おばさんは楽しみを作り出す: チージーエッグ
以前母が入院していたのは大きな大学病院で、スターバックスやタリーズ、2つのレストラン、書店、そして大きなファミリーマートがあり、面会時間より早く着いてしまっても、乗り合いタクシー*のお迎え時間が遅くなっても、いくらでも時間を潰すことができました。(*私が住む町では町が乗り合いタクシーを走らせています。300円で町内のどこへでも、450円で町外の特定の場所へ行くことができます)
転院したのは小さな総合病院で、フロアマップには「コンビニエンスストア」と書かれている小さな売店があるだけです。品揃え充実の大学病院のファミマに比べたら、正直心もとないスケール。でも、母が転院した日、その店先に立っていたのぼりを私は見逃しませんでした。
『おしいい豆大福』
もちろん買いましたよ。普通の豆大福とよもぎ豆大福をひとつずつ。
帰ってひとつ食べてみると、これがまた美味しい。一体どこの老舗和菓子屋が作っているのかと見てみると、山崎製パン。ヤマザキ春のパン祭りのシールが貼ってあるじゃないですか。やるな、ヤマザキ!
柔らかくて豆がたっぷり入った大福は、それからというもの私の病院通いの楽しみになりました。
母の面会に行くたびに2つ買っては、その日と次の日にひとつずつ食べる。私の小さな、でも確かな楽しみ。ふと、何かに似ているなあと思いました。
つまみさん、カリーナさんとやっているPodcast『That’s Dance!』で最近盛り上がっている”ミックス菓子”。そう、病院で大福を買う時と、スーパーでミックス菓子を買う時の私の気持ちは似ている。
楽しいミックス菓子
若い頃は、若いというだけで日々が楽しかったような気がします。若さゆえの悩みや辛さを抱えていてるようなふりをしつつも、親に怒られながらの友達との長電話はわくわくしたし、だいたい体はどこも痛くなかった。特別なことを何もせずとも、楽しく生きられたのです。
でも、今は違います。長電話できるほどの時間も体力もないし、体のあちこちが次から次へと痛み出す。いや、それが悲しいとか、その悲しさをなんとかごまかすために小さな楽しみを見つけ出しているのだとか、そんな湿っぽいことを言おうとしているのではないのです。
年を重ねて、出来ないことや厄介なことが増えて来た分、ミックス菓子や豆大福、その他の小さなことで私たちは自分を楽しませることが上手くなってきたんじゃなかろうかと。
大福、2種類とも買っちゃおうかな?とか、ミックス菓子、和と洋どっちにしよう?と考えたり、そうやって手に入れたおやつをひとりでゆっくり味わったりすることで、若い時のあの無条件なわくわくとはまた質の違う楽しさを自分で作り出しているんじゃないかな、私は。
(そう考えると、年を重ねるのも悪くはないですね…と言おうとしたけど、それはそれでちょっとベタな表現だし、変に達観した意識高い系みたいな感じもして私には似合わないので止めておきます)
さて、今日ご紹介する一品も、朝の自分をちょっと楽しませるために時々食べる一品です。名付けて『チージーエッグ』。チージー(cheesy)とは、英語で「チーズのような」「チーズ風味のある」という意味の他に「安っぽい」という意味もある言葉。料理と呼ぶにはあまりにも簡単で安っぽいものですが、美味しいよ。
チージーエッグ
- フライパンに油をひいて中火で温めます。
- フライパンが温まったら卵を割り入れて目玉焼きを焼きます。
- 白身が大きく広がってしまったらフライ返しなどで黄身の方へ戻して形を整えます。
塩胡椒、もしあればスパイスソルトを振っておきます。 - 白身が粗方固まってきたら、白身の周りに溶けるチーズ(シュレッドタイプ)を広げます。
- チーズがむらなく溶けてふつふつとしてきたら、フライ返しを使って中央に向けてチーズを折りたたむようにします。溶けたチーズが固まってクレープやガレット生地のようになります。
- フライ返しで触ってみて、チーズがぱりっと固まっていたら出来上がりです。
決して無理をしているわけでも、意識的に頑張っているわけでもなく、「私、自分を楽しませることが上手くなってきたかも」と思う事はありますか?大人って、意外と楽しいよね。
ミカスでした。