Jane
はらぷさん
動物の糞問題、私も多少気になっております。
まあ野生の七面鳥やウサギがたまにやっていくのは仕方ないのですが、リード付き犬が飼い主と共に、うちの前庭芝生を散策しながらところどころでじーっと立ち止まって動かないのを私も窓からよく見かけます。
飼い主さんたちは、環境に優しい、薄く水分の漏れ出るビニール袋を持ち歩いて、ブツを拾ってくださっていますよ。
だけど、週1日のゴミ回収が終わったばかりのうちの空のゴミ箱(私の住んでいる市では、胸の高さほどの指定ゴミ箱を各家が持っており、週に一度家の前に出しておくと、トラックが来てゴミを回収していく)に、ビニール袋入りうんこと、食べ残し入りプラ容器が投げ込まれていたのを発見した時には、切れました。だって、毎日30度越えの陽気で、それらを一週間入れて置いたら、白い幼虫がうじゃうじゃ湧いてきますからね。
私は虫が大嫌いなので、虫が寄って来そうなゴミは、洗ったり、袋に密閉したり、時にはゴミ箱自体を洗ったり、非常に気をつけているんですけどね。
しかし、うちの向かいと隣のおうちでは、ご両親おうちでお仕事、食事はほぼ配達(ピザなど)、幼児もたくさんいて、ベビーシッターや家政婦清掃人、改装のための工事職人、お友達家族など、人の出入りも多いので、おむつや使い捨て食品容器など、たくさん出ることと想像します。段ボールは基本つぶさないで捨てますしね。
で、なんか、文化的に、自分のゴミ箱に入らないゴミは、隣人のゴミ箱が空いていたら勝手に入れていいみたいなんですけど(あ、今、隣人のゴミ収集が終わって空いているゴミ箱に、通行人が飲み物の缶か何か捨てていきました)。白昼堂々隣人のゴミ箱を自分の家までガラガラ引っ張ってきて、大量ゴミ入れてから隣人宅に戻してるんですけど。
うちのゴミ箱はいつもスペースに余裕がありますので、入れていただいたこともありますですよ。コロナ禍中でも変わりませんでしたね。
そして驚いたのが、先日、家の前の道路に水が大量に流れ出ていると思ったら、停まっているトラックに書かれた、「ゴミ箱のお風呂」という字。ゴミ箱を、トラックの機械が持ち上げて、トラック内でお湯で高圧洗浄。トラックを運転してきた人もゴミ箱に一指も触れることはありません。1個3万円ほどのゴミ箱を洗うのに、いくら払うのかな….。
なんかこう書くと、私が非常に心の狭く、細かくケチで、近所の動向をつぶさに監視している暇なおばさんのように聞こえるというかそのとおりというか、家族には私が問題だ、おおらかになれと言われております。
今これを打っている二階の窓辺の机が、たまたまご近所が良く見渡せてしまう位置でして。
はらぷさんのご近所のゴミ捨て事情はどうですか。