12月20日はカレー記念日

カレー記念日

お正月 来なきゃいいのに でも来るね

12月20日はカレー記念日

爽子

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

なんかすごい。

ここにいます

12月17日、今日も今日とて灰色のいちにち。これは比喩でも心象風景でもなく、イギリスの冬は圧倒的に灰色である。黄色みがかった、薄明かりの灰色。グレーと黄色の配色ってきれいだなあと思う。それと、木々と煉瓦の家々の赤茶色。

午前中には、不動産屋さんがあたらしい入居者を募集するための広告写真を撮りにきた。来月そうそうには、あたらしい家に引っ越すことになっているのだ。自分の家ではないけれど、快適に住んだ恩のある家なので、いい人に借りられるといい。がんばって片付けをした。

不動産屋さんが帰ってしばらくたって、家の戸を叩くものがあるので、あれ?何か忘れ物でもしたかな?と思ってドアをあけると、荷物の配達員さんが立っていて、ダンボールの小包を渡してくれた。送り元は、にほん!

ジャーン!

西荻窪にあるギャラリー「もりのこと」の店主サノさんが送ってくれた、クリスマスお届け便だった。お菓子や、この世でもっとも尊い餅のひとつである「発芽玄米餅」(サノさんのお兄さんが作っています)、そして、ギャラリーを通して知り合っただいじな友人たちがせーので入れてくれた、できたての本や作品、手紙や、プレゼントの数々。

わたしはさいきん、べそべそと泣いてばかりだ。

箱の底には、げんざい「もりのこと」で行われている展示の冊子を忍ばせてくれていた。

「ここにいます」、というのが、今回の展示のテーマだった。会場では10名の作家が作品と文章を持ち寄り、わたしも、遠隔から文章のみ参加させてもらった。

このテーマで想起されることを、文章にしてくれませんか、そうサノさんから連絡をもらったとき、もうそりゃあいろいろと書きたいことがあるような気がしたけれど、できあがったのは結局、ごく私的なこと、自分のまわり50センチ程度の、ちいさなせかいの話だった。死んだティーちゃんのことを書いた。

できあがったものを読んで、送る前に少し逡巡した。「ここにいます」と小さな声でつぶやくだけの時間も与えられず、のべつまくなしに人が死んでいくこの世界で、ただ「生きる」ということがこんなにもむずかしいよのなかで、わたしの、なんて甘ったるくて身勝手なことか。

でも、やっぱりこれきり書けないという気がした。数ヶ月後ならまた違ったかもしれない、けれども、わたしが書ける「ほんと」は、今はこれだった。送信して、サノさんからへんじをもらうのが少しこわいように思った。

数日前に、展示を見にきてくれた人が「作品も文章も、それぞれちがうけれど、皆どこか祈りに似ている」とSNSに書いているのを読んだけれど、冊子を読み通して、ほんとうにそうだな、とわたしも思う。

「ここにいます」とかすかに光って知らせる存在に目をこらす。

不在がつくる真空の前にたちすくむ。

それが、世界のどこかを思いやることであっても、目の前のさわれる何か、または失って久しい慕わしいものたちを思うことであっても、だれかのさもない日々の明け暮れが、明日もその先も続いていきますように、のばした手が、どこかに繋がっていますようにと願うことには変わりがない。

わたしがことばにできなかったことも、誰かが書いてくれていた。アンソロジーっていいな。それぞれがまったく違う対象について書いているのに、どこか少しずつ重なりあっている。

そして、みんなに通底しているのが、にんげんであることに対する畏れ、謙虚さだった。

会期中頒布されている冊子にはもうひとつあって、それもサノさんは同封してくれていた。

渡辺尚子さんがつくったちいさな製本。表紙には「日常もしくは落とし物」と手書きの文字が書かれている。

今年の元旦、能登を旅していて被災した渡辺さんが、1月12日から書き始めた日記だ。じぶんの一部を能登にのこしたまま、東京の日常にもどってきた渡辺さんは、あちらとこちらをいったりきたりしながら落としたじぶんを拾いあつめ、よく検分して、体の中にもどしていく。

その日のことを綴りはじめたのは、やっと2月10日になってからだ。

渡辺さんがあの時間能登の空港にいたことは知っていたけれど、当時の詳細を読むのは初めてで、たまたまそこに居合わせ(てしまっ)た人たちと空港という閉じた空間ですごした数日間の不安と、その場で自分にできる最善をした人々の強さがせまってきて涙が出る。

あのとき、能登からSNSをつうじて渡辺さんが発信してくれていたかすかなパルスを、遠いこの国でキャッチしては、すがるような気持ちで読んでいた。それは、こちらがわにいるわたしたちを安心させようと渡辺さんが放ってくれたエールだったとともに、彼女とこちらの世界をつなぎとめるための細い糸でもあったのだ。渡辺さんがのこしてきた一部は、戻れる「こちら」のない能登の人たちのそばに留まろうとする。そしてたぶん、もしかしたらあちらにいったまま、戻れなかったかもしれない自分のもとに。

冊子の文字はすべて手書きで、表紙の紙には「能登仁行和紙」(のとにぎょうわし)という砂色の手漉き和紙が使われている、と奥付けにあった。さわると土のつぶつぶが指の腹に触れて、存在感のあるいい紙。手でぱたぱたとこしらえて、はい!とわたされたできたての和菓子みたいだ。かたちがあるって、いいものだなあと思う。ここに記したことは、にんげんが忘れてしまってもちゃんと残る。本がおぼえていてくれる。そして、こうして海をわたって、わたしのところまで届くんだから。

虫こぶみたいなつぶつぶ。

2つの冊子をなんども読み返しながら、ああ、なんだか、祖父の本をつくったときや、もりのことで以前、「3月におもうこと」という展示に参加させてもらったときに感じたことと、つながっていると思った。

そんなふうに思うのも、生きて、日々が続いているからこそである。こうして折々に書く機会をもらっていることや(このサイトもそうだ)、じっさいに訪ねていける場所を保ち続け、「モノ」を運び、届けてくれる人たちのありがたさときたらはかりしれない。

********

もりのことの展示「ここにいます」は、12月29日までの開催です(月、火、水はお休み)。

もし近くにでかけるご用事などありましたら、ぜひお寄りください。

ギャラリーもりのこと

杉並区西荻北4-9-3
12:00〜18:00
旧Twitter: @morinokot
Instagram: @morinokoto

by はらぷ


なんかすごい。 記事一覧へ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

山あり谷あり再婚ライフ

人生は想定外のことばかり

カレー記念日 今週のおかわり!

覚えたよ 大腰筋は 大事だよ

なんかすごい。

ここにいます

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

9月にコートを買う

四十路犬バカ日和

ありがとう2024年

60代、男はゆっくりご乱心

矢野顕子の『JAPANESE GIRL』を聴いたら。

OIRAKUのアニメ

第111回 チ。-地球の運動について-

ミカスの今日の料理 昨日の料理

ちょっと心強い:大根と豚肉の甘辛炒め煮

今週の「どうする?Over40」

冬には冬の用心。人には人の、しかるべき「間に合わせ」

黒ヤギ通信

年末のご挨拶

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.88 思わず誰かにlineしたくなる小説

かわいいちゃん

ウサギという字が書けない。

夫亡き日々を生きる

ゆみるからカリーナさんへ 2023年6月7日

絵手紙オーライ!

瑠璃の魚のうつくしさ

出前チチカカ湖

第202回 早くも2025年にやりたいこと。

母を葬る

(17)父を葬る(上)

昭和乙女研究所

映画の思い出vol.1

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

12月20日はカレー記念日

カレー記念日

お正月 来なきゃいいのに でも来るね

12月20日はカレー記念日

爽子

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

よもじ猫

石上斑山

猫No.75  by はらぷ

猫大表示&投稿詳細はこちら!

石上斑山

猫No.75  by はらぷ

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up