第11回：マンガに見るフェミニズム
第10回はこちらです。
第一次大戦の時代、看護婦になるのは自活する女性の典型ですよね。
みなしごが手に職をつけ、職業婦人として自立していくという…自分で人生をつかみとっていく女の子の話ですよね。
でも、告白するとじつは私、キャンディ本人はちょっと苦手だった。
それはなんだろう…と思うと、女の子は涙をふいて、笑顔でけなげにがんばってると、どこかで誰かが見ててくれるってところかな。
わーかーるーー！
小学生ながらに「こいつには内面がないのか」とか思ってました（笑）。
『キャンディキャンディ』は典型的な「なかよし」のコンテンツ。
カリーナさんがアンケートでご自分の経験としてすごくおもしろいことを書いていて、ちょっと長いんですけど全部紹介していいですか？
「高校に入るとき、規則が厳しくて制服もコートも決まっていたのですが、コートだけはステンカラーのコートなら自分で買ってもよかったんです。そんなことを知らなくて学校指定のコートを買ってしまっていたのですが、友だちがステンカラーのコートを買っていると知って、親に駄々をこね、どうしてもそのコートでないとだめなのだと言い張り、紺色のステンカラーコートを買ってもらいました。そのどこがマンガに関係があるのかというと、そのコートを陸奥A子のマンガの女の子たちが着ていたからです。首ぎりぎりまでぴっちり閉める長い丈のコート、マフラー、薄いかばん、同じく薄い布のバッグ。全部マネしました。
「女の子はドジでなくてはならない」と思いこみ、「美人でなくてもドジならモテる」と思いこみ、ドジと一生懸命なそぶりに磨きをかけました。モテませんでした。モテませんでしたが、一度、先輩とつきあったとき、「ドジで一途で控えめでなければならない」と思いこんでいたため恋愛がつまらなくて窮屈でした。
「わたしには陸奥A子さんの描く恋は無理だ。息苦しくてたまらん」と悟ったのです。」
「ドジで一途」っていう価値観あったよね。いまだに世間はそうなんじゃないの？
私は、恋愛以前のもんだいで自分のことが大っ嫌いで、すごく変身願望があって、さっきも言ったけど、自分とは真逆の、一匹狼みたいな泰然とした女の子になりたいとばっかり思っていたので、「ドジで一途な子」は射程範囲に入ってませんでした（笑）現実と折り合いがついてなかったんだなあ…。
有閑倶楽部と全中裏（「花のあすか組！」（高口里純））に入りたかったくらいだし。
そ、それは壮大な夢（笑）
でしょう？（笑）しかし男子にどう見られるか以前に、自分のことばっかり考えてたんだ…と思うとなんかはずかしい…！！好きな男の子はふつうにいたんですけどね。片思いだったけど（笑）
でも、恋愛だけでなく、プリ子さんがさっき言っていた、２４年組で人格形成（第２回）っていうのはものすごくよくわかるんです。
それと、大学生～働き出した頃に読んでた「ヤングユー」と「コーラス」にのっていたマンガで私の人生観とフェミセンサーは培われた気がする。
榛野なな恵、鴨居まさね、吉野朔実、清原なつの、松田奈緒子…あと、小沢真理の『レモンドロップス』とか。
世間の「ふつう」や女性観や、子どもをあなどる態度とかに対して自分が漠然と感じていた、違和感やオエーッって気持ちに、形と言葉を与えてもらった感じ。
榛野なな恵の『卒業式』って短篇集とか、ガツーンとやられたなあ。思考停止するな！って言われた気がした。
以前、プリ子さんの記事を読んで、じつはひそかに「このひと、私とフェミセンサーが似てるかも…」って思っていたんですが、今回読んできたマンガ遍歴を聞いて、ますますもしや…と思っているんですけど。
はっ、私も……♡♡♡…違う違う（笑）
はらぷさんのこれまでのお話しを聞いて、私も、ひょっとして、と思ってました！ 世間の「ふつう」に自分は入れないし、入りたくないな、という気持ちがあって、それを少女マンガに後押ししてもらったというか、いや、卵と鷄だと思うんですけど。
萩尾望都が描く主人公はつねに異邦人だったり親に愛されてなかったりしますよね。厩戸王子もしかり。
藤本由香里の『私の居場所はどこにあるの？』という少女マンガ評論がまさにそれを言い当てていますが、私も、子どもの頃から、なぜか自分には居場所がないと思っていたんです。
特に、女性としてこうあるべき、みたいなのに対する反発は大きくて。小さい頃から、男子に人気のある女子ってのはもう決まってるじゃないですか。
あ、女というのはつねに受け身な存在なんだ、嫌だな、ということを小学生ながらひしひしと感じていました。
ベスト漫画にあげた山岸涼子と吉田秋生は、そういう点で当時の自分にすごくドンピシャだったんだと思います。
『私の居場所はどこにあるの？』、私も読みました！わー！
思えば、背中を押してもらったマンガは数知れず。
マンガには感謝してもしきれません。
…続く！
次回の更新は10月23日です。
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