戦の炎が燃えるほど、まばゆく輝くあの御方。
1月早くも後半戦、みなさまいかがお過ごしですか。センター試験に挑む人、もろもろ受験にのぞむ人、卒業や旅立ち控える人、1年で最も心がピリピリする時期でありますが、かくいうわたしも年明けから激動を生きております。悲喜こもごもだった年末年始も、もはや「え、いつの話だっけ」状態。
あ、年末年始の顛末については先日配信された「どうする? Over40」メールマガジンにてご報告しましたので、ご興味あればバックナンバーをどうぞ。→☆
結局、悲願の寝台特急あけぼの旅は、不慮の事故により実現できず。「心が折れるってこういうことね、もう寝台には乗るなってことよね(T_T)」なんて落ち込んでおりましたが、既に痛みもぶっ飛んでる毎日なので今年もがんばるかも。
忘却バンザイ。
さて。
わたしが働いている職場で大規模な組織改革が行われ、12月までに多くの社員が去ったことは以前お話しいたしました。派遣社員も9割以上が「契約満了」でいなくなり、新体制でのスタートを新しいフロアで迎えた年明け。
それはもう見事に、いろいろなことが機能しなくなりました。
リストラはいまだに続いていて、「なぜこの人がこの部署へ?」と理解しがたい流れで連日の人事異動発表。最初の頃こそ衝撃が社内を駆けめぐり、あちこちでセンチメンタルな会話が交わされておりましたが、ここまで来るともはや感覚が麻痺してしまい、どんな発表があろうが誰も驚かなくなりました。
異動したり退職したりで人員が減っても、基本的に後釜は補充されません。かといって業務が減るわけでもないので、残されたメンバーの仕事は増える一方です。なのに残業はするなと、上は言う。誰もが日々の仕事をこなすだけで精一杯で、細かいところに目が行き届かなくなっているのがわかります。
投げたメールの返事が返ってこない。来るはずのものが届かない。何かを確認したくても、担当者がわからない。共有事項がきちんと共有されず、小さなミスが増えていく。今でこそどうにか事業は動いていますが、この状態が続いたら一体どうなるんだろうと、薄氷を踏む思いで過ごす日々。
そして変化は仕事だけでなく、ものすごくわかりやすい形で表面化しました。
引越に使った段ボールが、そのまま山積みになっている。ゴミがあふれても回収されない。郵便物の社内配送が遅れまくっている(年賀状、今週届きました)。備品が切れても補充されない。先日はコーヒーをいれようと給湯室に行ったら給湯ポットがお湯切れ・トイレに行ったらペーパーがない・コピーとろうとしたら紙がない、とまさかの「切れてるハットトリック」を達成しました。
また昨日は通路にかじった食パンの切れ端が点々と落ちていたので、「これはヘンゼルとグレーテル的な何か…?」とあやうく追跡しそうになったり、
このあとを追えばお菓子の家が…!
はたまた「遅刻遅刻〜!と食パンくわえた女子高生が駆け抜けたのか?」と、ラブコメ的展開が待っているのではとあたりを見回したりしましたが
70年代に確立したと言われる食パン少女像(じゃりン子チエなつかしい)
特に何も起こりませんでした(当たり前だ)
そんこんなでまったく油断も隙もない状態なのであります。人がいなくなるって、こういうことなんだなあ。会社って、こんな風になっちゃうんだなあ。リストラでオバフォー世代の社員やベテラン派遣がごっそりいなくなり、これまで「陰でよしなにフォローしてくれてた人」が不在になると、組織ってこんなにもあっさり崩れるんだなと改めて思い知らされました。
今ではもう、あわよくば誰かに仕事を押しつけよう、問題起きたら誰かのせいにしよう、ふられた仕事は聞かなかったことにしよう、なんて輩がうようよ、うじゃうじゃ。おかげで毎日会社に出かけるときは
ぶおぉぉ〜 ぶおぉぉぉ〜
合戦じゃ!!
ってな気分の日々なのでありますが。
そんななか、日に日に存在感を増している御方がひとり。
我が珍獣パラダイスのメンバー、ミステリアス・エリコ様であります。→✩
今やフロアで唯一の「派遣さん」となったスーパー派遣・エリコ様。もともと世話好き(ゴシップも大好き)らしい彼女は、使えないダメ社員のお尻を叩きつつ仕事を回しつつ、コピー用紙を補充し、切れたトナーを注文し、切れたポットにお湯を入れ、切れたトイレのペーパーを取り替え…と八面六臂の大活躍。
エリコ様は専門職のスタッフですから、庶務関係の業務は担当していません。けれどエリコ様は「だって職場が汚いの、気持ち悪いんだもの。紙が切れたらコピー取れないんだもの、誰もやってくれないんだもの」とブツブツ言いながら、忙しく手を動かしています。
けれど、そうやって彼女が面倒くさい仕事をやってくれていることを、社員たちはまるで当たり前みたいに受け止めているのが腹立たしい。さてはアンタたち、洗濯物は勝手にきれいになると思ってるクチだろ。家に帰ったら自動的にあったかいごはんが出てくると思ってるクチだろ、アア!?
それでもスルーならまだいいほうです。ある男子社員に至ってはエリコ様に
「ボク、今日は子供のお迎えなんで、あとよろしくお願いしますねー」
ってそそくさと帰ってしまう傍若無人ぶり。
「どうしても仕事が終わらないって言うならボクも残ってやりますけどー」
って口では言うんですけど
月曜・お迎え
火曜・病欠
水曜・お迎え
木曜・子供が熱出して遅刻早退
金曜・外出
ってヒャダふ・ざ・け・な・い・で?
この状況下でその勤務態度、よくクビにならないものだと不思議でならないのですが、暴走気味な社員は彼に限ったことではなく、結果的にエリコ様のもとにいろんなしわ寄せが来て多忙を極めているのです。他のフロアにいる数少ない派遣社員も、どうやら似たり寄ったりの状況のよう。その派遣さんたちも春までには全員いなくなってしまうので、「今のうちに先の仕事までやってもらおう」という社員の魂胆みえみえ。ああ、本当に腹が立つ。
珍獣パラダイスが一番大変な時期に「投入」されたエリコ様も、「私が行くところって、きな臭い職場ばかりなのよねえ」と笑っておりましたが、彼女の仕事の速さ、正確さ、人脈の広さはもちろんのこと、絶妙な気の回し方、世話焼き具合でメンバーを叱咤激励するんだからそりゃ欲しいですよ、誰だって。それを知ってか知らずかエリコ様、「あいつ会社もう来なきゃいいのに」「車にひかれればいいのに」とか毒舌ちょいちょい挟みつつ、
「まったくしょうがないわねえ、ほら立って。とっととやっちまうよ!」
神……?
ああ、エリコ様がまぶしい……。
状況が過酷であればあるほど輝く、その神々しいお姿。ジャンヌ・ダルクって案外こういうオバチャンだったんじゃないかと思ったりもしますが、そんなエリコ様もいよいよ「契約満了」までカウントダウンがスタート。新しい職場で引き継ぎをしつつ、珍獣パラダイスでの仕事もピークなので「有給休暇、使えないままになりそう」とつぶやいておられました。自分の都合で有休消化しちゃっていいんじゃないの、社員だってどうせ勝手に休んでるんだから、とわたしが言うと
「そうなんだけどね、ちゃんと仕事を終わらせて引き継がないと、後の人が困っちゃうしね。それに新しい職場がこれまた、結構な火事具合なんだよねえーうふふふふふふ」
と、なんだか嬉しそうに笑っておられるのでした。
火からまた火へ、戦場から戦場へ、飛び込もうというのかエリコ様。世界にこんな人がいるのかと驚くばかりでありますが、日に日に戦火激しい会社の中で、ああどうか幸あれと、君死にたもうことなかれと、心から願ってやまないじじょうくみこでありました…。
*** 今週のミズシマ(の前髪) ***
今週見かけたら、なぜか不可思議なジグザグ前髪になっていました。
どういうシステムかわからない。
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「崖っぷちほどいい天気」は毎週土曜日更新です(第3土曜日休み)。
※1月24日は更新をお休みさせていただきます。
つまみ
じじょくみさん、おはようございます。
今年もいろんな分野の激動レポート、楽しませてくださいませ。
エリコ様、なんてたくましいんだ!
かっこいいなあ。
平常時に、いい人や頼りがいのある人をやる(演じる)ことは容易ですが、非常時にこそ真価が問われますね。
自分も含め、馬脚が現れること多し!
いちばん私が反応したのは有給休暇消化のくだりです。
図書館を「民営化」というお題目でニ度追い出された経験がありますが、私、バリバリ、エリコ様派でした。
終わらない引き継ぎ、日々の業務の停滞もなんのそので、有給休暇消化しまくる同僚が多かったのですが、自分はどうしてもできず、ニ度ともけっこう大量に捨てることになりました。
自分が正しいと思っているわけではないのです。
休暇は権利だし、とれない環境を作った雇用主こそ批判されるべきで、同僚は当然のことをしていただけだ・・でも、そうなんですけど、正直、釈然としない思いはありました。
追い出されることでみんなやさぐれ、有給休暇を取りまくることで腹いせをしていたのかもしれないと思ったりすると、それはそれで、なんだか同じ穴の狢に成り下がる気もし、脱力感を覚えました。
同時に、捨てた休暇を惜しがるせこい自分もいたわけです。
仕事ってなんなんでしょうねえ。
達成感って、意外と、本来は間違った場所で発動したりするもんだったりしないですかねえ。
なんだか今回、あらためてそのようなことを考えてしまっているゾロメ女(今年は年齢も)でございます。
じじょうくみこ Post author
>>つまみゾロメさま
おはようございます〜!コメントうれしいです、今年もよろしくおつきあいくださいませm(_ _)m
有休の件、すっごくよくわかります〜〜!
うちの職場でも、去年のうちに辞めた社員さんも派遣さんも
ほとんどの人が早めに切り上げて有休を消化されていました。
権利としては当然のことですし、聞くところによると
「有休をまとめて消化するとは、人としてどうかと思う」的な妨害を
上層部から受けた人もいたと聞きまして、
会社のほうがどうかしてるよ、有休取るのは当たり前だろ!と激しく憤りました。
でもやっぱりねー、つまみさんの言う通り、
どっちを選んでももやもやするものがありますね。。。
有休を取らずに辞めていくのを会社が期待していると思うと
利用されるもんか!と思うのですが、
一方で有休を取ると現場に混乱が起きるということもあり。。。
結局、責任感の強い人が損する現状に一番腹が立ってます。
エリコ様は結局、1日も有休を取らないまま終了されるようです。
本当に頭が下がるというか、すごい人だなあと思う。エリコ様。年下だけど。
悔しいので、cometさんの「オバ専」を読んで
「ぜってえ負けねえ」と叫んでみたら力が出ました。
nao
非正規雇用の労働条件について語り合うと切りがないです。
実際エリコ様のような方で職場は成り立ってますね。
私の職場の非常勤は残業がない。。というか予算を立てていないので
超過労働分は振替休日という形で取らされます。
人が相手の仕事で切り上げられないことは多いので残業しちゃうんだけど
するとそんなに休んでばかりいられなくなり、結局は有休なんで絵に描いた餅状態。
振替取るのが精一杯で5年間有休を取ったことがない、という人もいます。
私も積もり積もって年間40日の有休があることになってるけど
毎年20日捨ててるなーー(;_;) せめて有休を買い取って欲しいな!
爽子
エリコさま、本当にかっこいいです。
読んでて、悔しい思いをしました。
コタツにはいり、テレビをつけたまま、このぬるい状態で、コメントすることに、少なからず罪悪感を
感じながら。
家の中の雑用係も、有給消化してやめてみたいです。
いえ、未消化でも、良い気がしてきました。笑
じじょうくみこ Post author
>>naoさま
こんにちわ!コメントありがとうございます〜。
うーなるほど、有休からあぶり出されるものって結構大きいですね。。。。
「絵に描いた餅」、まさにその通り!!と思います。
日本は有休消化率が先進国内でブービーだとニュース聞いたことがありますが
数値に表れない部分のほうが多そうです。
昔は有休を買い取ってくれましたよねー。
わたしが派遣をやめる頃には、その派遣会社ではなくなってました。
しかも有休の保障額が下がって「それ有給休暇っていえるの?」という状態になったので
そういえばわたしも最後は有休消化しませんでした。
有休とるほど貧乏になっちゃう。
って考えれば考えるほど気持ちが荒んできた。。。
ぜってえ負けねえ!(乱用)
じじょうくみこ Post author
>>爽子さま
こんにちわ!いつもコメントありがとうございます♪
本当にねえ、エリコ様みたいな人が社会を支えているのだと思うと
切なくなってきちゃいます。
こういう人が安心して、誠実な仕事ができる世の中になってほしい。。。
家事に関しては、自分がほとんどできてないので
何の文句も言えません。。。(^_^;)
ただひれ伏すのみでございますm(_ _)m