バリアフリー
「君が気づかないうちにあっという間に君の年を越える」と猫が飼い主の背中にむけてつぶやくシーンの記憶があります。
『グーグーだって猫である』という作品だったと思いますが、違うかも知れない。映画のほうだったか漫画だったか、台詞もこのとおりだったか、あやふやですが、その通りだと思ったのは確かです。
うさぎは1歳まで成長期、4歳まで維持期、7歳まで中年期、7歳以上は高齢期とされています。
人間の年齢でいうと1才が20歳、4歳40歳、7歳58歳、干支が一回りする12歳は88歳くらいとのこと(雑誌うさぎと暮らすより)で、いまのうさぎはまだかろうじて私より若いです。
若いのですが大けがの後遺症で両方の後ろ脚が弱く、お気に入りの高い場所に行く階段(先代はクッションでしたが、今のうさぎには下僕達渾身の作の階段があるのです)で二回転びました。
二回目は転んで落ちました。白と灰色の模様が白、灰色、白、灰色と段々の上でくるくるしたときはぞーっとしました。
幸いうさぎは「あーびっくりした」程度で済んだのですがそんな環境にしていたのは下僕の落ち度です。
二度あることは三度ある、そして三度目が二度目までと同じとは限らない。うさぎにひとこと断ってから猛然と階段撤去を始めました。
お気に入りの高い場所は階段側とソファ側と二つの登山口?があるため、ソファ側を残し階段側は柵でふさぎました。
へやんぽのためにケージから出すと、すぐにうさぎは景色が変わっていることに気づき、おやつに見向きもせず階段があった場所を確かめていました。次の日も、その次の日も次の日も「ここに通れる道があったんだが」というように確かめています。
下僕はうさぎは比較的早く新しい環境になじむだろうと安易に考えていましたが、どうもそうもいかないようです。
お気に入りの場所が袋小路になったのも嫌なようです。いちおううたた寝なんかしていますが、通り抜けできるほうが絶対に良いのでしょう。
下僕達はあらたに低い段差やスロープで通り道を作り直すことにしました。
今は工事なかばです。
うさぎが伸び上がってうたっちして「階段がないの」と言ってくるたびに、いま新道工事中だからねとなぐさめています。
動物が「飼い主よりも早く年をとる」のセリフを知った時はまだ若かったので切ないばかりでした。
今は下僕の仕事をやり遂げられるぎりぎりは何歳だろうと現実的な考えも浮かびます。
5年単位で考えても、そのときの自分の年齢に驚いてしまいます。
階段の解体および工事には電動ドライバーを使っているのですが
腕の力が落ちてドライバーの最後の一締めに負けるようになっていたことにもショックを覚えています。
わたし、そのくらいの力はあったのになあ。
つい数年前の組み立て家具のときは大丈夫だったのになあ。
まあ、用心して工事しましょう。
部屋の模様替えにもなって、うさぎも下僕もすごしやすいようになるでしょう。