青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.11」
インドの婚活ってどうなのよ?結婚式の実態について (後編)
結婚式当日
花嫁側は午前中に前述のチューリ(腕輪)の儀式・プージャ(お祈り)が行われます。
花嫁用の腕輪を牛乳に浸して、お坊さんがお祈りをし、花嫁の友人たちがキラキラの飾りを
結びつけるという儀式。ちなみに今週のカバー写真はスィク教徒(あの、ターバン巻いてる男性でおなじみの)の結婚式。美人が多いことで有名なんですよ~、この花嫁さんも綺麗でしょう?
花嫁は一連の儀式が終わると美容室へ!!
人気のある「花嫁」専用メークアップ・ヘアアレンジ・着付けのできる美容師さんは予約が
なかなか取れないので、みんな前もって評判を尋ねまくり、友人知人のつてでこれは!!と
思う人に予約を入れます。事前打ち合わせで着用するサリーを見せて、それに合わせてメークとヘアアレンジ。
ばしばし逆毛をたてられて、あれよあれよという間に「お~!!
ボリウッドスターもびっくり!」の髪型に。持参した花飾りをつけて髪が整ったら今度はメーク。
「うお~!!そんなにアイライン入れるんかい!おいおい、マスカラだまになっとるでぇ」
という暇もなく、てきぱきと片付ける美容師さん。
メークの仕上げはビンディ(眉間につける飾り)。これも手描きで鮮やかなデザインをあっと言う間に作りだす技術に驚愕。その間にアシスタントがやってきて手足をマッサージされ、
マニキュア・ペディキュア。ふぅ、終わった!と一息つくスキも与えず、『お立ち台』に上がって
今度はサリーの着つけ。流石にプロだけあってそのサリーの柄が一番綺麗に見えるように
着せてくれるのでありました。
日本の結婚式場の美容師さんも、白無垢、色内掛け、ウェディングドレス、カクテルドレスと
式場指定の時間内に、あっと言う間に、ヘアメイクと着付けを仕上げてくれるけど、インドの
結婚式専門美容師さんもいい仕事してまっせ~。
花嫁が着つけをしているその頃…。
花婿側はテント張りの会場でプージャ(お祈りの儀式)。
一族の年長者たちが花婿にターバンを巻いたり銀の頭飾りを巻きつけたり、お金がいっぱいついた首飾りをかけたり…
(右写真)とこれまた忙しい。
日がとっぷり暮れたら親族は結婚式会場に移動します。まずはスナック類や飲みもので一息ついて~~~
白馬にまたがった(または馬車に乗った!)
花婿の準備が整ったら近しい親族は踊りながら会場に入場!!
電飾隊やら生演奏バンドやら、傘矛をささげ持つ人々やら、
登場人物が多いのもインドならでは。見てるだけで楽しいですよ~
馬だけでなく、ラクダや象を手配することも可能!!インドの
結婚式はなんでもあり!!!??
派手派手に飾られた玉座(?)で花婿はしばし歓談。
花嫁の登場を今や遅しと待つのです。
結婚式
花婿到着から小1時間…ようやく花嫁の到着です!!
周りを親族の女性達に囲まれジャイマラ(花の首飾り)を手に粛々とすすむ花嫁。
ジャイマラの交換が終わると観衆からやんやの大喝采が沸き起こります。
それからしばらくは玉座に座った花婿花嫁にお祝いを渡したり、写真を撮ったり。
それからようやく食事・披露宴へとうつりますがこれが大体23時または翌日になってしまった
なんてことはざら。披露宴は更にダンスが始まって夜明けまでドンチャカ賑やかに続くのです。
(デリーでは一応23時以降の大音量の音楽は禁止されていますが、お祝い事だから、と
みんな大目に見るんですよね~。この鷹揚さがインドらしいなぁといつも思います。)
パンジャビの結婚式には「バングラダンス」がつきもの。ビーズ刺繍や金糸銀糸で
重た~い花嫁衣裳も何のその、花嫁も花婿も踊りまくります!!
インドの結婚式は招待された側も体力勝負!
頃合を見計らって神聖なる結婚の儀式が始まります。これが大体真夜中になったりも。
ま、このころまでには本当に近しい親族だけが残って、一般招待客は帰ってしまってるんですけどね。お坊さんの先導にしたがって、燃え盛る火の中にお供えをそなえたり、結婚の誓約を
唱えたり、ガンジスの聖なる水を口にしたり…これをもって「花嫁の家」は「嫁ぎ先」に娘を
還すのです。{娘は生まれたときに嫁ぐべき先から神様によって預けられたもので
大切に育てて嫁ぎ先にお返しする、という観念。もともと親子なんだから嫁姑問題なんてありえない・と言われます。}最後に花婿の首にかけたマフラー(ココナツの実が巻いてある)と花嫁のサリーの端が結ばれ、聖なる火の周りを7回まわって結婚の儀式終了です。
花婿花嫁はそのあと家に戻りますが、「花嫁をはじめて家に迎え入れる儀式」というのが
まだまだ続くのでありました。式場から家に戻る行列の、生バンドの賑やかな演奏が
朝4時ごろに聞こえることがあるので、それまで延々儀式が続いていたってことですが
いや~~、ほんと、体力も財力もいりますね。
……先週の記事で、花嫁さんの手に描くメヘンディー模様に小さく花婿の名前をちりばめるんだ、とか手首や足首にほどけないように飾り紐を結ぶことを書きましたが、これもお見合い結婚の新婚さんがゲーム感覚で相手に慣れていけるように、自然に触れ合えるように考えられたものなんですね~。それぞれの足に結んだチューリ(幾重にも結ばれている。たいてい親戚の女性たちがわざと力任せに固く結ぶことが多い)をほどきあったり、花嫁のメヘンディに隠された花婿の名前のイニシャルを探すため手をとりあったり、水盤に入れた牛乳の中から二人で指輪をさぐりあったり…と様々な趣向がこらされているのです。いやん、何と初々しいことよ……。
おまけにね、女性だけで花嫁を囲んで歌ったり、踊ったり、メヘンディーを施したりというイベントがあるってご紹介しましたが、ここで従来は花嫁さんに対する性教育が行われたりしていたわけですね~。
仲良しの女性同士、年の近いいとこ同士でその手の話をするのは別にタブーではないらしく、
一夜明けてから、友人が「ねぇ、初夜はどうだった?」なんて尋ねることもあるんです。
披露宴
結婚式と披露宴とが同時に行われる場合もあれば、2日間にわたって(または3~4日)別に
行われることもあります。結婚式は親族中心、披露宴は来るもの拒まず形式をとっている場合
が多いのです。
結婚式のときには親戚一同にもサリーやら背広の生地やら、近しい親族には金製品なども贈るんだ・・・って話を前回ご紹介しましたが、今まで出席した中で一番豪華だったのは、とある
宮殿ホテルでのお式。ホテルにお部屋が予約してあって、チェックインしたらこんなギフトセットが置いてありました。青い箱の中には、なんとその日のカクテルパーティー(顔合わせ)用にと誂えのパンジャービースーツが入っておりました。上の小箱にはチョコレートやらナッツやらキャンディーがあれこれと。
あぁ、またこういう結婚式におよばれしないかなぁ、と夢見る私。
こうしてインドの結婚式事情がわかると、今年ヒットしたボリウッド映画も一歩進んだ楽しみ方ができるんじゃないでしょうかね~?「きっとうまく行く」の後半でヒロインのお姉さんが結婚する場面とか、ヒロイン本人がまさに結婚式を挙げようとする場面とか。
インドのあれも、これも、ご紹介したいという思いからついつい長くなってしまいましたが
相違点も、類似点もひっくるめて楽しんでいただけたらいいなぁと思います。
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★パソコンの故障にもかかわらず原稿を送ってくださった青蓮さん。
青蓮さんの自筆イラストがサイコーな楽しい記事もどうぞ。この二人のオジサン、会いたい~!→青蓮さんのブログ
★青蓮さんへのコメントも、お寄せ下さい。この機会に興味のあることを聞いてみてくださいね♪
★3月まで連載されていた「YUKKEの今日のラテンステップで」を読む方は、こちらをどうぞ。メキシコの女性たちが生き生きと描かれています。
★前回の青蓮さんの記事は、こちらから。
keyaki
後編も濃厚に楽しませていただきました。お嫁さんを預かってもらっていた娘、と考えるなんて素敵ですね。思わず日本で嫁姑問題に悩む友人たちを思い出してしまいました。
結婚式ではお嫁さんや女性招待客のおしゃれが気になります。どんなところが気合を入れるポイントなのか、どんなお店で選ぶのか、などなど。もちろん、普段のインド女性のおしゃれや流行も!
それと、DAMAで取材されたような伝統的な手技の服や品物は、インドの女性たちにはどのようなものと捉えられているのでしょうか?身近なもの?それとも憧れの高級品?古い価値観のもの?
日本では伝統的な技術は時代とともに廃れつつありますが、インドではどうなのでしょうか?
いつかお応えしていただけたら嬉しいです!また次回を楽しみにしています!